付属語を制するものが作文を制す?~今日から始める読書感想文⑨~
こんにちは、ベル子です。
「今日から始める読書感想文」9回目です。
前回から、読書感想文の3つの要素「読書をする」「自分の感想を持つ」「文にまとめる」の3つ目の要素「文にまとめる」の話題に入りました。夏休みに困らないよう、今からできることを考えていきましょう。
※前回の記事はこちら↓
作文というと原稿用紙にびっしり書き込むイメージですが、文字や単語など一つひとつの細かい成分の組み合わせでできているのですから、作文の練習としてまずは単語を書き出す練習をしようというのが、前回の話でした。
今回は、その単語をつなぎ合わせて一つの文にするために何が必要なのかを考えます。
◎文の成り立ち
ところで、「文」というのは何でしょうか。
小学生向けのドリルを見ると。
「文は一つのお話を表しています」とか、「文は言葉の一つながりです」と書いてあります。
基本的には、言葉をつなげていって、句点(「。」)で区切られるまでの一つながりを呼ぶ言葉が「文」です。
また、「文」は主語(「だれが」「なにが」などを表す言葉)」と「述語(「どうする」「なんだ」などを表す言葉)が基本の骨組みになりますが、日本語の文では主語が省略される場合が少なくありません。
言葉で表現すると少しややこしいかもしれませんが、例えば
「私は一年生です。」や
「昨日の夕方に、駅前のスーパーへ買い物に行きました。」
などの表現を、一つの文と呼んでいるわけです。
少し特殊な例になりますが、「こんにちは。」も一つの文です。
前回書いた通り、文は「文節」でできています。先ほどの文だと「私は」や「一年生です」というのが文節にあたります。
そして、文節は「単語」でできています。先ほど「主語」「述語」が出てきましたが、これは文節の分類方法の一つで、単語ではありません。
単語は、意味を持っている一番小さい単位です。
「私は」は「私」と「は」、「一年生です」は「一年生」と「です」というように、それぞれ二つの単語からできています。
二つの単語で一文節と決まっているわけではなく、「こんにちは」のように一つの単語からできている文節もありますし、「行き」「まし」「た」のように3つ以上の単語からなる文節もあります。
さて、前回掘り下げた「単語」まで戻ってきましたが、前回出てきたものとは少し毛色の違う単語がありませんか。
「は」とか「です」とか、さらには「まし」とか。
◎付属語は難しい
単語には大きく分けて2種類のものがあります。「自立語」と「付属語」です。
前回イラストから書き出した「家」「玄関」「来る」「ニコニコ」などは、全て自立語です。
ぱっと聞いてすぐに意味がイメージできる言葉ですね。文節には、必ずこの自立語が一つ含まれます。
でも、その自立語だけでは、文がうまくつながりません。そこで必要に応じて付属語を付け足して適切な文節を作るのです。
日記などの作文で、「書くことが決まっているのになかなか書き出せない」子や、「少し書いては消してを繰り返す」という子の多くは、この付属語の扱いが苦手です。
「映画」「楽しい」「友達」などの「自立語」は思いついているけれども、付属語を使いこなしてそれらの自立語をつなげるというところで躓いているのですね。
普段の日常会話では、付属語をしっかり使いこなさなくても意思疎通はできます。
音声ではなく文字でやりとりするにしても、LINEなどでは文としての体裁を整えずにメッセージを送ることも多いですし、時にはグループ独自の付属語の使い方を駆使して会話をしていることもあります。
普段の意思疎通に困っていなくても、いざ改めて「文法的に正しい文」を書こうとする場面があると、上手く言葉をつなげなくなる子どもは少なくありません。
それでも日記であれば、「友達と映画を見ました。」「幽霊が怖かったです。」「ぼくは目をつぶってしまいました。」「友達は怖くないと言っていました。」と比較的シンプルな文型を使うだけでもなんとかなります。
でも、読書感想文となると「主人公が夜の森を探検できたのは、不思議なお守りのおかげなのだと思いました。」「もし友達が『幽霊なんて怖くないよ』と言っても、僕は絶対に信じないでしょう。」というように、より長く複雑な文を書くことが避けられなくなってきます。
思いついた単語(自立語)を文としてまとめるためには、付属語を使いこなす力が不可欠なのです。
問題は、どうやってそのスキルを身にけるかということですね。
次回第10回は付属語を使いこなすための練習方法を紹介します。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
★シリーズ次回記事はこちら↓★