文章を段落に分ける理由~今日から始める読書感想文⑰~
こんにちは
キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。
「今日から始める読書感想文」では、今回から
文をいくつか集めて段落を作ることがテーマになります。
前回までの記事では、
「読書をする」「自分の感想を持つ」「文にまとめる」の3つ目「文にまとめる」のうち、「一つの文を作る」をテーマに考えてきました。
※前回の記事はこちら↓
読書感想文のような長い文章は、
言葉をつなげて一つの文を作り、
その文を集めて段落にして、
さらにその段落をいくつも書いて完成させるわけですが、
今回は「段落」という言葉そのものについて、もう少し詳しく掘り下げてみましょう。
◎段落とは
実際の文章で少し考えてみましょう。
(※以下の例文は、流し読みでも全く問題ありません)
今日はとてもうれしいことがありました。50メートル走で初めて7秒台のタイムをだすことができたのです。休み時間は隣のクラスの男の子たちとおにごっこをしていました。3時間目の体育にタイムの計測があることをすっかり忘れていたのです。予鈴が鳴って係の子達がストップウォッチを準備しているのを見てやっとタイムを計ることを思い出し、鬼ごっこで遊びすぎたことを少し後悔しました。準備運動の間も、いつも通りに足が動いてくれません。僕は少し力を抜いて走ることにしました。一生懸命動かそうと力を入れても足が速く動かないのなら、頑張って動かそうとしても仕方ないと考えたのです。結果はなんと7秒9でした。今までで一番早い記録です。普段より悪いタイムだろうと思ってたので驚きました。そういえば力むと良い結果が出ないと聞いたことがあります。少し力を抜いて走れたのが良かったのかもしれません。休み時間のおにごっこでたくさん走っていたのが良い練習になったのではないかと、友達には言われました。それもそうかもしれないなと思いました。家に帰ったら、声がいつもと違うとお母さんに言われました。タイムのことを話したら、お母さんも前に似たようなことがあったと言って笑っていました。
上記の文章は500文字程度の長さですが、ぱっと見ただけでも「読みづらい」と感じるのではないでしょうか。
一つの文章の中でも、テーマを提示するような重要な部分もあれば、具体例を説明している補足的な部分もあるでしょう。また、出来事を作文にする場合は、時間の経過によって場面が変わることもあります。上のようにただ文を連ねていると、重要な箇所を見つけるのも難しいですし、場面の転換もわかりづらくなってしまいますね。
そこで、普段皆さんが長めの文章を書く時には、意味や場面などで文章全体をいくつかのまとまりに分け、どこからどこまでで一つのまとまりなのかがわかるように改行しているのではないでしょうか。この一つのまとまりが「段落」と呼ばれているのですね。
原稿用紙で改行する際には、行を変えるだけではなく最初の1マスを空けて書き出します。もともと日本語は縦書きの文化なので、書き出しの文字が一段下に落ちることになることから「段落」と呼ばれるようになったそうです。
最近は横書きの文章が多いですし、特にネット上では一文字分ずらさないのか主流になってきているようなので「落ちる」という感覚からはかけ離れていますが、「段落」という言葉はしっかり残っています。
もっとも、ブログでは段落と関係なく一文ごとに改行する場合もありますし、原稿用紙であれば空けないような行間を空けることもありますね。ここではあくまでも、原稿用紙で作文を書くことを想定して話をすすめます。
◎段落に分けてみる
先ほどの文章を、いくつかの段落に分けてみましょう。
(※実際の作文では段落ごとに番号を書き込んだりはしませんが、今回は便宜上番号を書き足しておきます。)
①今日は学校でとてもうれしいことがありました。50メートル走で初めて7秒台のタイムを出すことができたのです。
②休み時間は隣のクラスの男の子たちとおにごっこをしていました。3時間目の体育にタイムの計測があることをすっかり忘れていたのです。
③予鈴が鳴って係の子達がストップウォッチを準備しているのを見てやっとタイムを計ることを思い出し、鬼ごっこで遊びすぎたことを少し後悔しました。
④準備運動の間も、いつも通りに足が動いてくれません。僕は少し力を抜いて走ることにしました。一生懸命動かそうと力を入れても足が速く動かないのなら、頑張って動かそうとしても仕方ないと考えたのです。
⑤結果はなんと7秒9でした。今までで一番早い記録です。普段より悪いタイムだろうと思ってたので驚きました。
⑥そういえば力むと良い結果が出ないと聞いたことがあります。少し力を抜いて走れたのが、かえって良かったのかもしれません。休み時間のおにごっこでたくさん走っていたのが良い練習になったのではないかと、友達には言われました。それもそうかもしれないなと思いました。
⑦家に帰ったら、声がいつもと違うとお母さんに言われました。タイムのことを話したら、お母さんも前に似たようなことがあったと言って笑っていました。
日本語の作文では、2種類の段落があるとされています。
「形式段落」と「意味段落」です。
「形式段落」はその名の通り、形式からわかる分け方での「段落」です。改行して一文字分ずらしたところから次の改行までが一つの形式段落です。つまりこの文には7つの形式段落があるといえます。
「意味段落」はこの「形式段落」を意味ごとにいくつかにまとめたものです。
一つの形式段落がそのまま一つの意味段落になっている時もありますし、複数の形式段落がまとまって一つの意味段落になることもあります。
例えば先ほどの文章は、
①が一つ目の意味段落(「何についての文章なのか」の提示)
②~⑥が二つ目の意味段落(「うれしいこと」の具体的な説明)
⑦が三つ目の意味段落(「うれしいこと」に関する後日談のようなもの)
と分けることができます。
ただ、見た目で判断できる形式段落と違い、意味段落には「この分け方が正解」というはっきりしたものはありません。書き手や読み手の感じ方によってまとめ方が変わります。
今回の文章でも、
①~⑤が一つ目の意味段落(「うれしい」エピソードの説明)
⑥~⑦が二つ目の意味段落(エピソードに対する考察や感想)
と考える人もいるかもしれません。
でも①~②で一つ、③~⑦で一つの意味段落と考えるのは適切ではないと思います。
はっきりした正解はなくても「意味段落」を自分なりに考えることは、文章の理解を深めるために意味があるのでしょう。
◎まとめると
今回は「段落」に関する記事の一回目だったため「そもそも段落ってなんだろう、なんのために段落でまとめるんだろう」ということを確認する内容になりました。
段落をどう分けるか、どこまでで一つの意味段落ととらえるか、はっきりした正解はないのですね。でも、相手に伝わりやすく読みやすい文にするためには、適切な箇所で一段落としてまとめる必要があります。また、段落を意識することを通して書いている自分自身が文の構造を自分なりに把握するということは、しっかりした文章を作るために必要なことですが、それはまた今後別の記事で書いていくことになると思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回の「今日から始める読書感想文」は、3文程度の作文に役立つ便利な言葉がテーマです。