ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

組み合わせて覚える指示語(前編)~今日から始める読書感想文㉑~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。

 

「今日から始める読書感想文」では、ここ数回にわたり、文と文の意味をつなぐ「指示語」つまり「こそあど言葉」をテーマにしています。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 前回は「こそあど言葉」の「こ」「そ」「あ」について、作文のなかでどう使い分けていくのかを考えました。

 

 今回は、この指示語そのものではなく、指示語と他の言葉を組み合わせた「指示語を含む表現」がテーマです。

  

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◎変化する「役割」

 

 以前の記事でも書きましたが、指示語というのは、教科書に掲載されている内容を知識として覚えるのはそれほど難しくないのに対し、作文の中で使いこなすとなるとかなり難易度が高くなる言葉だといえるでしょう。

 

 

 例えば「場所を表す指示語(こそあど言葉)にどんなものがありますか」と言う問いを見たら、どんな言葉を答えますか。

 

 素直に考えれば「ここ」「そこ」「あそこ」「どこ」が答えになるでしょう。ドリルの問題の答えとしては、こうした言葉が正解だといえます

 でも、実際の作文では「ここ」や「そこ」ではスムーズに文がつながらない時も少なくありません。

 

 例えば、「その教室」とか「この空間」などというように、こそあど言葉としては「場所を表す言葉」ではない「この」「その」「あの」を利用して場所をしめす表現方法がたくさん使われているのです。

 

 「場所なら『ここ』を使えば良い」という知識だけでは対応できないことがあるというわけですね。

 

 

 作文の中で指示語を使いこなすためには、単純に「ここ」や「この」という言葉を覚えるだけでなく、「このような」「こんなふうに」のように他の言葉と組み合わせた形で、身につけておく必要があるでしょう。また「それぞれの表現が文中のどういう要素に使えるのか」という使い方の理解も欠かせません。

 

 そこで今回は、指示語そのものではなく「指示語を含む表現」について、使われる文の要素ごとにリストアップしてみたいと思います。

 

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◎主語になる指示語

 

 文の基本要素として、以前の記事で「主語」と「述語」について紹介しました。

 

※文の要素に関する記事初回はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 

 まずは、主語(主部)をつくる指示語について考えてみましょう。

「〇〇は」「××が」などの表現ですね。

 

 以下に、よく使われる形をあげていきます。(  )の中は使用例です。

 

これが

これらが

ここが

こちらが

この〇〇が(この動物が)

このような〇〇が(このような出来事が)

こんな〇〇が(こんな意見が)

 

 もちろん、「これが」と同じように「それが」や「あれが」という表現も使えますが、それは省略しました。

 指示語+「が(は)」で主語を作る場合と、指示語+名詞+「が(は)」で主語を作る場合があると考えておけば良いでしょう。

 

 では、述語についてはどうでしょうか。

 

 

◎述語の種類と指示語

 

 以前の記事(上にリンクを貼った第13回)では、述語を3つに分類し、

 

①どうする

②どんなだ(何だ)

③いる/いない(ある/ない)

 

というものがあると紹介しました。

 

 

 ①の「どうする」は動詞を使った述語になります。

今回は③の「いる」「ある」も①と一緒に考えます。

 

こうする

こう書く

 

というように、指示語+動詞で「どうする」を表す述語を作ることができますが、「こう」「そう」など、使われる指示語は限られます。

 

 

 

 ②の「どんなだ」は形容動詞(「きれいだ」「素敵だ」など)です。

 

指示語を使うなら

 

このようだ

こんなふうだ

 

といった表現が考えられますが、作文で使われることはあまりないようです。

 

 

 

 また、②「何だ」は名詞+助動詞(「です」「だ」など)と考えられます。

 

これだ

ここだ

この〇〇だ(この人だ)

こんな〇〇だ(こんな様子だ)

こういう〇〇だ(こういうものだ)

 

「これ」や「ここ」はそのまま「だ(です)」を付けることで、述語になります。「この」「こんな」「こういう」のような言葉は指示語+名詞+だ(です)の組み合わせです。名詞は「ウサギ」「公園」などのように具体的なものを指す言葉が使われる表現もありますが、述語(述部)としては「その時だ」「こんなものだ」「そういうことだ」というように抽象的な名詞や形式的な名詞がよく使われます。

 

 

 

 ②のパターンの述語(述部)には、この他に形容詞(「美しい」「赤い」など)があります。今回は③の「いない」「ない」も、この形容詞と一緒に考えましょう。

 

 指示語と他の言葉を組み合わせて、形容詞として使うという例は見かけません。

 よく見られる例としては、指示語使って程度を表す表現を作り、他の形容詞と組み合わせて述部にする表現で、

 

このくらい〇〇(このくらい大きい)

こんなに〇〇(こんなに楽しい)

このように〇〇(このようにおもしろい)

これほど〇〇(それほどない)

 

などがあります。

 

 

◎ここまでのまとめ

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・1つの指示語でも、他の言葉と組み合わせることによって、文中でいろいろな役割で使うことができます。

 

・作文の中で指示語を使いこなすためには、それぞれの役割を果たせる指示語としてどんなものがあるのかを、指示語単体ではなく他の言葉と組み合わせた形で理解しておく必要があるでしょう。

 

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

  次回の第22回は「指示語を含む表現」について、主語と述語以外の要素「いつ」「どこで」「何を」等で活用されるものを考えます。