ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

書いた文を見直す(上級・前編)~今日から始める読書感想文㊵~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。

 

「今日から始める読書感想文」では現在、書き終わった文章を見直す時のポイントについて考えています。

 

 前回は「並列表現」や「時制」に関する見直しのポイントを紹介しました。

 

※前回の記事はこちら ↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 

 これまでの見直しは、文の誤字脱字等を正す「校正」を中心に考えてきましたが、今回と次回は、より良い文・より伝わりやすい文を目指す「推敲」がメインになります。 

 

 上級編では「読み手の立場を考えて見直す」がテーマです。前後編の2回に分けて、読み手に伝わりやすい文章のポイントを考えていきましょう。

 

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◎見直しのポイント

 

 自分の書いた読書感想文が、「相手の立場に立って読み手に伝わるかどうか」考える上で、大きなチェックポイントは5つです。

 

①相手の知らない言葉を使っていないか。

②相手の知らない知識を前提としていないか。

③その本を読んでいないと理解できないような書き方をしていないか。

④相手の知らない個人的な経験を前提にしていないか。

⑤相手が共感できない感情を前提としていないか。

 

 作文はテレビなどの動画や漫画などの絵を伴う作品とは異なり、文字のみで相手に伝えなくてはなりません。

 文章の趣旨を正しく相手に伝えるためには、中級で紹介したような文法的な観点だけではなく、「相手が理解できる表現を使って伝える」ことを意識する必要があるでしょう。

 

 今回は①と②のポイントについて、もう少し詳しく考えていきます。

 

 

①相手の知らない言葉を使っていないか

 

 少し極端な例になりますが、小さな子どもに読ませるための文章を書くときを想像してみましょう。

 この時「あつまる」なら伝わると思われますが「集合する」だと伝わらないかもしれません。幼い子どもでもわかりやすいような言葉を選んで書く必要があります。表現だけでなく、漢字を使わない配慮が必要な場合もあります。

 とはいえ、難しい言葉のかわりとして、ぴったりの平易な言葉があるとは限りませんね。「豪邸」を「お家」と言いかえてしまうと、明らかにニュアンスが変わってしまいます。それでも「豪邸」では伝わらないでしょうから「大きいりっぱなおうち」というように他の言葉を添えて、自分の伝えたいニュアンスが伝わるように工夫するべきでしょう。

「相手の知らない言葉は使わないようにする」のが原則ではありますが、絶対に使ってはいけないということではありません。「伝わらないかも」と思う部分は、補足の説明等を入れるようにすれば問題ありません。

 

 

 作文の学習では、そうした工夫について扱い、実際に「小さな子ども向けの文章」を書く授業を行うこともあります。

 ただ、読書感想文を書く際には「自分より幼い読み手」に配慮する必要に迫られることはほとんどありませんね。読み手は自分と同世代か、それよりも年長の大人を想定することがほとんどです。

 

 ですから、配慮としては、あまりにも一般的でない単語を使わないようにするだけで良いので、それほど難しくはないでしょう。

 また、若い世代だけで通じるような言葉遣い(「すごい」というニュアンスの「やばい」など)を使わないように注意する必要はありますが、そうした言葉はたいてい「作文では避けるべき表現」とされているものです。相手の立場うんうんというより、初級編で紹介したような「校正」の観点で修正しておくべきことになります。

 

 

相手の知らない情報を前提としていないか。

 

  言葉と同様に、相手の知らない情報を元に論を展開していくと、前提の情報を知らない読み手には全く理解できない文になってしまいます。

 自分と相手で前提となる知識量が違うと、言いたいことが伝わらないことがあるのです。

 

 

 一般常識とされているものについては、わざわざ詳しく書いておく必要はあまりありません。例えば、「地球は回っている」とか「紙は燃える」といった理科常識や、社会の教科書に載っているような人物や出来事などですね。

 ただ、文章の核心部分となる特に重要な内容にかかわることであれば、簡単に書いておいた方が伝わりやすい場合もあります。長々と説明する必要はありませんが、必要な知識を簡潔に書いておくと、自分自身の考えもより伝えやすくなるでしょう。

 

 

◎③~⑤までは後編で

 

 今回は「読み手の立場を考えて見直す」前編として、

 

①相手の知らない言葉を使っていないか。

②相手の知らない知識を前提としていないか。

 

という観点を紹介しました。

 

 次回金曜日の後編では、

 

③その本を読んでいないと理解できないような書き方をしていないか。

④相手の知らない個人的な経験を前提にしていないか。

⑤相手が共感できない感情を前提としていないか。

 

 

について、詳しく考えてみたいと思います。

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。