ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

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どんぶり勘定+α(小3の足し算)~立ち読み計算ドリル⑦~

 こんにちは

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 今回の「立ち読み計算ドリル」は、買い物等で使う「どんぶり勘定」に関する話です。

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 前回は、かけ算・割り算関連の話でしたが、今回は足し算・引き算関連の話になります。

 

※前回の記事はこちら↓ 

kikyouken.hatenablog.com

 

「およその数」つまり「概数」について学ぶのは4年生ですが、今回は3年生の問題を元に考えます。また、考え方としては1年生の問題から生かすことも可能です。

 

 

◎まずは問題です

 

<問題>

 

 Aさん、Bさん、Cさんには、それぞれ欲しいものが3つあります。それぞれの欲しいものの値段は以下の通りです。

 

Aさん 398円、400円、290円

Bさん 495円、210円、298円

Cさん 416円、290円、290円

 

 3人は、それぞれ1000円ずつ持っています。この中で、自分の欲しいものを3つとも買うことができるのは誰でしょうか。(消費税は考えないものとします)

 

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<答え>

 

 正解はCです。詳細は後ほど。

 

 

◎どんぶり勘定の基本

 

 一言で「どんぶり勘定」と言っても、方法はいくつかあります。

 

 例えば上の問題で考えるなら、まず最初に百の位のみに着目する方法と十の位まで考える方法が考えられるでしょう。

 

Bさん 495円、210円、298円 を例に考えると、

 

百の位のみに着目するなら

500円、200円、300円

 

十の位まで考えるなら

500円、210円、300円となります。

 

 

 この合計を考えた場合、百の位のみの計算では1000円におさまっていますが、十の位まで考えて計算すると1000円を超えているという結果になっています。

「どんぶり勘定」の仕方によって結果が変わってしまうのですね。

 

 電卓等を利用して実際の数値の合計をしてしまえば、

 

495+210+298=1003

 

ですから、1000円以内にはおさまっていません。

 

 百の位のみの方が計算は楽ですが、十の位まで考えた方がより正確な判断ができるということでしょうね。

 

 

◎買い物における「どんぶり勘定」

 

 とはいえ、一番大きな位(この問題では百の位)だけを考えて計算するのと、2番目に大きな位(この問題では十の位)まで考えて計算するのでは、計算の大変さが全く違います。できれば、一番大きな位のみの計算で済ませたいものです。

 でも、その結果「どんぶり勘定では足りそうだったのに、実際にはお金が足りませんでした」では困ってしまいますね。

 

 そこで、実際の買い物の場面でどんぶり勘定をする場合には1つの鉄則があります。

 

 それは「切り捨てはしない」ということです。

 四捨五入ではなく、全て切り上げて考えます。

 

 少し極端な例になりますが、先ほどのBさんについて、百の位に着目して考えてみましょう。

 

Bさん 495円、210円、298円 

 

を四捨五入すると

 

500円、200円、300円

 

となるわけですが、これを切り上げのみで処理すると

 

500円、300円、300円

 

となります。

 

 210円は200円の方に近いはずですが、「300円あれば買えるだろう」という風に考えるわけです。

 

 実際の金額からはかけ離れる場合がありますが、「どんぶり勘定で買えると思っていたら、買えなかった」という事態を防ぐことができますね。

 

 

◎細かい判断をするなら

 

 このような方法で、「明らかに買えるもの」をどんぶり勘定で判断することができます。

 でもこの方法では、足りるか足りないか微妙な数値の場合適切に判断できません。そこでどんぶり勘定から離れて細かく計算をする必要があります。

 

 もちろんそれぞれの価格を足せば正解が分かるのですが、品数や桁数が増えていけば暗算で足すのが困難になっていきますね。

 そこで、どんぶり勘定を生かしつつ計算する方法を考えます。「およその数」を求めたうえで、「その数からどのくらい離れているか」を計算するのです。

 

 

 実際の問題で考えてみましょう。

 問題のA、B、Cについて、それぞれ百の位のみの概数を考えます。

 

例えば Aさん 398円、400円、290円 

400円、400円、300円となりますね。

 

4+4+3=11 ですから、

400+400+300=1100 です

 

 このざっくりした計算の時点で1000円から大きくオーバーしていますから、この3つを1000円で買うことは難しいだろうと判断できます。

 

 

では次に、Bさん 495円、210円、298円 です。

 

先ほど書いた通り、百の位のみの概数にすると

500円、200円、300円 となります。

 

5+2+3=10ですから、500+200+300=1000ですね。

この時点では、1000円に近いというだけで、1000以内なのかオーバーしているのか判断できません。

 

 そこで、実際の価格が、それぞれの概数とどのくらい違いがあるのかを考えます。

 

 例えば「495円」は「500円より5円安い」ので

495→500-5

と書きかえられます。

 

 この考え方でBさんの3つの価格の数を書き直すと

500-5、200+10、300-2

となります。

 

青い部分は先ほど計算した通り合計1000ですが、赤い字の部分に注目すると、

10-5-2=3

となります。これにより、トータルでは1000よりも3多いということがわかります。

 つまり、Bさんの3つの数の合計は1000に3を足した1003です。

 1000円で買おうとすると、ほんの少し足らないということですね。

 

 

 では、 Cさん 416円、290円、290円 ではどうでしょうか。

 Bさんのときと同様に3つの数を書き直すと、

 

416→400+16

290→300-10

290→300-10

 

 概数としては、400+300+300=1000です。

 それに対し、16円高い部分がありますね。

 その一方で、10円安い部分が2か所、合わせて20円安くなっています。

 

「概数よりオーバーしている部分が16円分ある一方で、概数より安い部分が20円分ある」

ということから、

「トータルでは概数より4円安いはず」

ということが判断できます。

 

 厳密な計算は中学で習う「正負の数」をふまえたものになりますが、この「概数との差に着目する」考え方で細かい数値を求めるのは、小学生でもそれほど難しいことではないでしょう。

 実際の買い物で、「99円」「108円」などの価格が頻繁に出てきますから、是非機会があったら生かしてみてください。

 

 

◎まとめると

 

・どんぶり勘定は便利ですが、どうしても正確さは欠ける時があります。

 

・そのため、買い物でのどんぶり勘定は「常に切り上げる」方法で高めに見積もる必要があります。これにより、実際の数値との差が大きくなることがあっても「思っていたより高かった」という事態を防げるのです。

 

・正確な数値を出す場合には、概数で計算したうえで「それぞれの数が概数とどのくらい違うのか」に注目すると良いでしょう。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。