ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

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九九を使いこなす(前編・小2のかけ算)~立ち読み計算ドリル⑩~

 こんにちは

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

   紙や鉛筆をなるべく使わずに答えを判断する工夫について考える「立ち読み計算ドリル」。

今回は「かけ算九九」がテーマです。

 

 

 前回・前々回と少し細かい数の計算を扱ったので、今回はもう少し下の学年の、親しみやすいテーマにしました。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 

 九九といえばまず「暗唱」ですね。でも、「いんいちがいち」から「くくはちじゅういち」まで言えるようになることと、九九を理解して使いこなすことの間には、かなり大きな隔たりがあります。

 今回は「暗唱できるようになった後に、ステップアップとしてマスターしたいこと」を考えていきましょう。

 これまでの記事では1つの問題について詳しく考えていきましたが、今回は複数の問題を扱います。

 

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◎まずは1問目

 

<問題>

 

 次の①~③の九九について、1つ前の九九(式と答え)を言いましょう。

 

(例 さざんがく→さんにがろく

 

① くくはちじゅういち→

 

② ろくしちしじゅうに→

 

③ しちしにじゅうはち→

 

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<答え>

 

① くくはちじゅういち→くはしちじゅうに

 

② ろくしちしじゅうに→ろくろくさんじゅうろく

 

③ しちしにじゅうはち→しちさんにじゅういち

 

 

◎逆から暗唱してみる

 

「九九」自体が暗唱できるようになった後、次に練習するのは「順番を変えて出題されたものに答える」ことです。

 

 例えば九の段を一通り暗唱できるようになったら、次は

 

「くさん(9×3)?」

「くは(9×8)?」

「くご(9×5)?」

 

というように、順番を変えて出題し、それに素早く答えられるようになるまで練習を繰り返すのですね。

 

 さらに一の段から九の段まで全て覚えた後に、

 

「ごご(5×5)?」

「にはち(2×8)?」

「しちさん(7×3)?」

 

というように、いろいろな段の問題を混ぜて練習します。

 

 これが身につけば、1~9までのかけ算の問題は全て素早く答えられるようになりますね。

 単純に「九九を暗唱できる」だけでは、例えば「7×6」を出題されるたびに

「しちいちがしち、しちにじゅうし、しちさん…」

と、「しちろく」が出てくるまで唱え続けなくてはいけません。かなり時間がかかります。「×1」から順番に唱えていかなくても、ピンポイントで必要な部分だけ思い出して唱えられるように練習することは、その後たくさんの問題を解いていくうえで重要です。

 

 その際の練習として「逆から唱える」練習をしておくと、とても役にたちます。

 単純に「ランダムに出題される問題に対応するための練習」にもなりますが、ちょっとした加減で必要な部分をど忘れしてしまったときや、学年が上がり余りのある割り算で商(割り算の答え)を求める際などに「『×1』からではなく、必要な九九に近い部分から考え始められる」というのは非常に便利なのです。

 

「九九の暗唱」が身についたら、「9×9からさかのぼっていく暗唱」についても、是非練習しておきましょう。

 

 

 

◎暗唱マスター後の2問目

 

<問題>

 

 次の①~④について、▢に当てはまる数を答えましょう。

 

例 18、21、▢ → 18、21、24

 

① 20、25、▢ →

② 35、▢、49 →

③ 20、16、▢ →

④ 72、▢、56 →

 

 

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<答え>

 

① 20、25、▢ → 20、25、30

② 35、▢、49 → 35、42、49

③ 20、16、▢ → 20、16、12 

④ 72、▢、56 → 72、64、56

 

 

◎「何の段」なのか

 

 高校生の数学で「等差数列」と呼ばれているものですね。小学1年生の学習でも、「2とびの数」「5とびの数」などについては、こうした穴埋め問題が出題されます。 

 

 ①と③は、かけ算を覚えていなくても「いくつずつ増えているんだろう」と考えれば答えられるでしょう。②と④も計算で求めることは不可能ではありませんが、九九を利用して考えた方はるかに楽だと思います。

 

 

 ② 35、▢、49 を例に考えてみましょう。

 

3549は、どちらも七の段にあったな

35=7×5、49=7×7だから、間に入るのは7×6

7×6=42で、答えは42

 

というような思考をたどることになりますね。

 かけ算に慣れてしまった大人にとっては「どうやって答えを導くか」など深く考えるまでもなく答えが浮かんでしまうかもしれませんが、九九を覚えたての子どもにとってはかなり難しい問題なのです。高学年になっても即答できない子もいます。

 

 かけ算の答えとなる数字を見て「何の段の九九で出てきたか」を答えられるようにしておくことは、3年生以降の学習で重要になります。

 割り算で商を判断する際に活用できるだけではなく、分数の「約分・通分」がスピーディにできるかどうかに大きく関わってくるのです。

 

 

 また、かけ算の概念を理解できていなくても、暗唱ができるようになりさえすれば「3×5」などの問題は全て答えられてしまいます。でも、九九の暗記のみに頼ってかけ算の計算問題に正答していた場合、上記のような問題を出題された時に「かけ算を利用して答える問題だ」という発想が出てきません。

 かけ算の概念を理解しているかを確認したり、理解が不十分な場合に概念の理解を深めたりするためにも、機会をみつけて等差数列の穴埋め問題に挑戦しておくと良いでしょう。

 

 

◎後編に続きます

 

「九九をマスターできたか」判断するうえで、まず最初の基準となるのは「暗唱ができるかどうか」でしょう。

 でも、実際に算数の学習活動を円滑に進めるためには、暗唱のマスターだけでは不十分です。

 

 2年生の時点で完璧に使いこなせるようになるのは難しいでしょう。計算問題で100点をとったところで「もう九九の勉強は終わった」と考えず、いろいろな問題にふれて理解を深める機会を作ることをお勧めします。

 今回は「理解を深める」ポイントとして、2種類の問題を紹介しました。

 

 後編では、今回扱わなかったポイントについて考えていきましょう。

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。