ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

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ひらがな学習のための小ネタ集㉕~ピカピカの一年生の教養81~

 

 こんにちは

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

    現在当ブログでは毎週金曜日に、ひらがなを書く練習をする時に覚えておくと役に立つ、ちょっとしたコツの紹介をしています。今回はその25回目です。

 

※前回の記事はこちら↓ 

kikyouken.hatenablog.com

 

 今回は「う」について考えてみましょう。

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「う」は見たところ、それほど複雑な形ではありませんね。画数も2画なのでひらがなの中でも少ない方だといえるでしょう。

 ここ最近ポイントとなっていた「接する」とか「交差する」といった要素もありません。

 ただ、いざ書くとなると難しい点がいくつかあるため、まずはそれを紹介します。

 

 

◎書き順による難しさ

 

 まず第一のポイントが「文字の大半を2画目で書くことになる」という点です。

 

「う」の一般的な書き順では、まず1画目として上側にある「点のような部分」を書き、その下側にある「『つ』を縦に伸ばしたような形」を2画目として書くことになります。

 

 1画目の時点では全体の形が掴みにくく、「完成した時にちょうど良いような1画目を書く」ということに苦戦する子どもも少なくありません。そのせいか、字を書くことに苦手意識を持っている小学2~3年生くらいの子どもと接していると「『う』の下の部分(一般的に2画目とされている線)を先に書き、後からその上側に点(一般的に1画目とされている線)書く」という姿を見かけることもあります。

 この「学校で教えられる書き順とは違う順番で書くこと」については、なかなか一言では良いとも悪いとも言えません。というのも、それぞれの子どもの状況や取り巻く環境などによって考え方が変わってくるからです。書き順は「う」に限ったことではなく他の字にも関わるテーマになるので、別の回に改めて考えていきましょう。

 

 ただここで言えることは「何度書き順を説明しても、下の線から書こうとする」という場合、「子どもが上の点からだと書きづらいと感じている」可能性があるということです。その場合は、マスだけの用紙に書く前に、なぞり書きを多めに繰り返したり、下の図のように範囲を細かく指定したマスに書く練習をするなどの方法があります。

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※子どもが練習を始める前にあらかじめ赤と青で枠を書き足しておき、赤い▢の中に1画目を、青い▢の中に2画目を書くよう伝えます。
 

 

◎教科書の字はシンプルなのに 

 

 また、もう一つのポイントとして「見本のバリエーションが多い」という点があります。

 

 小学校1年生の教科書に載っている見本には「はね」がないのですが、他のペン習字等のテキストなどで「はね」といいますか、かぎ状の突起のようなものがついているのを見かけたことはありませんか。

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↑こちらは極端な例ですが、2画目の始めにまで折り返す部分が見られる例もあります。

 また、そこまではっきりしたものではなくても

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↑この赤い丸の部分のように多少の変化が出ているものもありますよね。

 

 フォントによって、字の形が微妙に異なるのです。

 

(※「う」のフォントによる形の違いについては、こちらの記事でも書きました↓)

kikyouken.hatenablog.com

 

 いろいろな「う」を見続けている日本人からするとどれも同じ「う」です。

何かメモとして書き写そうとしたなら、どのフォントの「う」を見ても、自分がもともと覚えている「う」を書くでしょう。

 でも、まだ「う」の字をしっかり覚えていない子どもの場合、素直に見た通りの形を写します。すると、「う」の見本を見て真面目に書いたはずなのに、書きあがったものは「ら」や「ろ」に近いものになってしまうこともあるわけです。せっかく真面目に書き写したのに、「それは違うよ、(その突起は)いらないよ」と言われてしまいかねません。何が正解かわからず混乱してしまいますね。

 

 小学1年生の国語教科書に書かれている「う」には余計な部分が付いていないですし、学校で配られるひらがな学習ドリルやプリントでも基本的には同じです。でも、市販のドリルなどの場合、先ほど紹介したような装飾のようなものがついているのを見かけることがあります。

 1年生でもある程度学習が進んで「う」の形を覚えてしまっていればそれほど問題ないのですが、まさに「お手本を見てその通りに書こうとしている」段階の時にはそのようなドリルは避けるべきでしょう。

 学校外で子どもが「う」の練習をする場合、使用するドリル等の字をチェックしておくことをお勧めします。

 

 
◎それぞれの配置は?
 

 ひらがなの学習といえば、縦横それぞれの「真ん中」にあたる部分に補助線を引いたマス目が使われますが、「う」の詳しい形を見るために、今回はその間にさらに補助線を引いてみましょう。

 

↓このような線です。 

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 フォントによってはとても丸っこい雰囲気の「う」もありますが、教科書体の「う」は縦に細長くなっています。左右1/4のスペースは使われていません。

 

 ↓グレーの部分には何も書かないというわけです。

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  そして上下で考えると、一番上の1/4(上の図でピンクの部分)を使用して1画目を書き、2画目で残りの3/4(水色の部分)を使用します。 

 これを意識すると、ある程度バランスが取れてくるでしょう。あとは、中央の縦線との位置関係ですね。

 

 1画目は中央よりも少し左側から書き始め、中央の線を越えて伸びていく右下がりの線です。どちらかというと中央の縦線よりも右側の方が長くなります。

 2画目の書き出しは右上がりの線です。中央の縦線の左側から書き始め、縦線を超えてから左下へ曲がります。そして縦線まで戻ってきたところが終点になるように意識すると良いでしょう。

 

 

◎まとめると

 

・「う」の線の大半は2画目に書かれるため、全体像がとらえにくい1画目を難しく感じる子どももいます。対策としては、なぞり書きを繰り返したり、補助線の引かれたプリントを活用したりするなどの方法があります。

 

・学校で教えられる「う」の字と形の異なる「う」を見本にしているドリルもあるので、使用する際にはチェックしてみてください。

 

・字の細かい形は、マス目を16分割してみるとわかりやすくなります。

 

  

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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