ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

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ひらがな学習のための小ネタ集㉚~ピカピカの一年生の教養86~

 こんにちは

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 お久しぶりです。

 実に1年半ぶりくらいの更新となってしまいましたが、お久しぶりのご挨拶はこの記事の趣旨とずれてしまうのでまたの機会にして、さっそく「ひらがな学習のための小ネタ集」話題に入らせていただきます。

 

 この「ひらがな学習のための小ネタ集」シリーズでは、ひらがなを書く練習をする時に覚えておくと役に立つ、ちょっとしたコツの紹介をしています。今回はその30回目です。

 

 

◎「気が向いたら」ではすまない時

 

 このシリーズではこれまで、基本的に「子ども自身がひらがなに興味を持ったタイミングで学習する」ことを前提に記事を書いてきました。

 あくまでも本人が「やりたい」と思った時に、その「やりたい」気持ちを大事に守りながら本人のペースで進めていきましょうと。

 

 とはいえ、学校に入学して授業が始まると、「明日までの宿題」として文字練習のプリントを配られることが珍しくなくなります。そうなると「きょうは気が向かないから明日やる」というわけにはいかなくなってしまいますね。

 文字を書くのが得意な子どもであれば「今日は面倒くさい」「今すぐ遊びたい」という気持ちがあったとしても、気持ちを切り替えてなんとか仕上げることもそれほど難しくはないかもしれません。時間もそれほどかかりませんんし。

 でも、もともと文字の練習に苦手意識のある子どもの場合、1枚のプリントをこなすのには周囲の子よりも時間がかかりますし、そのうえ気もすすまないとなれば仕上げるのにかなりの苦痛が伴うこともあるでしょう。それでも無理に終わらせようとすると、学習全体に対して「勉強は苦痛を伴うもの、できればやりたくないもの」というイメージが定着してしまいかねません。

 

 今回はそんな場面でなるべく苦痛を感じずに乗り切るための方法をいくつか紹介していきたいと思います。

 

 

①すごろく風

 

 あまりやりたくない作業を、なるべく楽しく終わらせたい。 

 こういった状況で必ずと言って良いほど出てくる言葉が「ゲーム感覚」です。

 

 その方法はいろいろあるでしょう。作業自体をゲーム風にする方法もありますし、別のゲームと絡めてゲームの一部と感じられるようにする方法もあります。

 ここで紹介するのは、どちらかというと後者といえるでしょうか。

 

 ルールはシンプルです。サイコロを投げて、出た数の分だけプリントに文字を書いていきます。書くべき箇所が全て埋まれば「ゴール」です。

 すごろくといえば複数人でゴールする順番を競うものですが、「ゴールしたらおやつにしようね」とか、「ゴールしたらDVDを見ようね」など、ゴール後に楽しみを設けておけば、対戦相手がいなくてもゲーム感覚で楽しめます。

 さらに、可能であれば大人側がゲームに参加した方が、よりゲーム性は高まるでしょう。もしご自宅でプリントのコピー(スキャン+印刷)が可能であれば、大人が使う分のプリントを一枚用意してください。コピーが難しい場合は、任意の紙にマス目を書きます。マスの数は、原則としては宿題で書かなくてはいけない文字数分のマス目と同数で良いと思いますが、状況によって「ハンデ」として数を調整すると子どものモチベーションをあげられます。

 

 

②スタンプカード風 

 

 上の「すごろく風」と似た方法ですが、こちらはより「書くのが苦手」な子ども向けとなります。

 じゃんけんやトランプの簡単なゲームなどを行い、子どもがが勝ったら、子ども自身が宿題のプリントに一文字書き入れます。全て書き終わったら「ゴール」です。「簡単なゲーム」は子どもに合わせたものを設定するのが良いでしょう。子どもが関心をもっているものに関するクイズ(正解したら一文字書く)が良い子もいるでしょうし、身体を動かすゲームにすれば「じっとしているのが苦痛」というタイプの子も取り組みやすくなります。

 すごろく風の場合は一度に何文字も書くことになるのに、このスタンプカード風の場合は一文字ずつ書くので1回ごとの負担が少なくなるというメリットがあります。ただ、つきっきりで一緒に「ゲーム」をする相手が必要になるのがデメリットになるでしょうか。

 また「1文字書くだけでも大変!」というケースについては後述します。

 

 

③単純作業に分解する

 

 上記の①②のやり方では、「学習に集中できていないし、文字が覚えられないのでは?」と心配する方もいるでしょう。確かに「集中して黙々と練習する」場合に比べて学習効率は低くなる可能性が高いでしょう。しかし「やる時はしっかりやる」ことにこだわって「やる気がでないから一切やらない」で終わってしまったら、効率以前の問題になってしまいます。今回の記事では「楽しく乗り切る」ことを第一の目標にしていますから、①②のような方法も紹介しました。

 

 ただ、最後に紹介する方法に関しては、学習効率という点でもメリットがあるかもしれません。

 

「ひらがなの練習」といえば文字単位で練習するのが一般的ですが、パーツに分解してパーツごとに書いていくというのがこの方法です。

 これを読んでいる方の中にも、漢字練習でやったことのある方がいらっしゃるのではないでしょうか。例えば「聖」という漢字を1行12文字書かなくてはならなくなった時に、まず左上の「耳」だけを12個書いて、次にその12個の「耳」の右隣にそれぞれ「口」を書き込んでいき、その「耳口」の下に「王」を書いて「聖」の字にするのです。複雑な字をかくよりも単純作業に近くなるので、一度に考えなくてはいけないことが減って楽になれる部分があります。

 ひらがなの練習で考えると、例えば「に」の練習をする宿題の場合ならば、まずは1画目の縦線を全てのマスの左半分に書き込み、それが終わった後に2画目の横線を全てのマスの右上に書き込み、最後に3画目の横線をそれぞれのマスの右下に書いていくという方法になります。

 この方法については「深く考えずに済むから頭が楽」→「楽している分字全体の形を意識できていない」というイメージから、「終わった後に字の形を覚えられていないのでは」と学習効果が低いと考える方も少なくないようです。ですが一つ一つのパーツに丁寧に着目できることから、学習段階によってはかえって字形を覚えやすい場合もあります。

 

 

④困難が続く場合は

 

 以上の①~③は文字の練習の宿題が少し苦痛な時、気が乗らない時などに、考える負担を軽減したり気分を変えたりして乗り切る方法になります。

 しかし子どもによっては、こうした方法だけでは乗り切れない場合もあるでしょう。1文字ずつ書くだけでも大変だとか、1画ずつとらえるのが難しいとか、そういうケースです。

 その場合は家庭の中だけで解決しようとするのではなく、担任の先生と相談することも考えてみると良いでしょう。

 あまりに宿題をこなすのが大変で何時間かけても終わらないという場合、学習自体がネガティブなイメージがつきやすくなってしまいますし、「睡眠不足で学校の授業に集中できない」「宿題が終わっていないから学校に行きづらい」など、学校生活に良くない影響が出てしまうことも考えられます。楽しく学校に通えるようにするための前向きな相談をしてみた方が良いかもしれません。

 場合によっては宿題の内容そのものを見直す必要もありますが、そうでなくても「書くことに慣れるまでは、大人が書いた見本をなぞる」「配られたプリントを拡大コピーしたものを宿題として取り組み提出する(マスの大きさが変わるだけで、取り組みやすさが変わることもあります)」といった選択肢も考えられます。

 

 

◎まとめると

 

・子どもがひらがな練習の宿題に苦痛を感じている場合は、勉強にネガティブなイメージがつかないようは工夫をして取り組むことをお勧めします。

 

・工夫の例としては、ゲーム形式にして気分を変えたり、わかりやすいパーツつ分解して頭の負担を軽減したりする方法などがあります。

 

・ご家庭の工夫だけでは困難が続いてしまう場合は、担任の先生に相談してみるのも解決方法の一つです。

 

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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