ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

ひらがな学習のための小ネタ集⑩~ピカピカの一年生の教養66~

 

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 現在当ブログでは毎週金曜日に、ひらがなを書く練習をする時に覚えておくと役に立つ、ちょっとしたコツの紹介をしています。今回はその10回目です。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 以前の記事で「く」「へ」「し」「つ」など1画の中でも比較的シンプルなひらがなについて扱ってきました。前回はその後に学習する字として「り」をお勧めしました。

 1画の文字は上記の4つ以外にもあるのですが、形が複雑な1画の字よりも、2画でもシンプルな字形の「り」や「い」「こ」の方がとっつきやすいと感じる子どもが多いと思われるため、その2画の中でも書きやすい「り」を紹介したというわけです。

 

 今回は少し、1画の文字の話に戻ります。

 

 

◎「折り返し」の難しさ

 

「そ」や「ろ」などの文字では複数回折れ曲がるうえに、曲がり方にも複数の種類があるのが難しいところです。カクっと曲がるところもあれば孤を描くようにまるく曲がることもありますね。何回曲がるのか、それぞれどちらの方向に曲がるのか、どこで曲がるのか等、把握しなければいけないポイントがたくさんあります。

 ただ、折り返す文字の中にはもう一つ、字を書くことに慣れていない子どもにとって難しいポイントがあるのです。

 

 それは「一度自分で書いた線をたどる」ということです。

 

「え」や「ん」で目立つポイントですが、折り返した後に特定の場所まで戻るという作業がありますよね。

 

 例えば「ん」を書く時を考えてみます。

 

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 まずは左下へ斜めの線を引いたあと折れ曲がりますが、その時

  

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途中までは、折り返す前に自分が書いた線をなぞるようにして戻ってきます。

 

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 そして、途中からこれまでの通り道から外れて右の方へと線を書いていくわけです。

 

 文字の練習を始めたばかりの子どもの中には、この「既に自分が書いた線をなぞって、途中まで戻る」という作業にピンとこない子もいます。

 

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 そうすると、どうしても隙間が空いて不自然な形になってしまいます。全体の形のバランスがかなり整っていれば隙間が空いていても「ん」には見えるのですが、ちょっとしたバランスの違いで「ん」と読めなくなってしまうため、やはり「折り返して線をなぞる」ことは覚えておいた方が良いでしょう。

 

 このような線の重なるパターンが目立つのは「ん」と「え」ですが、他の文字でも折り返した際にわずかに重ねて書いた方が良い部分はたくさんあります。

 

 例えば「て」を書く際の最初の折れ曲がる箇所では、

 

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左の「て」のように、折り返し直前と折り返し直後の線を重ねた方が形を整えやすくなります。実際に見本の字自体に少し重なっている箇所があるため、右の「て」のように折れ曲がった線の間に隙間があると、見本の通りに書くのが難しくなるのです。

 

 

◎ポイントを指定して練習してみる

 

「折り返し後に前の線をなぞる」ということにピンとこない場合は、いったん文字の練習から離れて、折り返す練習だけを重点的に行う時間をとることをお勧めします。

 

 まずは、ポイントを指定して「ここまでは同じ場所を通る」「ここからは分かれる」と決めて練習すると良いでしょう。

 

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 このような形で4つの点を書いておきます。中央の色の違う点が特に重要な目印です。

 

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 左上の赤い点から中央の点を通り、下の赤い点で折り返します。折り返した後は青い点まで、元来た道を戻ることを意識するわけです。青い点まで戻ってきたら、元々通っていた線から離れ、右上に行きます。

 

↓このような形にならないよう気をつける練習です。

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 この向きでできるようになったら、横向きや斜めなど、いろいろな向きの折り返しを練習してみてください。

 

◎まとめると

 

・少し複雑な文字の練習をする前に「元来た道を戻る」線をかけるか確認してみましょう。

 

・「折り返して、一度自分が書いた線を途中までなぞる」という作業に子どもがピンときていない場合は、一度ひらがなから離れ、「元来た道を戻る」練習を重点的に行うことをお勧めします。

 

・まずは通過点を指定すると練習しやすくなります。慣れてきたらいろいろな向きにチャレンジしてみましょう。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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