ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

音楽で先取り学習?~「歌唱共通教材」を紹介~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。

 

 今日は小ネタとして、音楽の「先取り学習」について考えます。

 

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◎「楽しめること」が第一ですが

 

 どの教科であっても、もともとの得手不得手・向き不向きがありますから、特別何か努力をしなくてもその教科が得意な子がいる一方で、あれこれ人一倍努力をしても特別芳しい結果を出せない子もいます。

 

 特に技能教科でその傾向は顕著なようです。

 皆が注目するほどの特筆すべき結果を出せるかどうかと、授業中やその前後でどれだけ努力したのかは、残念ながらイコールで結びつくとは限らないですよね。

 また、体育や音楽などについては「体格」などの発育状況による条件や「聴覚過敏」など生まれ持った特性などによって左右されるので、無理に「周囲と同等の結果を、周囲と同等以上の結果を!」と求めても、しんどい思い出だけが残ってしまいかねません。

 運動や音楽などとは誰もが一生付き合っていくものですから、長い目で見ると「嫌いにならないこと」「自分なりの楽しみ方を見つけること」が一番重要ではないかと思います。

 

 でも、中学生になると内申が気になったりもしますし、やはりある程度「できた」という実感があった方が楽しいと感じやすくなるのも事実です。授業やテストに取り組みやすくなるよう事前に準備しておけることを考えておくのも一つの方法でしょう。

「音楽の先取り学習」というわけです。

 

 

◎何をすれば良いの?

 

 以前の記事で、算数の先取り学習に役立つサイトを紹介しました。  

 

※記事はこちらです↓

(この記事も今回と同様に先取り学習を強く推奨する趣旨はありません。)

kikyouken.hatenablog.com

 

 

 算数の場合は「いつ、どのような内容を学習するか」が非常にはっきりしているので比較的「先取り」しやすい教科です。

 音楽の場合は、年度のはじめに教科書に載っているもの全てを扱うとも限らず、算数・数学に比べてはるかに「先取り」しづらい教科だといえるでしょう。

 

 でも、あまり知られていませんが、教科書の内容には一部「これはどの学校でも扱う」と、ほぼ決まっている部分もあるのです。

 それが「楽典」と「歌唱共通教材」です。

 

「楽典」というのは西洋音楽の基本的なルールです。「四分音符」とか「ト音記号」など楽譜に使われる記号などが一番イメージしやすいでしょうか。「三拍子」とか「長調」なんて言葉も授業で習いますね。

 英語の授業での「文法」のようなものだといえるでしょう。英語の教科書にのっている文章は出版社によってまちまちですが、扱う文法は変わりません。

 

 それと同様に、音楽の教科書にのっている曲は出版社ごとに異なっても、おさえるべき楽典の内容は決まっています。

  これは文部科学省が、全国どこの学校に通っても一定の教育内容が保証できるように「学習指導要領」というものを定め、そこで具体的に内容を指定しているためです。

 この学習指導要領は10年くらいのスパンで改訂されていきます。ちょうど現在、新旧切り替えの時期に来ていますが、楽典に関する変更はほとんどありません。

 

 参考までに文部科学省の該当ページのリンクをはっておきます。

 

文部科学省 平成29・30年度学習指導要領、解説等」

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm

 

 ただ、楽典の内容がわかったところで、子どもが先取り学習するのはなかなか難しいと考えられます。

「テストに出やすい内容」なので、学習しておくと成績と結びつきやすい部分ではあるのですが、やはり実際の音楽の中で触れていかないとピンとこないものが多いのです。

 

 

 そこで、先取りとしてお勧めしたいのは「歌唱共通教材」の方です。

 

 先ほどの「学習指導要領」の中には「歌唱教材として、この曲を扱いましょう」と明記されている曲がいくつかあります。それが「歌唱共通教材」です。

 

 中学校では3年間分で7曲が指定されていて、毎学年でかならず一曲ずつは扱うようにとされています。

 

 小学校では学年ごとに4曲ずつ指定され、5・6年生では4曲中3曲は扱うようにと書かれています。4年生までは4曲とも必ず扱うようにとされているので、当然各教科書にのっています。

 

 音楽に苦手意識がある場合、以前から知っている曲かそうでない曲かで、取り組みやすさは全く変わってくるでしょう。もちろん無理やり関わらせて嫌いになってしまっては逆効果ですが、家で聞いたり歌ったりする機会をつくって、メロディーや歌詞を覚えておくのがお勧めです。

 

 

 ◎歌唱共通教材一覧

 

小学校1年

 

「うみ」 (文部省唱歌) 林 柳波作詞 井上武士作曲
「かたつむり」 (文部省唱歌)
「日のまる」 (文部省唱歌)高野辰之作詞 岡野貞一作曲
「ひらいたひらいた」 (わらべうた)

 

小学校2年

 

「かくれんぼ」 (文部省唱歌)林 柳波作詞 下総皖一作曲
「春がきた」 (文部省唱歌)高野辰之作詞 岡野貞一作曲
「虫のこえ」 (文部省唱歌)
「夕やけこやけ」 中村雨紅作詞 草川信作曲

 

小学校3年

「うさぎ」 (日本古謡)
「茶つみ」 (文部省唱歌
「春の小川」 (文部省唱歌)高野辰之 作詞 岡野貞一 作曲
「ふじ山」 (文部省唱歌巌谷小波 作詞

小学校4年

 

「さくらさくら」 (日本古謡)
「とんび」 葛原しげる作詞 梁田貞 作曲
「まきばの朝」 (文部省唱歌船橋栄吉 作曲
「もみじ」 (文部省唱歌)高野辰之 作詞 岡野貞一作曲

 

小学校5年

 

「こいのぼり」 (文部省唱歌)
「子もり歌」 (日本古謡)

「スキーの歌」 (文部省唱歌) 林柳波作詞 橋本国彦作曲
「冬げしき」 (文部省唱歌)

 

小学校6年


「越天楽今様(歌詞は第 2 節まで)」(日本古謡) 慈鎮和尚作歌
「おぼろ月夜」 (文部省唱歌) 高野辰之作詞 岡野貞一作曲
「ふるさと」 (文部省唱歌) 高野辰之作詞 岡野貞一作曲
「われは海の子(歌詞は第 3 節まで)」(文部省唱歌)

 

中学校


「赤とんぼ」 三木露風作詞 山田耕筰作曲
「荒城の月」 土井晩翠作詞 滝廉太郎作曲
「早春賦」 吉丸一昌作詞 中田章作曲
「夏の思い出」 江間章子作詞 中田喜直作曲
「花」 武島羽衣作詞 滝廉太郎作曲
「花の街」 江間章子作詞 團伊玖磨作曲
「浜辺の歌」 林古溪作詞 成田為三作曲

 

 以上が歌唱共通教材でした。

 

 特に、中学校の音楽のテストでは作者について問われることも多いので、各曲の作詞者や作曲者について覚えておくと対策になります。

 

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。