骨組みを考える(双括構成・前編)~今日から始める読書感想文㉟~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。
「今日から始める読書感想文」では、現在「文章の骨組み」をテーマにしています。
今回紹介する骨組みは「双括構成」です。
※この「双括構成編」は前後編になります。
前編となる今回は、「双括構成」とはどんなものなのか、簡単な例やメリット・デメリットを紹介し、
次回の後編で「双括構成」で文を書くポイントについて考えていく予定です。
◎双括構成とは
双括構成は、一言でまとめれば「文の最初と最後両方に結論を書く」構成です。「双括型」とも呼ばれます。
前回紹介した「頭括構成(頭括型)」は結論を最初に書き、その後その結論に対する根拠や詳細を書くという構成でした。
※前回の記事はこちら↓
また、この「頭括構成」とは逆に、まず結論に至るまでの前提や理論を先に書き出しておき、最後に結論を書いて締めくくる形があるということについてもふれました。この構成を「尾括構成(尾括型)」と呼びます。
双括構成は、頭括構成と尾括構成の双方の要素を持っているということになりますね。
典型的な例が、ピタゴラスイッチの「今日のトピック」のコーナーでよく見られます。
〇〇だと便利なものがたくさんありあます。
便利な例1
便利な例2
便利な例3
このように、〇〇だと便利なものはたくさんあるのです。
というような構成になっているのを見たことはないでしょうか。
このように、その文章の柱となる内容を、文章の最初と最後に書くのが「双括構成」です。
「頭括」「尾括」「双括」と3種類出てきたので、
ここで3つを簡単にまとめておきましょう。
「〇〇」が結論だとすると、
<頭括構成の例>
・〇〇です。なぜなら~~だからです。
・〇〇です。例えば~~です。
<尾括構成の例>
・~~です。だから〇〇なのです。
・~~です。つまり〇〇なのです。
<双括構成の例>
〇〇です。なぜなら~~だからです。つまり〇〇なのです。
〇〇です。例えば~~です。このように〇〇なのです。
という構成に、それぞれなっています。
◎「双括構成」のメリットとデメリット
「双括構成」は、ある程度長い文章や、論旨が複雑になる文章を書く時に向いていると言われています。
要は「ちょっと読みづらい文でも読みやすくなる」構成だということでしょう。
最初に結論が提示されていることで、その先に長く複雑な文章が続いていても、読み手側はテーマを見失わずに読み進めることができます。
また、仮に途中の内容にややこしさを感じていたとしても、最後にもう一度結論が明示されることで、「とにかく筆者が言いたかったのはこのことだったのね」ということが伝わりやすいのですね。
そして、結論が2回書かれることで、「筆者の言いたいこと」が強調されて印象に残りやすくなるというのも大きなメリットです。
一方でデメリットとして、悪い意味でも印象に残ってしまう可能性があることがあげられます。
最初と最後に書かれるべき結論は「その文章の結論」なのですから、内容としては同じであるべきです。でも、全く同じ言い回しを2回使ってしまえば「くどい」と感じ取られかねません。
前述のピタゴラスイッチの例を見返してみると、これも最初と最後の結論でほぼ同じ表現を使っています。それによって「今日のトピック」が何だったのかということが、非常によくわかる一方で、独特の空気を醸し出しています。
この番組は「知識や考え方」を提供する趣旨の「教育番組」ですので、大事なことをはっきりしすぎるくらい強調するのも不自然ではありません。また、この「正確さや簡潔さに重点をおいて少し機械的に物事を述べる」というのがこの番組の個性として受け止められている部分もあるでしょう。いかにも「ピタゴラスイッチ的」だと評価される部分だとも考えられます。
でも「個人」の「感想文」の場合はどうでしょうか。かなり明確な意思を持って表現に気をつけないと、ぎこちない雰囲気を与えてしまう可能性はあります。
だからといって「最初と最後の結論部分で同じことを書かない」と意識しすぎると、何が結論かが伝わりづらくなり、芯がぶれている印象を与えてしまうでしょう。
骨組みを考えたあと、それをどういう表現方法で書いていくかという段階で、ある程度以上の表現技術が必要になってくるというのが、この「双括構成」の難しいところです。
◎「双括構成で書くポイント」は後編で
長く複雑な文章を書くのに向いている「双括構成」。
つまり、この「双括構成」で文を書くと決めた時点では、大抵の場合「全体の大まかな形が定まったに過ぎない」ということが多いのですね。そこからさらに、細かい骨組みを考えていく必要があります。
次回の後編では、「最初と最後の結論」と「結論に挟まれた部分」の2つに分けて、双括構成で作文を書く時のポイントやコツについて考えていきましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。