外部に目標を作ることで内部は結束する~ゴールの個人差を考える(後編)~
こんにちは、ベル子です。
今日は昨日の記事の続きで、子どもの目的意識との具体的な付き合い方について考えたいと思います。
※昨日の記事(前編)はこちら↓
◎やはり教えたいことはある
前編では、子どもが大人の助言に耳を傾けない時は、子どもと大人で目指しているものに違いが生じているからではないかということを書きました。
例えば子どもの宿題について、大人は「その宿題を通して勉強ができるようになる」ということなどをゴールとして想定していますが、子どもは「勉強ができるようになる」ことよりも「その時その時を気分よく過ごす」ことをゴールとして想定していることが少なくありません。
その場合、大人が「こうした方が勉強ができるようになるよ」というアドバイスをしても、子どもにとっては自分の目標を達成するために有用なアドバイスではないので、あまりありがたがらないことがあるのではないかと考えました。
でも、仮にそうだとしても、やはり「ここはこうした方が良いよ」と教えておきたいことはありますよね。
楽しく勉強をすることは良いことですし素敵なことですが、ただその瞬間楽しいだけでは良くないこともあります。宿題の一番の目的は、やはり本来は「勉強ができるようになること」なのでしょうから。
それに宿題以外の事例に目を向けると。本人が楽しくても周りにとって迷惑だったり、長い目で見て本人のためにならなかったりするという理由で、口を挟む必要が出てきます。
子ども自身が必要性を感じていなくても、大人から伝えなければならないということは、たくさんありますよね。
そもそも教えて欲しがらなそうな子どもに何かを伝えたい時どうすればよいのか。
現実的なのは、なるべく大人の想定しているゴールと子どものゴールの距離を縮めることではないでしょうか。
以下に4つの縮め方を紹介したいと思います。
①「楽しい」と「正しい」の折衷案を探る
「子どもの気分を害さないように、正しい方法を教える」という考え方です。
ゲームなどの中に取り入れて学ばせるというのも、この考え方に沿ったものと言えるでしょう。
また、道具の使い方を学ばせる際には、すぐに道具を触らせずに「まず説明するから見ててね」と細かく手順を区切って説明してから使わせると、正しい方法を学ばせやすくなります。
とりあえず使わせてしまってから目に付いたところを教える方式だと、「そうじゃないよ」と指摘する機会が増えてしまいます。そうなる前に先に教えてしまった方が空気が険悪になりづらいのです。
「これは、あとから口を出しにくそうだな」と思ったことは先に言ってしまうというだけでも、子どもの耳の傾け方が大きく変わることがあります。
②子どもの目的を正す
刃物などの道具は正しく使わないと危険です。
安全な使い方を教えなくてはいけませんし、子どもがその助言を聞き入れられないなら、場合によっては「その道具を使わせない」などの強い対応が必要になることもあるでしょう。
もしかしたら、子どもは「カッコ良く使いたい」とか「面倒な手間を省きたい」といった目的を持っているかもしれませんが、そこは「何より安全が第一」だと、子どもに伝えて意識を変えさせるしかありません。
③大人の要望を伝える
子どもと大人がそれぞれ想定している目標について、私が一番差が出ると感じているのが「効率を良くしたい」という考え方です。
大人にとって「効率良くする」というのは非常に魅力的なことだと思います。
でも、子どもは効率というものに、それほど魅力を感じていないようです。
皆さんは、一日24時間の中で「やらなくてはならないこと」に充てる時間はどのくらいでしょうか。
その割合が大きいほど、「効率」とか「時短」という言葉に魅力を感じるのだと思います。
私自身は「時間は限られている」と切実に感じ始めたのは中学校に入学してからでした。
まず、部活に入ることで学校にいる時間が長くなって家での活動時間が減ります。
さらに宿題の出し方が変わります。
小学校のうちは担任の先生が「明日までの分」として一日でできる分量を出しますが、中学校に入るとそれぞれの教科の先生が「次の授業までの分」として宿題を出すようになるので、一日ではとても終わらないような分量の宿題の締め切りが一気に来る時があります。
そうならないように、自分で時間のやりくりを考えなくてはなりません。
それでも高校、大学と進学して大人になってからと比べると、考え方としてはのんきな方だったと思います。
大人に比べると、子どもは「時間を浪費する」ことにデメリットを感じていないのです。
「効率良くしたい」というのは大人が強く求めることですが、子どもの中では大きな目標にはなりづらいのだと思います。
それでも効率の良い方法を教えなくてはならない時は、ストレートに「私が効率の良さを望んでいる」と伝えてしまうのも一つの方法ではないでしょうか。
「これこれこういう理由で、いついつまでにこの作業を終わらせてほしい」と、大人の側で時間を区切って伝えるのです。
子どもにとっては特に意味のない締め切りかもしれませんが、「相手の要望に応える」というのも、一つの目的になり得ます。
④具体的でわかりやすい目標を設定する
漢字練習は本来漢字を正しく覚えるためにやっているはずなのですが、子ども自身が「漢字を覚えよう」とはっきりとした目標をもって練習していることの方が少ないと思います。
そもそも、合否のはっきりする受験や順位の出る定期テスト等を経験しないと、「できるようになる」ということがどういう状況なのか感覚がつかみづらいようです。
そこで大人が「そんな書き方じゃ覚えられない」とか「丁寧に書かないと」などと指摘しても、いまいち納得はできないのでしょう。
そのような場合には、外部にわかりやすい目標を設定してしまうと良いと思います。
例えば漢字の学習であれば、「〇月に漢検△級の合格を目指す」というような目標にするのはどうでしょうか。
家や教室の中で「文字の正しさや丁寧さ」をあれこれ言っても、その「正しさ」や「丁寧さ」の価値を理解するのは難しいものです。きわめて客観的に評価される機会を設けることで、「何を目指すべきか」がわかりやすくなります。
また、外部に目標を設定することには、「わかりやすい」という以外にもう一つ利点があります。
子どもが大人から勉強を教わる時、子どもから見て大人は「自分の学習内容に裁定をくだす存在」になってしまいがちです。
「一緒に目標に向かう仲間」とは捉えにくく、勉強が孤独な戦いに感じられます。
「試験を合格する」という目標を設定することで、「一緒に合格を目指す味方」と感じられれば、助言も聞き入れやすくなります。
◎ご意見お待ちしております。
あれこれ書いてきましたが、他の方が「ここはもっとこうではないか」と思うところがいろいろあると思います。ご意見やアドバイスなどありましたら、是非コメントをお願いします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。