ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「ポーズ」で学校生活を充実させよう(前編)~ピカピカの一年生の教養⑮~

 こんにちは、ベル子です。

 

 小学一年生の生活にどんな知識や技能が必要なのかを考える、「ピカピカの一年生の教養」の続きです。

 

 前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 


 前回は、リズム感が国語の学習に役に立つので、歌に合わせて手を叩く遊びなどを通してリズムに慣れておこうという話でした。

 

 15回目となる今回は、賑やかそうな前回とは真逆の、静かな話題と言えるでしょう。

 何しろ「何もしない」がテーマですから。

 


◎「静止」に目を向ける


 人間は成長するにつれて、歩く、走る、ボールを投げるなど、いろいろな動作を身につけていきます。

 

 小学校生活の中でも学んでいく動作はたくさんありますし、入学前にできるようになっておいた方が良い動作もたくさんあるでしょう。

 苦手なものは練習しておくのも良いと思います。

 

 でも、私はそうした動作以上に練習しておくことをお勧めしたいものがあります。

 

 それは「静止する」ことです。

 

 

 かなり昔の話ですが、アイドルグループがダンスの練習をしている風景をテレビで見かけたことがあります。

 

 その時、新メンバーとして加入したばかりの女の子だけが「踊れていない」と言われ、一人だけ残って練習することになりました。

 

 もともとのメンバーと新人とで差がついたのが「ポーズ」です。

 

 振り付けは全員しっかり覚えて同じように動けていたのですが、経験の浅いメンバーだけ「止まるべきところで止まりきれていない」と指摘されてしまったのです。

 確かに彼女が止まり切れていないことで、ダンスの印象が変わってしまっていました。

 

「キレのあるダンス」の描写に「「ピシッ」という言葉が使われることもあるように、「いかに動くか」と同じくらい「いかに止まるか」というのがダンスの印象を左右しているのだと思います。

 

 人間は、具体的な一つひとつの動作にどうしても意識を向けてしまいがちですが、実際にはその動作と同じくらい、間にある「静止」が非常に重要だと言えるのではないでしょうか。

 

◎挨拶で練習してみましょう

 

 学校での一日の終わりに、クラスの子ども全員で声をそろえて「さようなら」と言っている、おなじみの風景を思い浮かべてください。

 

 「さようなら」の「さよ」を言っている時は、みんな礼をしていると思いますが、「なら」を言っている時はどんな行動をしているでしょうか。「なら」で見かける姿として、2枚の画像を貼ってみます。

 

(その①)

「さよう…

 

 

 なら」

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(その②)

「さよう…

 

 

 なら」

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 どちらの子も学校の風景の中でよく見かけると思いますが、この二人の挨拶の仕方のうち、皆さんがより良い印象を持つのはどちらでしょうか。

 

 おそらく、①の方だと思います。

 

 

 授業の終わりの「ありがとうございました」や給食の「いただきます」などもそうですが、挨拶の言葉が言い終わらないうちに席を離れたり、食べ始めたりする子は珍しくありません。

 

 でも、やはり挨拶の言葉を言い切ってから次の行動に移る方が好ましく感じます。

 

 身近な子どもが挨拶をする姿を確認してみてください。

 もしも、言葉が言い終わらないうちに動いてしまうようでしたら、「言い終わるまで挨拶に集中して、他のことをしない」という練習をすることをお勧めします。 

 

◎「話を聞いていない」の防止に

 

「挨拶中に動かない」ことのメリットは、周囲から良いイメージが持たれるということだけではありません。

 

「目の前の一つのことだけに集中する」習慣を身につけておくことが、学校生活ではとても重要なのです。

 

 挨拶であれば、適当に言っていても特に困らないかもしれません。でも、そのような簡単そうなものだからこそ練習になります。

 


 学校では、授業中に先生からいろいろな説明を受けます。

 

 一つ指示を聞くと、それをふまえてすぐに作業に移りたくなるかもしれません。

 でも、続けて二つ目の説明が始まったら、一つめの指示を実行するよりも先生の話の方に注意を向ける必要があります。ここで一つ目に指示された作業に気を取られていると、二つ目の指示を聞き逃してしまうのですが、つい作業の方に夢中になってしまう子は少なくないのです。

 

 学年が進むと、「作業しながら話を聞く」という場面も出てきますが、特に一年生のうちは「話を聞く時間」と「手を動かす時間」は分けておかないと話の理解が難しくなってしまいます。

 

 しかし、これは大人もそうかもしれませんが、子ども自身の感覚だと実際の聞きとり能力以上に「聞きながらでも話を聞ける」と判断してしまいがちです。

 

 そのため「話をしている間は、他の行動をとらない。行動しながらでも聞けそうかどうかは関係ない。」という意識を育てることで、人の話をより上手に聞くことができるようになります。

 


◎まとめると

 ・「いかに止まるか」は「いかに動くか」よりも意識されづらいですが、
 印象を左右する非常に重要なポイントになります。

 

 ・「その行動以外に何もしない」ことで、今やるべきことに集中したり
 聞くべき話に集中したりする力がつきます。

 

 ・まずは、「挨拶中は挨拶に専念する」練習から始めてみましょう。

 

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 次回はまた別の視点からポーズ(静止すること)について考えてみたいと思います。 

 

 

★シリーズ次回時期はこちら↓★

kikyouken.hatenablog.com