ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

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ピラミッド作文で付属語に慣れよう~今日から始める読書感想文⑩~

 こんにちは、ベル子です。


「今日から始める読書感想文」10回目です。

 

 第8回から、読書感想文の3つの要素「読書をする」「自分の感想を持つ」「文にまとめる」の3つ目の要素「文にまとめる」の話題に入っています。

 夏休みに困らないよう、今からできることを考えていきましょう。

 

 前回は、文を書くには付属語を使いこなす力が必要だと書きました。
 
※前回(第9回)の記事はこちら↓

 

kikyouken.hatenablog.com

 

 

 簡単におさらいすると、

 

 単語には「家」「玄関」「来る」「ニコニコ」などのような意味をイメージしやすい「自立語」の他に、その自立語に付け加えて文の形を整える「です」「は」「まし」「た」などの「付属語」があります。

 

 作文を書くのに必要な自立語をピックアップできても、適切な付属語が出てこないと筆が進まないというわけです。

 

 

 今回は、付属語を使う練習方法について考えていきます。 

 

 

◎インプットとアウトプット

 

 中には、わざわざ練習しなくても付属語を上手に使いこなせる子もいます。

 

 おそらく日ごろから「正しい使い方」の例にたくさん触れているのでしょう。インプットされている例文が多いのですね。

 

 すぐに思い浮かぶのは本や新聞を読むことなどですが、テレビや雑誌などからでも学ぶことができます。

 このインプットということに関しては、今の子どもたちは一昔前の子どもに比べて、学ぶ機会に恵まれなくなったのではないかと感じています。

 

 前回LINEの話が出てきましたが、あらたまった日本語に触れる機会は年々減ってきているのではないでしょうか。

 

 テレビはあまり真面目なイメージがないかもしれませんが、それでも地上波の番組であれば多くの人達が関わり、間違いがないようにチェックしています。

 翻って、ネット上で見られるブログやユーチューブ動画などの多くは個人や少人数で管理していることが多いため、どうしても誤字脱字の見落としが多くなってしまいますし、文法的に正確でない表現がたくさん見られます。(このブログも一人で記事を書いていますので、後で見返すと色々ミスが見られます。なるべく気を付けてはいますし間違いがあれば気づいた時点で直していますが、恥ずかしながら、その正確さは怪しいものです…。)

 

 それでも大抵の場合、意味が通じて用は足りるのですが、「作文の手本」としては少し頼りない部分があると言えるでしょう。

 

 対策としては、本などを積極的に読む機会をつくる方法がありますが、実際に作文を書くとなるとインプットだけではなくアウトプットができるようになる必要があります。

 時々アウトプットを経験していると、必要な情報に対する意識も変わりますから、インプットもしやすくなります。

 

 ですから、アウトプットの練習をしながら、並行してインプットしていくというのがお勧です。


 すぐに思い浮かぶのは問題演習ですね。 


 比較的シンプルな文(前回の日記の例で使われたような文)であれば、ドリルやプリントの中でじっくり学習する機会があります。

 〇の中に文字を入れましょう→「友達〇映画〇見〇〇た。」というような問題に見覚えのある方は多いのではないでしょうか。

 

 でも、それ以上複雑な文になってくると、付属語の使い方だけに着目して集中して学習する機会はほとんどありません。時々扱われることはありますが、2~3枚プリントをやるだけで終わってしまいます。

 

 現状としては、実際の作文の学習の中で付属語の使い方を覚えていくのが主流になっています。とはいえ、そのスキルがないから作文が書けないわけで、作文が書けないと練習しようがないということでは、なかなか使いこなせるようになりません。

 

 一度、課題の作文から離れて、その練習だけをする機会を設けた方が良いということですね。

 


◎字数を1文字ずつ増やして書いてみる

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 紹介する方法は「一つの題材について、字数を変えて何度も書く」という方法です。

 

 一般に作文というと「〇文字くらい」とか「〇文字以上〇文字以内」というふうに字数の範囲が指定されますが、この練習は「〇文字」とはっきり指定をし、1文字でも多かったり少なかったりしてはいけないというルールです。「。」や「、」などの記号も1字分として数えます。

 

 そして、指定の字数の文が完成したら、次はそれより1字多い文を考えます。この時、前に書いた文から大筋を変えることなく、前の文と矛盾しない内容を書くようにします。それができたら、さらに1字多い文を書いていくのです。

 

 例えば、こちらの絵を題材に文を書くとします。

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 あまり字数が少ないと文になりづらいので、10文字からスタートしてみます。

 

 ちょっと、目がチカチカするかもしれませんが、内容を正確に読む必要はありませんので、流し読みでお付き合いください。


  
 10文字 走る男の子がいます。
 11文字 男の子が走っています。
 12文字 男の子が廊下を走ります。
 13文字 走っている男の子がいます。
 14文字 男の子が廊下を走っています。
 15文字 男の子が廊下を走っていきます。
 16文字 男の子が廊下を走り回っています。
 17文字 青い服を着た男の子が走っています。
 18文字 男の子が走っているのを見かけました。
 19文字 青い服を着た男の子が走るのを見ました。
 20文字 青い服を着た男の子が元気に走っています。
 21文字 男の子が元気に走り回っているのは廊下です。 
 22文字 廊下を走っている男の子は青い服を着ています。
 23文字 男の子が廊下をもの凄いスピードで走っています。
 24文字 もの凄いスピードで走り回る男の子を見かけました。
 25文字 元気そうに走り回る男の子がなんだか楽しそうでした。

 


 このように、ピラミッド状に文を書いていくわけです。

(※ちなみにタイトルの「ピラミッド作文」というのは、便宜上私が勝手に名付けたものです。)

 

 マス目のある紙を使うとやりやすくなります。文字数をいちいち数えなくても、前の文と並べて比較することで条件を満たしているかわかりますね。

 

 ところで、「走る」を「はしる」に直すだけで1文字調整できてしまいますが、それは練習の趣旨とずれてしまうので、一度漢字で書いた言葉は漢字で使い続けるなどのルールを決めておく必要があるでしょう。

 そのルールの理解が難しそうであれば、全てひらがなとカタカナで書くルールにしておくと良いと思います。

 

 また、読点(「、」)は「20文字ごとに1つまで」くらいに数を決めるとちょうど良いでしょう。

 

 練習を始めたての頃は、なかなか文が出てこないと思います。その際には、まずは大人が作文して見せて、それを写させるところから始めるのがお勧めです。

 アウトプットが難しい部分は、まず「インプット」から入るということですね。

 

◎まとめると

 

 ・色々な例文をインプットしておくと、付属語を使いこなして文を書くのも

 上手になります。 

 

 ・アウトプットの練習には、同じ題材をいろいろな字数で書く練習が

 お勧めです。

 

 ・「色々な字数で書けない」段階のうちは、大人が作った例文を

 写して練習すると良いでしょう。

 

 今回は、付属語を使いこなす練習方法を紹介しました。

 次回の「今日から始める読書感想文」では補足として、今回紹介できなかった、もう少しゲーム性のある練習方法をご紹介したいと思います。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

★シリーズ次回記事はこちら↓★ 

kikyouken.hatenablog.com