ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「かっこ」でくくる作文練習(中編)~今日から始める読書感想文⑭~


 こんにちは

キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。


「今日から始める読書感想文」では

第8回から、読書感想文の3つの要素「読書をする」「自分の感想を持つ」「文にまとめる」の3つ目、「文にまとめる」の話題に入っています。

 

 前回は、複雑な文でも「だれが、どうする」という基本の骨組みを見失わないように、主語と述語以外の要素を「かっこ」でくくって書いていくという作文練習方法を紹介しました。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 

 今回は、基本の骨組みの2つ目

 

「誰が(何が)どんなだ(何だ)」

 

 

の形式の文について、考えていきたいと思います。

 

◎述語に着目し、主語を補う

 

 出来事や感想を書く作文で使われやすい文型です。

 

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 例えば

 

①今年は一等賞でした。

②映画は面白い。

③ピカピカと綺麗です。

 

というような文をよく見かけるのではないでしょうか。

 

 日本語の文では主語が省略されることが珍しくないのは以前にも書いた通りですが、上記のような文では主語が省略されることが特に多いようです。

 このくらいの短い文であれば、あまり「ややこしい」「よくわからない」と感じることはないと思いますが、まずはこの時点でしっかり骨組みを把握しておきましょう。

 

 前回の「誰は、どうする」では基本の骨組みにつけられた肉の部分を「かっこ」でくくりましたが、今回の文型では主語の部分に別の種類の[かっこ]を付けて考えることをお勧めします。ここでは、この【かっこ】が見やすそうなのでこれを使います。

 

 先ほどの文で考えると、

 

①「今年は」一等賞でした。

②【映画は】面白い。

③「キラキラと」綺麗です。

 

 この中で主語は「映画は」だけだということですね。「今年は」「キラキラと」は肉付きの部分にあたります。

 文の構造を把握するために、①と③にも主語を付けてみましょう。述語の「一等賞でした」「綺麗です」に着目して、「一等賞だったのはだれなのか」「綺麗なのは何か」を考えます。前後の文がないので想像しかできませんが、ここではとりあえず、一等賞だったのは「僕」で綺麗なのは「星」だとしておきます。

 

①【僕は】「今年は」1等賞でした。

②【映画は】面白い。

③【星は】「キラキラと」綺麗です。

 

 

◎「かっこ」を増やすのか、大きくするのか

 

 これらの文を肉付けしていく際に、二通りの方法があります。

 新しく「別の要素」を付け足すか、既に書かれている「要素」を詳しくするか、の

どちらかです。

 

 例えば③の文では

 

前者であれば、

 

③【星が】「評判通り」「キラキラと」綺麗です。

 

というように、「かっこ」の数が増え、

 

 

後者であれば

 

③【たくさんの星が】「キラキラと」綺麗です。

 

というように、一つの「かっこ」の中が長くなります。

 

 

 前回紹介した「誰が、どうする」の文型では、前者の「別の要素」を増やしてで文を長く手法を使うことも多いのですが、今回の「何は、どんなだ」の文型では大抵の場合、一つの「要素」の中を膨れませて長くすることがほとんどだと言えます。

 

 この文型について「書いているうちに、わけがわからなくなった」ということを防ぐためには、どこからどこまでが「かっこ」でくくられる「一つの要素」なのかを、しっかり把握しておくことが重要です。

 逆に言えば文を構成する「要素」の数自体は少ないのですから、「かっこ」でくくる範囲をしっかり把握しておけば、文の構造は非常にシンプルでわかりやすいものに見えてくるでしょう。

  

 

◎複文や重文になりやすい骨組み

 

 「かっこ」の中をいかに膨らませるかと考えると、すぐに複文にすることを思いつくのではないでしょうか。

 

 

 例えば、

 

②【あの監督が撮った映画は】面白い。

 

というように。

 

 

 また、この文型は前述の通り「どんなだ」の前に他の「要素」を新しく加えることはあまりありません。加えられる要素自体が少ないのですね。そのため、より長い文を書くとなると、別の述語を含む表現を付け足すことが多くなります。

 

「弟は2等賞だったけれど」【僕は】「今年は」一等賞でした。

 「皆が応援してくれたので」【僕は】「今年は」一等賞でした。

 

 赤い部分は、別の主語述語からなる一つの文です。二つの文がつながった重文ですね。

 

 

◎一つの述語から膨らませられる

 

 このように、感想文などで「〇〇だった」という表現を使う場合は、主語を省略してしまいがちなうえ複文や重文になりやすいと言えます。

 

 そのため、ただ思い浮かんだ言葉を書き連ねようとすると、一つの文として上手くまとめられないことがあります。まずは、非常にシンプルな構造から「かっこ」でくくって把握し、それに肉付けしていく考え方が必要になります。

 

 でも逆に考えると、まず一つの述語を設定すれば、それを詳しくしていくことで文を作ることができるとも言えます。

 

 感想を聞くと「おもしろかった」とだけ答える子も見かけますが、まずは

 

おもしろかった。

 

 の一言を書き出し、「面白かったのは何?」と聞いて「歌」と答えが出れば

 

【歌が】おもしろかった。

 

「どんな歌だった?」と聞いて「主人公が歌った歌」と答えが出れば、

 

【主人公が歌った歌が】おもしろかった。

 

というように、膨らませやすいとも考えられます。

 

 

 ここまで読んでいただきありがとうございました。

 今回は少し理屈っぽく、ややこしい部分が多かったかもしれません。後編では、もう少し具体的な練習方法と、最後の文型について書いていきたいと思います。