ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

カード遊びの「基本」が詰まった2つのトランプゲーム~ピカピカの一年生の教養㉑~

 こんにちは、ベル子です。

 

「ピカピカの一年生の教養」では、前々回から、まだトランプに慣れていない子どもにも遊びやすいゲームと、そのゲームのポイントについて考えています。


 前回は、少しだけルールを変えることで数の理解を深めることができる「神経衰弱」を紹介しました。
※前回の記事はこちら↓

 

kikyouken.hatenablog.com

 

  今回は、前回より少しだけ難易度が高いけれども、トランプをはじめとするいろいろなカードゲームを遊ぶうえで重要な、カードを扱うスキルの基礎が身につくゲームを2つ紹介します。


※ここで紹介するゲームはだいたい有名なもので、内容を知っている方も多いと思いますので、ゲームの説明は概要のみとしルールの詳細は省きます。地域によって呼び名やルールが変わることもありますので、詳細が気になる方は本やネットでいろいろ確認してみてください

 

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◎タイトル以外は平和的な「戦争」

 

 物騒な名前のゲームですが、実際には特別激しい要素はありません。

 

 最初に全てのトランプをプレイヤーに同じ枚数ずつ配分し、それぞれが手持ちのカードの束を、自分にも相手にも数字が見えないように持ってゲームスタートです。

「いっせーのせ」などの掛け声とともに、全員が自分のカードを一枚だけ場に出して数字を見せ合い、一番大きな数を出した人は場のカードを全てもらうことができます。

 それを何度も繰り返して自分の手持ちのカードが無くなった人から負けになります。

 

社会性 :☆☆

 

 守らなければならないルールやマナーは、それほど難しいものではありません。

 

 ただ、子どもの目線で少しだけややこしいのは、カードを置いておくスペースがプレイヤーの人数プラス1だけ必要になることです。

 

 場から自分がもらったカードは、自分が手に持っているカードとは別に保管しておきます。当然、相手のカードと混ざるような場所に置くこともできません。

 

「自分がもらったカードを置く場所」というのをしっかり決めて、場所を守って置いておく必要があります。

 


数の理解:☆☆☆
 

 大小関係が理解できれば遊ぶことができます。

 

 判断するまでに時間がかかってもゲームを成立させられるので、まだ理解が不十分な子でも、表などを横に置いておくことで参加しながら覚えられます。

 

 ルール上は「2が一番弱く13よりもAが強い」ということになっていますが、数の大小関係を覚える目的であれば、数の通り「Aが一番弱く13が一番強い」というルールに変えて遊ぶと良いでしょう。

 

 

器用さ :☆☆

 

 獲得したカードを自分の手持ちのカードにする際に、「自分のカードをシャッフルする」という作業が必要になります。

 

 ゲームの進行によっては、大量のカードをシャッフルする時もあれば数枚を混ぜるだけになる時もあり、枚数に応じてシャッフルの仕方を変えるので、手元でのいろいろなカードの扱い方を練習できます。

 

 自分で自分の分をシャッフルするのが基本ですが、他の人にやってもらってもゲームの進行が不可能になることはありません。

 それ以外の手順では特に難しい作業はないので、まだシャッフルが上手くできない、トランプに慣れていない子でも、その作業を他者にお願いすることでゲームに参加することは可能です。

 


<オリジナルルール> 

 

 前回の神経衰弱同様、ルールを少し変えるといろいろな数の理解につなげられます。理解の度合いに応じて11~13は抜いておくなど、使用するカードでも難易度を調整すると良いでしょう。

 

〇2枚の合計で競う

 

 基本のルールでは1枚の数の大小を競いますが、2枚の合計で競うようにすると、数に関するいろいろなスキルを使いこなす場になります。

 

 例えば4人でゲームをしていて、それぞれの出したカードが

 

 Aさん:2と9
 Bさん:3と10
 Cさん:1と10
 Dさん:4と4

 

 だったとしましょう。

 

 まだ足し算を習得していない子どもはマークの数を全て数えて判断し、足し算を覚えた子どもは計算結果で比べることになります。この場合は、それぞれの合計値がA=11、B=13、C=11、D=8なので、この勝負はBさんの勝ちということになりますね。

 

 ただ、それぞれ計算して合計を覚えておくというのは、案外大変です。

 そこで、計算しないで判断する方法を工夫をします。

 

 上の例では、Aさんが出した左側のカードとBさんの出した左側のカードを比べるとBさんの方が大きいですね。そして、右側のカード同士を比べてもBさんのカードの方が大きいことがわかります。一枚一枚のカードを比べて、それぞれのカードについてBさんの方が大きいなら、合計もBさんの方が大きいはずだということが、計算しなくても判断できます。

 

 また、BさんとCさんのように、片方が同じ数なのだとしたら、大小関係は残りのカードの大小関係で決まりますよね。

 そしてDさんの場合は、2枚の合計自体がBさんの右の1枚よりも数が小さいのですから、こちらの合計値も明らかにBさんより小さいと言えます。そういった感覚は数を使いこなす上で重要です。

 

 2年生になったら、2枚の数で掛け算をした答えで競うのも勉強になりますよ。

 


◎扇状にカードを持つ練習になる「ババ抜き」

 
 最初に全てのトランプをプレイヤーに同じ枚数ずつに配分し、それぞれが手持ちのカードから同じ数のペアをつくって捨てていくゲームです。順番に他のプレーヤーの持ち札から一枚とることでペアを新たに作って捨てていき、早く自分の手札がなくなったプレイヤーが勝ちです。

 


社会性 :☆☆☆☆

 

 ルールは単純ですが、以前の回で書いた通り、「他のプレイヤーに自分のカードが見えないように意識し続けなくてはならない」という難しさがあります。

 

 また、自分が「誰がババを持っているか」など自分の把握している情報を他人が知っているのか、知らせないほうが良いのかなどを考える必要があり、「他者の視点を意識する」ことが常に求められるゲームです。

 

 ただ、相手にカードを引かせる瞬間さえ気を付けていれば、途中でうっかり手の内を知られてしまっても、多少不利になるもののゲームとして成立させられます。

 

「他者の視点への意識」は周囲の大人が必要に応じて「見えてるよー」「それは内緒」と声をかけていくことで、遊びながら覚えていくことができるでしょう。

 


数の理解:☆☆
 

 前回の「神経衰弱」同様、数字を読むことさえできれば、数の知識がまだあまりついていない子でも遊べるゲームです。

 こちらも前回の神経衰弱と同様に、同じ数同士ではなく合計で10になるペアをつくる遊び方で、10の分解や合成を学ぶことができます。


器用さ :☆☆☆

 

 周囲のプレイヤーに見えないように扇状にカードを持ち、引いたカードとペアを作れるカードを手持ちから探して抜き出すという作業が必要になります。

 

 慣れないうちは非常に難しいので、最初は枚数を減らしてのプレイがお勧めです。

 すぐに勝負がついてしまいますが、この遊びの繰り返しによって、他のカードゲームを遊ぶ上で重要な「扇形にカードを持ち、必要なカードを抜き取る」という動作を身につけることができます。

 


 今回は、他のカードゲームでも役に立つスキルが身につく、2つのゲームを紹介しました。次回でトランプゲームの紹介は最後になる予定です。

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

★シリーズ次回記事はこちら↓★

kikyouken.hatenablog.com