ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

トランプ遊びの駆け引き入門編~ピカピカの一年生の教養㉒~

 こんにちは、ベル子です。

 

「ピカピカの一年生の教養」では第19回から、まだトランプに慣れていない子どもにも遊びやすいゲームと、そのゲームのポイントについて考えています。


 前回(第21回)は、いろいろなカードゲームで必要な「シャッフル」「カードの置き場を決める」「扇形に持つ」といった技能を練習するのにちょうど良いゲームを2種類紹介しました。

 ※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 今回は応用編として、トランプに慣れてきた子向けの遊びを2つ紹介します。


※ここで紹介するゲームはだいたい有名なもので、内容を知っている方も多いと思いますので、ゲームの説明は概要のみとしルールの詳細は省きます。地域によって呼び名やルールが変わることもありますので、詳細が気になる方は本やネットでいろいろ確認してみてください。

 

 ゲームを紹介するにあたって、社会性・数の感覚・器用さの3つの観点での難易度を書いておきますので、どのゲームがその子にあっているか考える基準にしていただければと思います。
(難易度は☆で表現しました。数が多いほど難易度が高いと考えてください。)

 


◎数の並びを覚える「7並べ」

 
 最初に全てのトランプをプレイヤーに同じ枚数ずつに配分します。それぞれの手持ちのカードから7のみを出し合い、一列に並べたところでゲームスタートです。

 プレイヤーは順番に1枚ずつ、場にあるカードと同じマークで、隣り合う数(1大きいか1小さい数)のカードを場に置いていき、条件に合うカードを持っていない場合はパスしなくてはいけません。

 手持ちのカードを早く場に置ききったプレイヤーから勝ちとなります。

 

社会性 :☆☆☆☆

 

 守らなくてはならないルールやマナーはそれほど難しくないのですが、ルールにのっとった中での「他のプレイヤーへの妨害」や「戦略的な小ずるさ」が勝負の分かれ目になりやすいゲームです。

 

 勝ち負けにこだわる子どもだと、自分のカードを出せるようにするために他のプレイヤーに「○○を出して」と強要したり、相手が望み通りに行動しないと怒りだしたりすることも考えられます。

 交渉自体は悪いことではありませんが、自分の手の内を明かすことになるので、勝負の上では自分で自分を不利にする行為でもありますね。

 

 様子を見ながら「ゲームだから、皆○○ちゃんの思い通りには動いてくれないよ」「何をしてほしいか、ナイショにしておいた方が良いかもね」ということを伝えていけると良いでしょう。

 

 子どもが「作戦上の意地悪」や「小ずるい作戦」をどのくらい受け入れて楽しめる性格なのかを把握しておくだけでも、他の遊びをする際の参考になります。

 


数の理解:☆☆☆

 
 1つ大きい数や1つ小さい数が分からないとプレイできませんが、近くに表を置いておけば見ながら考えられますし、その都度大人が「今出せるカード」を教えてあげることもできるので、うろ覚えでもゲームは成立します。

 実際には数の序列をしっかり覚えていた方が有利になりますから、遊びながら覚えることができるでしょう。

 

器用さ :☆☆☆☆

 

 前回のババ抜き同様、カードを扇状に持つスキルが必要になります。さらに自分の手持ちのカードを把握するためには、他のプレイヤーに手の内を見られないよう気を配りつつ、カードを並び替えないといけません。

 

 枚数が多いほど並べ替えは難しくなるので、慣れないうちはカードを1から7までくらいに減らして(「4並べ」ということになるでしょうか)練習すると良いでしょう。

 

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◎瞬時の判断を求められる「スピード」

 

 最初に全てのトランプをプレイヤーに同じ枚数ずつに配分し、それぞれが自分の近くに、4枚だけ全員に見えるように並べます。全員が残りの手持ちのカードの束から1枚ずつ、「いっせーのせ」などの掛け声とともに、数字が見えるように場に出してゲームスタートです。

 最初に並べた4枚のカードの中に、場のカードより1小さい数または1大きい数があったら、それを場のカードに重ね、その重ねたカードより1小さいまたは1大きい数があったら、さらに重ねます。その作業を繰り返して自分の手札を減らしていくゲームです。


社会性 :☆☆☆

 

 守らなければならないルールは、それほど難しいものではありません。
 ただ、マナーの観点では「譲り合い」を求められる部分が大きくなります。今まで紹介したゲームと違って「自分の番」というのがはっきりしておらず、カードを出したり取ったりするタイミングが他のプレイヤーと重なる時が少なくありません。その都度状況から「どちらの手が有効か」を皆が判断するので、それにその都度従わなければならないのです。時には、それに従うと
 自分が非常に不利になることもありますが、「これは○○だよね」と判断されたことには従わないとゲームが成立しません。時には「えー違うよ」と訴えて議論するのもゲームの楽しみ方の一つですが、場の空気を見ながら従うべきところは従う判断が求められます。


数の理解:☆☆☆☆
 
 ゲームに参加するためには、数の並び方を覚えておく必要があります。

 単純に数を順番に数えられる、カウントダウンできるというだけでは不十分で、それぞれの数について1多い数、1少ない数を素早く判断できなくてはなりません。ゲームの途中で周囲から助言を得るのが難しいため、慣れるまでに何度か1対1で練習すると良いでしょう。

 

 また、自分の手元に並べて置くカードを4枚に保っておく必要があるのですが、数の感覚に慣れないうちは、足りないことに気づかなかったり5枚出してしまったりすることがあります。これに関しては、4枚の判断が難しいようであれば、あらかじめトランプを置く□を4つ書いた紙を敷いておく方法もあります。


器用さ :☆☆

 

 前回の「戦争」同様、「自分のカードをシャッフルする」という作業が必要になります。それ以外にはあまり指先の器用さを求められることはありませんが、他のプレイヤーと接触する機会も多いので、折れ曲がっても良いトランプを使用しておくことをお勧めします。

 

◎まとめると

 

  ・トランプ遊びを通して、様々なスキルを育てることができます。

 

  ・枚数を減らしたり、大人がヒントを出したりすることで、

  スキルが不十分でもそれを学びながら楽しむことができるでしょう。

 

 何回かに分けて扱ってきたトランプ遊びの紹介ですが、今回で一区切りとなります。次回の「ピカピカの一年生の教養」では、トランプ遊びとはあまり関連性のなかった、国語の分野をテーマにしたいと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

★シリーズ次回記事はこちら↓★

kikyouken.hatenablog.com