着替えのポイントは時間とスペース~ピカピカの一年生の教養㉝~
こんにちは
キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。
小学一年生の学校生活に必要な知識や技能を考える「ピカピカの一年生の教養」、
今回は「衣類の着脱」がテーマです。
入学式を間近に控え、このシリーズも前々回からは「入学後にすぐ使う知識」をテーマにしています。前回は「身体の一部を使った表現」について、学校生活でよく使われるものをまとめました。
※前回の記事はこちら↓
今回の「衣類の着脱」も入学直後から必要になる技能です。
下足と上履きの履き替えは毎日必ずありますし、4月の身体測定では、測定前にシャツ一枚になり測定後に素早く着るといった行動が求められます。
その後も体育の授業の前には体操着に着替えますし、給食の時間にエプロンや給食着を身につけることもありますね。
学校生活を円滑に進めるには、衣類と上手に付き合っていく技能が不可欠だと言えるでしょう。
とはいえ、衣類との付き合いは何も学校生活に限ったことではありませんよね。家庭でも毎日必ず何かしら着替えたり履き替えたりとしているでしょう。ただ、学校という環境では少しだけ事情の異なる部分もありますので、特にその点について詳しく考えていきたいと思います。
◎脱いだものの行方
小学校に入学すると、教室内には「自分のロッカー」や「自分の席」など、「自分で管理するスペース」が設定されます。
脱いだものは「自分のスペースに置く」ことが基本になり、仮にAちゃんが自分の服をBちゃんのスペースに置いてしまうと、「Aちゃんの服がなくなった!」「Bちゃんが勝手に触った!」「Aちゃんの服が邪魔!」というように、何かとトラブルのもとになりかねません。
着脱の技術も必要ですが、服を管理するするスキルもある程度必要になるのです。
ご家庭などでも、「脱いだ服は決まった場所に置く」「決まった場所に置いておいた服を着る」という練習をしておいた方が良いでしょう。
◎たたみ方は質より速さ
とりあえず自分のスペースに収まりさえすれば、ぐちゃぐちゃに丸めてあっても、そうそうトラブルになることはありません。
もちろん、服を綺麗にたためることは素晴らしいことです。でも、きれいにたたんだりしまったりすることにこだわり、その作業に時間をかけすぎて集合時間に遅れてしまうようだと集団生活に支障をきたすことになるでしょう。
「なるべくきれいにたたんだ方が良いけれど、あくまでも限られた時間の範囲で作業する」という意識を身につけることが大切です。
身についているかどうか心配な場合は、以前「教室収納」の記事の中でも紹介しましたが、「音楽が鳴り終わった時点で、どのくらい綺麗にたためているかな」というように、「鳴り終わった時点で作業が終わっていることを最優先事項としたうえで、より良い仕上がりを目指す」練習をしてみると良いでしょう。
※教室収納の記事はこちら↓
◎「着られる服」を着る
まず「全て自分でできる」が大原則ではありますが、今まで幼稚園や保育園に通っていたならば、この点は年長さんとあまり変わらないでしょう。
ただ幼稚園や保育園では、スモックや制服など服装が決められていることが、小学校に比べると多いのではないかと思います。仮に着る服を指定されていたとすれば、その服の着脱が苦手でも着用するしかありませんので、たとえばボタンを留めることがどうしてもできなければ、誰かに手伝ってもらうしかありません。
でも、小学生は私服の登校が多いので、ボタンを留めるのが苦手ならそういう服をなるべく避けることもできるでしょう。
もちろん将来的にはできるようになる必要がありますが、集団生活とは別の場面でじっくり練習をしていくことをお勧めします。
また、小学一年生の女の子の中には、11月の七五三に向けて髪を伸ばている子も多いのではないでしょうか。長い髪にかわいいリボンをつけていたりすることもありますね。
リボンは洋服の飾りとしても、たくさん使われています
リボン結び自体も小学一年生にとっては難しいものですが、自分の身につけているもののリボン結びは、プレゼントにつけたりするのに比べてはるかに難しい作業ですので、一度ほどけてしまうと子ども自身が修正するのは難しいことでしょう。
学校でいろいろな活動をしていると、どうしてもほどけることはあります。自分で修正できなそうであれば、ほどけないように縫い付けておくか、ほどけても問題ないようにしておくか、最初から使わないようにするか、何かしらの対策を考えておくと良いと思います。
◎「自分ができないこと」を知ること
リボンなどは避けようがありますが、上履きの着脱など、どうしても避けられない作業もありますね。
身の回りのことを自力でしていくには、やはりある程度の技能は必要になるでしょう。
でも、「何が何でも上手にできなければいけない」ということは、それほど多くはありません。できなくても、苦手でも、何とかなることはたくさんあります。
大切なのは、「自分ができるかどうか」や「自分が苦手かどうか」を子どもが知っておくことだと思います。
たとえば、体重を測る時などに「廊下で靴下を脱いだり履いたりする」という動作が必要になることがあります。基本的には立ったまま片足を上げて靴下を履きます。
でも、中には片足立ちで履くのが苦手で、座らないと上手く履けないという子もいるでしょう。
何が何でも片足立ちで履かなくてはいけない場面など、そうはありません。無理なら廊下に座って履いても特に問題はないのですが、周囲の子が片足立ちで履いていると、自分もなんとなくそうやって履くものだと思ってしまい、結局上手くはけない、ということが起こります。
時間もかかってしまいますし、バランスを崩すと危ないこともありますね。
でも「自分は片足立ちは無理みたい」と自覚していれば、周りにつられずに、さりげなく寄りかかるところを探したり、座ってから履くことを考えたりすることもできます。
そのような対応ができれば、周囲より少し苦手なことがあっても、集団生活で困ることは少なくなります。
◎まとめると
・学校での「着替え」では、「着脱」だけでなく「脱いだものの管理」の技能が必要になります。
・上手にできることよりも、時間内にできるようにしておくことが大切です。
・できないことがあっても、それを把握して対策を考えることで円滑に学校生活を送ることができるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。