ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「かっこ」でくくる作文練習(後編)~今日から始める読書感想文⑮~

 こんにちは
キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。


「今日から始める読書感想文」では

第8回から、読書感想文の3つの要素「読書をする」「自分の感想を持つ」「文にまとめる」の3つ目、「文にまとめる」の話題に入っています。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

  

 前回は、基本の骨組みの2つ目「誰が(何が)どんなだ(何だ)」の形式の文について考え、複雑な文になりやすい形式ではあるものの、部分ごとに「かっこ」でくくることで整理できるという話を書きました。

 

 

 今回は基本の骨組みの3つ目

 

「誰が(何が) いる/いない(ある/ない)」

 

の形式の文について考えていきたいと思います。

 

 

◎最初に少しご連絡

 

 文型③に入る前に、お知らせしておきたいことが2つあります。

 

<お知らせ1>

 

 前回の記事では「文型②がややこしかったため、後編ではもう少し具体的な練習方法を紹介しつつ、文型③について考える」と最後に書きましたが、今回は文型③の紹介のみにし、練習方法は次回に「補足」として3つの文型の練習方法を考えていくことにしました。

 その点についてご理解いただいたうえで、今回の記事を読んでいただければ幸いです。

 

<お知らせ2>

 

 昨年度末の記事でも書きましたが、この「今日から始める読書感想文」の投稿回数について、4月からは週2回に変更します。

 

 ※お知らせ記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 今後しばらくは毎週火曜日と金曜日の20時に更新予定です。

 よろしくお願いいたします。

 

 

 以上「お知らせ」でした。本題の、文型③の話に戻ります。 

 

 

 

◎主語をはっきりさせる文

 

「日本語の文は主語が省略されやすい」というのは、これまでにも何度となく書いてきましたが、この文型は他の文型に比べて主語が省略されづらい文型だと言えるでしょう。

 

「ある(いる)」と「ない(いない)」とでは大違いなので「述語が重要でない」ということはありませんが、やはり「ある(いる)」にしろ「ない(いない)」にしろ「何が(誰が)?」という主語の説明がないと、話として通じませんよね。 

 

 では、その「何が(誰が)?」の部分ですが、形のあるものや人物であれば、一言で端的に表すことができますね。

 例えば水玉のスカートをはいて走り回っている幼い女の子がいたとしても、「誰がいたの?」と考えるなら、とりあえず

 

 【女の子が】いた。

 

という文が浮かびます。

 今回も主語に【かっこ】を付けておきます。

 

 

 そのうえで「どんな女の子かを詳しく書こう」と考えれば、

 

【水玉のスカートをはいた女の子が】いた。

【走り回っている女の子が】いた。

【幼い女の子が】いた。

 

といった表現が浮かんでくるでしょう。

 

 つまり、「ある」や「いる」という述語を設定すると、シンプルな骨組みの文が一つ思い浮かびやすいということですね。

 とりあえず、見たままの名詞を一つあげれば良いわけです。

 

 日記のような内容の文を書く時には非常に書きやすい文型なのですが、書きなれていないと、この文型を忘れていることがあります。

 日記というとどうしても「自分のしたことを書く」というイメージが強く、とりあえず『私は』や『ぼくは』と書き出してしまい、その先が浮かばない時がありませんか。

 

 

 この主語の場合、ここから

 

私は 買い物に行きました。(文型① 事実)

私は バッグが欲しいと思いました。(文型① 感想)

私は 自分のものは自分で選ぶべきだと思います。(文型① 意見)

私は 倹約家です。(文型② 事実)

私は とてもうれしい。(文型② 感想)

 

 というように、いろいろな選択肢が考えられるため、「何か書けそうな気がするけれど上手くまとまらない」という現象がおこってしまうことがあるのです。

 

 

 そこで「私は」という主語を一度忘れて、まずは「ありました」を使ってみようと述語を決めてみます。そして「何があっただろう」と考えると、

 

バッグが ありました。

 

というような骨組みがでてくるでしょう。

 

 

 それをもう少し詳しく肉付けしようと考えると、

 

「近所のお店に」【とてもかわいいバッグが】ありました。

 

というように、文を作っていくことができます。

 

 

 

◎主語が「形の無いもの」になりやすい

 

 読書感想文などでこの文型を使う場合は、形のないものになることも多くなります。特に「こと」を使った表現です。

 

【本を読んで泣いたことが】あります。

【そんなふうに考えたことは】ありませんでした。

 

 

 これは

 

【〇〇したことが】あります。

 

というように【ことが】までを含めて定型文として覚えておくと良いと思います。

 

 なかなか別の表現におきかえるのは難しいので、この形を使い慣れていない人が上の文のようなニュアンスの内容を伝えようとした時、「泣きました」や「考えませんでした」につなげることを考えてしまい、上手く一文にまとまらなくなるのです。

 

 

 普段の会話では「〇〇ちゃんのこと知ってるよ。会ったことあるもん」とか「あー、この番組見たことある!」「このゲームやったことある!」というように、頻繁に使われていると思うのですが、あらためて文で書くとなると浮かびづらいのかもしれません。

 

 

【〇〇だったら良いなと思ったことが】あります。

でも、【〇〇したことは】ありません。

 

 

「この一週間」【〇〇を食べることが】ありませんでした。

(だから、今日は〇〇が食べたい。)

 

 

というような例文をつくり、「自分だったら『〇〇』のところに何を入れる?」というテーマでいろいろ発言させてみると、文章表現として慣れることができるでしょう。 

 

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 次回の「今日から始める読書感想文」では、この前中後編の補足を書きます。

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