ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

100までの素因数分解(後編)~分解のポイントは2・3・5・7~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。

 

 今日は、昨日の記事の続きで「100までの素因数分解」の後編です。

 

※前編はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 前編では九九の答えになる数や10の倍数について、一桁の素数である2,3,5,7だけを使ったかけ算の式に置きかえる考え方を紹介しました。

 

 例えば72なら72=8×9、8=2×2×2、9=3×3ですから

 

72=8×9=2×2×2×3×3

 

というふうに分解できます。

 

 

 後編の今回は、100までの数のうち前編で扱わなかった残りの数、九九の答えでも10の倍数でもない数の分解について考えます。

 

 ちなみに以前の記事でも書きましたが、中学3年生で素因数分解を学習する際に習うのは、たいてい「すだれ算」という方法です。ただ、前編で扱った数については、暗算するならば九九や10で割る割り算を利用した方が考えやすいと思います。慣れるとかなりはやく計算できる方法なので、前編では教科書とは少し異なるやり方を紹介させていただきました。

 

 後編での計算方法は、見た目こそすだれ算とは少し異なる雰囲気ですが、考え方は前編に比べてかなりすだれ算に近いものになっています。

 前編より少しややこしい計算も出てきますが、とりあえず「こういう考え方もあるのか」というくらいの気分で、お気軽にお付き合いください。

  

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◎2・3・5・7は重要

 

 前編で扱った計算と同様に、一桁の素数である「2・3・5・7」の4つは非常に重要です。

 二桁の数の中にももちろん素数はありますが、それらの数を全て覚えようとするよりも、一桁の素数での分解をマスターして「分解できないものが素数」と考えてしまった方が良いでしょう。

 

 というのも、100よりも小さい数で素数でないもの、つまり「〇×▢」の形に置きかえられる数は、必ず「2・3・5・7」のどれかで割ることができるのです。

 

「どうしてそうなるか」を理解する必要は必ずしもありませんが、以下で理由となる考え方を簡単に紹介しておきます。「理由は別にいらない」という方は、下のキリトリ線から、次のキリトリ線まで読み飛ばしてください。

 

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 一番大きな100で考えてみます。

 

100=〇×▢

 

として、〇や▢に何が入るかを考えると、まずパッと思い浮かびやすいのは

 

100=10×10

 

ですね。〇と▢、左右いずれもの数もギリギリ二桁になりました。10は二桁ですが、10=2×5ですから100=2×5×2×5となり、全て一桁の数になるように分解できてしまいます。

 

 では仮に「100=〇×▢」の「〇」の数を、もっと大きくしてみたらどうでしょうか。10から1増やして11にしてみます。割り切れないため小数を使って

 

100=11×9.0909…

 

となります。

 整数で表せていないので、まず「素因数分解」の趣旨からも外れているのですが、それはともかくこの計算からわかるのは、

 

片方を10より1だけでも大きくすれば、もう片方が10をきってしまう(一桁になってしまう)

 

ということです。

 一番大きい100ですらこうなのですから、100より小さい数であればなおさらでしょう。

 100は前述のとおり2と5で分解できてしまいますし、99より小さい数を〇×▢という式に分解しようとしたとき、少なくともどちらか一方の数は必ず一桁になってしまいます。そして前編でも紹介した通り、一桁の数のうち、「2・3・5・7」の素数4つと、素因数分解で使わない1以外の数は

 

4=2×2

6=2×3

8=2×2×2

9=3×3

 

というように、全て素数2と3に分解できてしまいますから、〇×▢というように分解できる二桁の数は、「2・3・5・7」の少なくともどれか一つで必ず割り切れるといえるのです。

 

 

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 以上のような理屈はありますが、算数や数学を学習している途中である子どもたちが、これらを無理に理解する必要はありません。とにかく2・3・5・7で割れるかどうかを考えながら計算できれば良いのですね。

 

 以下でそれぞれの数について考えてみましょう。

 

 

 ◎5×▢への分解

 

 分解したい数について、5で割り切れるかどうか(分解後の式に5が含まれるかどうか)の判断方法は、とても覚えやすいでしょう。

 一の位が5か0であれば5で割り切れますから、これらの数は「5×▢」の形に分解できます。

 このうち「一の位が0」というのは、前編で扱った「10の倍数」なので、そちらの方法で分解した方がはやいでしょう。つまりここでは「一の位が5だった時は、まず5で割ってみる」と覚えておけば良いのです。しかも、50より小さい数は九九で対応できるので55から95までだけを考えればすみます。

 

55=5×11

65=5×13

75=5×15(=5×3×5=3×5×5)

85=5×17

95=5×19

 

です。75については、分解後に出てきた数「15」も5の倍数なので、こちらも分解し、数の小さい順に並べ替えました。

 

 

 

◎「2×▢」への分解

 

 もとの数が偶数であれば、「2×▢」の形に変えることができます。

 一の位が2・4・6・8・0のいずれかなら、その数は偶数で、2で割り切れると考えられます。ここでも「一の位が0」については「10の倍数」として分解できますから、一の位が2・4・6・8の数だったら「2×▢」に分解すると考えれば良いでしょう。

 

 例えば「52」は一の位が2なので2で割り切れると考えて、計算してみます。実際に割ってみると答えは26なので

 

52=2×26

 

と分解できますね。ここで右側の数の一の位に着目すると「26」も一の位が6の偶数なので、さらに2で割って分解できるでしょう。26÷2=13なので26=2×13です。つまり、

 

52=2×26=2×2×13

 

となります。ここで一番右の数が偶数であれば更に同じ手順を続けますが、今回の数は「13」で偶数ではないので、2で分解する計算はこれで終わりです。

 

 すだれ算の原則的な考え方では、5で割るより先に2で割ってみることが推奨されていますが、先に5で割ってしまえば残りの数が一気に小さくなるので、暗算での分解手順としては5を先にするのが個人的にはお勧めです。

 

 このような方法で「5×▢」「2×▢」の形に分解できるかどうかを考え、可能であれば分解します。そして、分解後の「▢」の部分の数が九九の答えになっているなら、あとは前編のやり方で分解できますね。そうでない場合は、さらに「3×▢」「7×▢」の形に分解できないかを考えます。

 

 

◎「3×▢」への分解

 

 2や5の時に比べて「3で割り切れるかどうか」はわかりづらいですよね。ただ「十の位の数と一の位の数を足してみて、3で割り切れる数になっていれば、元の数も3で割り切れる」という確かめ方があるので、これを利用します。

 

 例えば、87について考えてみましょう。十の位が8で一の位が7なので、二つの数を合わせると8+7=15です。15は3の段の答えにあり(3×5=15)、3で割りきれるので、元の87も3で割りきれると考えられます。実際に割ってみると87÷3=29なので、

 

87=3×29

 

と分解できます。ここで右側の数に注目すると、十の位が2で一の位が9なので、二つの数を足すと2+9=11です。これは3の段の答えにないので「3ではこれ以上割れない」と判断し、3での分解は終わりになります。

 

 

◎「7×▢」への分解

 

 7については数が少ないため、判断方法を考えるより「7で割り切れる(7の倍数である)二桁の数」を覚えてしまった方が楽なのではないでしょうか。

 

 まず、九九に出てくる7の倍数だけでも7×9=63まで既に覚えられています。そして、7×10=70もわかりやすいですね。これ以降で100より少ない数は

 

77=7×11

84=7×12

91=7×13

98=7×14

 

だけです。この4つを意識して覚えれば良いのですね。更に言えば、84と98は偶数で「5で割ってみる→2で割ってみる→3で割ってみる→最後に7で割ってみる」という手順で進めてきた場合、既に「2×▢」の形に分解されていますから、「77=7×11」「91=7×13」の2つを覚えておくだけでも、困ることはなくなるでしょう。

  

 

 

 ◎前後編をまとめると

 

・100までの数の半分くらいは、九九を利用したり10で割ったりすることで、一桁の素数(2・3・5・7)だけを使ったかけ算の式に分解できます

 

・それ以外の数も、5→2→3→7の順に割り切れるもので割っていくことで素因数分解を進めることができ、この4つのどれでも割れなかった二桁の数は素数です。

 

※後日、100まで分解したものを一覧にしてまとめました、良かったら活用してください。↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。