小学校高学年からの素因数分解(前編)~もう一つの数の分解~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。
今回のテーマは「素因数分解」です。
中学3年生で習う言葉なのですが、内容としては小学校中学年までの算数の知識があれば考えられると思います。
完全にマスターできなくても、少し覚えておくと小学校高学年の算数が非常に楽になるものなので、一度記事で紹介してみたいと思っていました。
この前編では「素因数分解」というのがそもそも何なのかを「数学」ではなく「算数」の視点で考えていきます。
◎数を分解する
皆さんは「数を分解する」というと、どんなイメージを思い浮かべますか?
真っ先に思い浮かぶのは「10は3と7」というような表現でないでしょうか。
問題として出題するなら
10=3+▢
の▢を求めるような問題ですね。この問題なら▢は10-3で求められます。
つまり、足し算や引き算を使って考える「数の分解」と言えるでしょう。
以前の記事で「10000までの数の分解」について書いたときも、虫食いになっている「足し算」の式にあてはまる数を「引き算」で求める 話でした。
※「10000までの数の分解」の記事はこちら↓
でも、数の分解のしかたはこれ一つではありません。
「因数分解」と呼ばれる、「かけ算」と「わり算」を使って数を分解する考え方もあります。
「因数分解」は中学校3年生の数学で学習する内容ですね。
文字を使った公式などが印象に残りやすく「なんだかややこしい」というイメージがあるかもしれませんが、分解するものを数字だけに限ると算数の問題を解く時にも使われている内容なのです。
12=3×▢
というような問題を、小学校の算数で見たことはあるでしょう。▢は12÷3で求められますね。かけ算とわり算の考え方で12という数を二つに分解しているわけです。
今回のテーマ「素因数分解」もかけ算とわり算の考え方で数を分解するのですが、この時、分解後の一つひとつの数が全て素数になるようにするという条件がつきます。
◎素数と素因数分解
素数について、Wikipediaには以下のように書かれています。
「素数とは、1 より大きい自然数で、正の約数が 1 と自分自身のみであるもののことである。正の約数の個数が 2 である自然数と言い換えることもできる。」
(以上、Wikipediaより引用)
「自然数」とか「正の約数」とか生活の中でなじみのない言葉で書かれていますが、要は「小数や分数、0と負の数(0より小さい、マイナスの数)については全く考えなくて良いということですね。
そのうえで、「その数自身と1以外の数で割ると、かならず割りきれなくなる」数が素数です。
例えば、5について考えると
5÷1=5
5÷2=2あまり1
5÷3=1あまり2
5÷4=1あまり1
5÷5=1
と計算でき、1と5で割った時だけ割りきれるので、「5は素数」だといえます。
それに対して、4について考えると
4÷1=4
4÷2=2
4÷3=1あまり1
4÷4=1
と計算でき、1と4の他に2でも割りきれるので、「4は素数でない」ということになるのです。
そして1は、その数自身以外の数で割りきれるものがないので、「1は素数ではない」とされています。
参考までに、20までの数の中で考えると、素数は
2、3、5、7、11、13、17、19
の8つです。
このくらいの大きさだと、九九で考えればわかりやすいでしょう。
1×▢、▢×1以外の九九の答えにあるものは素数ではないと考えられます。そうやって「九九の答え」を除外していくと素数だけが残ります。
◎素因数分解の例
20までの数について、上記の8つが素数なので、この8つと1以外の数は素数だけを使って分解できるはずです。実際にやってみましょう。
4=2×2
6=2×3
8=2×2×2
9=3×3
10=2×5
12=2×2×3
14=2×7
15=3×5
16=2×2×2×2
18=2×3×3
20=2×2×5
左側の数字を、右側のように書きかえるのが「素因数分解」なのですね。
前編はこれで終わりです、明日はこの「素因数分解」を小学校の算数の中で実際にどう利用するのかを書いていきます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。