ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

物語を選ぶなら~書いてみよう読書感想文⑧~

 

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」研究員のベル子です。

 

「書いてみよう読書感想文」シリーズの8回目となる今回は、「物語の本を選ぶ時の注意点」がテーマになります。

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 前回まで、3回にわたってノンフィクションの本を題材にして考えてきました。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 ノンフィクションの本の中には、題材や結論がはっきりとしていて、物語に比べて感想の方針を立てやすいものがたくさんあります。

「何を読んで、どう書けば良いの?全くわからない。」という子であれば、ノンフィクションから書きやすい本を選んだ方が無難ではないでしょうか。

 

 ただ、「本と言えば『物語』」という子もいるでしょう。そこで、今回は「物語で感想を書きたい」という前提で題材を選ぶ際について考えてみることにしました。

 

 

◎読んでみなければわからない

 

 物語を題材に選ぶ際に厄介な点として、「一通り読んでみないと内容がわからない」ということがあげられます。

 

 第4回の記事「本選びの最大のポイント」で「早い段階で一冊の本に絞らない方が良い」という話を書きました。物語はその点で難しいのです。

 

※第4回の記事はこちら↓
kikyouken.hatenablog.com

 

「好きな本」や「面白い本」が「感想の書きやすい本」とは限りません。 面白そうと手に取って読み進めて、仮に実際に面白かったとしても「この本で感想を書くのは難しい」と感じる事態に陥ることも考えられます。

 そこで、1冊の本に決める前に複数の本をチェックして「感想が書けそう」というものを選んだ方が行きづまりを防げるのですが、長編の物語になると店頭でパラパラ読んでみても、「感想が書けそうか」判断するのは困難でしょう。

 もともと1か月に何冊も長編小説を読むような子であれば「とりあえず読みたいものを読んでみて、書けそうなものが見つかったら書く」でも良いかもしれません。でも、もともと読書習慣がなく、一冊読むのに非常に時間がかかる場合は、安易に題材を決めて読み始めてしまうと後で苦労する可能性もあります。

 そういったことを防ぐための方法を4つ紹介します。

 

 

①読んだことのある本から選ぶ

 

 以前に読んだことがありどんな内容か知っている本ならば、読みやすいですし、感想が書けるかどうかの判断もしやすくなりますね。

 さすがに「以前に読んだから今回読む必要がない」ということにはならないでしょう。感想を書くうえでは再度読み直す必要がありますが、読み返す前に「以前に読んだのはいつ頃で、どんな感想を持ったか」ということをメモで書き出しておくと、それも読後に感想を書く際に使うことができるかもしれません。

 

 

②「原作」を選ぶ

 

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ハリーポッター」「ピーターパン」「赤毛のアン」「魔女の宅急便」……本を原作にした映画やテレビアニメ・ドラマはたくさんあります。

 原作と、それを元にした作品では、大抵の場合良くも悪くも全く同じ内容ではありません。設定や雰囲気が大幅に変わっている場合もありますし、原作の内容を削ったり、オリジナルのエピソードを入れたりしているものです。場合によっては「ライフハック系の本をドラマ化する」など、かなり大胆な改変を行うこともあるようですが、ハッピーエンドの原作を救いのない終わらせ方にしたりということは、ほぼ無いと言って良いでしょう。扱うテーマには、原作と映像化作品の間に共通項はあるはずです。

 

 映画やテレビによって本の内容がなんとなく予想されるものの中から、興味を持ったり語りたいと思ったテーマを扱っているものを選べば、感想も書きやすいでしょう。

 

 映像化がされているものであれば相応の人数の人が見ていると考えられるので、読む前にインターネット等を活用すれば、大まかな相違点などの情報も得られると思います。

 それをチェックしてから読むようにすれば、「読んでみたら原作は全く違う内容だった!これでは感想が書けない!」ということは防げるでしょう。さらに、ポイントを絞って読みやすくなるというメリットもあります。

 

 

③短編から選ぶ

 

 これは上にリンクを貼った第4回の記事でも紹介しましたが、短編集を読んで、その中から書きやすい1編を選ぶという方法です。

 短編であれば結末まで読み終えるための負担が少ないので、「読んでみたけれど、感想が浮かばない」という場合には気軽に次の物語に移れます。

 

 

④テーマを決めて読む

 

「『働くこと』について考えたい」「『命』について考えたい」「『友情』について考えたい」というように、先に「この夏考えてみたい」テーマを決めてしまってから、それに近い題材の物語を探すという方法です。本の内容や結末がどうであれ、自分で考えたいことが決まっているなら、「何も書くことがない」という事態にはそうそうなりません。

 ただ、できれば広すぎないテーマに絞り込んでおく方が、選ぶ際も感想を書く際もスムーズに進むと思います。例えば「命について考えたい」と一言でいっても、「戦争」「医療」「福祉」「ペット」など扱いたいジャンルはそれぞれの子どもによって異なるでしょう。なぜそのテーマにしたいと思ったのかをふまえて、漠然としたものではなく「安楽死の是非について考えたい」というように、より具体的に決めておくことをお勧めします。

 

 

◎まとめると

 

・読書感想文の題材として物語を選ぶことには、「最後まで読んでみないと、感想をかけるかどうか判断しづらい」という難点があります。

 

・そのため物語を題材として選ぶなら、読んだことのある本や映像作品の原作などのように「元からなんとなく内容を知っている本」や、気軽にたくさん読んで書きやすそうなものを選ぶことができる「短編集」がお勧めです。

 

※もちろんこれは「感想文の書きやすさ」を考えての話です。子どもたちが未知の長編小説に興味を持ったなら、是非、感想文云々から離れて手に取って読んでほしいと思います。

 

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 第9回では、比較的感想が書きやすいと思われる短編小説をいくつか紹介する予定です。