ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

住み慣れた土地での再発見~書いてみよう読書感想文⑦~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」研究員のベル子です。

 

「書いてみよう読書感想文」シリーズの7回目となる今回は、「地元の本で感想を書く」をテーマに考えていきます。

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 前回の記事では、「読書や作文は苦手ではないけれど、感想文はわからない」という子どもにお勧めの本として、「なるにはBOOKsシリーズ」を紹介しました。

 

 前回は主に中学生向け、前々回は主に低学年向けとなる本を紹介していたので、今回はその間の小学校中学年~高学年くらいの子どもを主に想定して書きたいと思います。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 前回・前々回ともに、物語ではなくノンフィクションの本でした。では、中学年や高学年の子どもだったら、どんなノンフィクションの本が書きやすいのでしょうか。

 

 子どもによって読める本の難易度が変わりますので「これ」というものを紹介するのは難しいのですが、1つお勧めの本の探し方があります。

 それが「地元について知りたいことを調べるつもりで本を探す」という方法です。

 

 

◎地理や歴史を学ぶ学年

 

 低学年の生活科でも「通学路に何があるかな」というように、自分の住んでいる場所に目を向ける学習はあります。でも、それは身の回りの生活環境を知るというくらいの規模の話で、自分の住んでいる市町村や都道府県について学ぶのは中学年からになるでしょう。その中で自分の地域の特色についても学ぶことになります。自分の家族や友達の家族が従事している仕事や、何度も遊びにいったことのある場所が授業で扱われることもありますね。でも「私たちの住む〇〇県は人口が〇〇人で、北部には〇〇山が~」といったデータについては、いまいちピンとこないまま「ふーん、そうなんだ」という感想だけで終わってしまうこともあるかもしれません。

 そして、高学年になると歴史の授業もあります。これは時間的にも地理的にも非常にスケールの大きな話になるでしょう。

 

 学年が上がるにつれて学ぶ内容のスケールが広がり、「身近な知識」より「一般的な知識」の比重が次第に大きくなっていきます。どちらかというと、自分とは関係のない、テレビ画面や本の向こうの世界について学んでいるような感覚を持つこともあるかもしれません。

 

 

◎教科書やテレビと自分の周囲を結ぶ

 

 でも、実際には教科書の中の情報と自分の身の回りのものは地続きでつながっているはずですよね。自分の町の成り立ちを少し調べてみると、歴史の教科書にのってる出来事や人物名と必ずどこかでつながることでしょう。テレビのニュースで地元の地名が出てきたのを見たことがないという場合でも、町のあちこちを見回せば、メディアで報じられている出来事の影響が発見できるはずです。

 

 どんな地域でも、「その地域の現状」と「一般的に知られる出来事」とのつながりを感じられる人物や文化などが存在するでしょう。

 

  

「本の内容と自分自身を結び付けて書くように言われても、どう結び付ければ良いかわからない」

という子どもには、この「自分の住む町に関連した本」が、比較的感想を書きやすくお勧めです。

 

 

「教科書にも載っている〇〇県の名産品をつくるのに、この町にも流れている川の水が使われている」

大河ドラマで出てきたあの人物は、この町の出身だ」

 そういった情報は、自治体や団体によって地域の資料としてまとめられ、PRされていることがたくさんあります。

 場合によっては「〇〇町の歴史」といった子ども向けの本を編集して売っている場合もありますね。

 そういったピンポイントの本がなくても、地元の情報から、それと関連する一般的な本を探せば良いのです。

 例えば、地元出身の人物の伝記自体が出版されていなかったとしても、その人物と同じ時代の、関連する人物や出来事の本であれば子ども向けのものも見つけられることでしょう。 

 

 

 地元に関係する読書であれば「あの場所に自分も行ったことがある」といった確かなイメージを持つことができます。本を読むだけでは感想文がまとまらない場合にも、周囲の人たちと「あの建物はもともと〇〇だったらしいよ」「お祭りで見る××は、昔の~~という出来事から」といった話をする中で、「〇〇と知って✕✕だと思った」といった言語化された感想を補うこともできるでしょう。

 

  

◎本の探し方

 

 では、実際にどう題材を決めて、どう本を探すのか。

 身近な山や川などの自然・身近な建物や産業などの文化から1つを選び、掘り下げて関連する本を探す方法もありますが特に「これ」というものが思い浮かばない場合には、まずは近所に出かけてみると良いでしょう。

 

 地元の図書館に行けば、他の土地にはないその地域の資料があります。ちょうど良い本が見つかるかもしれません。

 さらに、図書館や公民館などには地域の資料館のチラシなどが置かれています。「〇〇展」といった呼び方で期間限定で開催されていることもありますね。小規模な資料館であれば、たいていの場合それほど入館料はかかりませんから、気軽に出かけてみると参考にできるでしょう。

 

 また、特別観光地と呼ばれる市町村でなくても、地域のちょっとしたスポットを紹介する「お散歩マップ」などを作成している場合もあります。ひとつひとつはそれほど詳しく書かれていないと思いますが、題材を探すうえでは便利です。

 

 子どもが1人で探すのには限界があるのが難点ですが、大人の知恵を借りる過程も含めて、感想文の題材にできるでしょう。日常的に世間話をするような関係の人の中に、地域のことについて詳しい人がいるなら、まずはその人に聞いてみると興味深い題材が見つかるかもしれません。

 

 

◎まとめると

 

・普段見ている山や川、何度も行ったことのある場所、ゆかりのある人物、身近な産業や文化など、「地元ならではのもの」から題材を選ぶと、本の内容や感想のイメージがとらえやすくなります。

 

・題材は図書館や公民館などに行くと、見つけやすいでしょう。題材が決まったら、それに関する本を読みます。「地元ならではのもの」そのものに関する本が見つからなくても、関連する本なら見つけられるはずです。

 

・題材となった「地元ならではのもの」について周囲の人と話すことで、1人でただ本を読むよりも感想が言語化しやすくなります。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。