ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

本選びの最大のポイント~書いてみよう読書感想文④~

  

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」研究員のベル子です。

 

 4回目の今回は「本選びのポイント」について考えていきたいと思います。

 

 ※シリーズ初回記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 

◎最大のポイントは「複数から選ぶ」こと

 

f:id:kikyouken:20190719152033p:plain

 読書感想文で行きづまるるポイントとして多く見られるのは

「何の本を読めば良いのかわからない」

「本を選んだけれど、読むのが大変」

「読んだけれど、何を書けば良いのかわからない」

といった問題でしょう。

 

 では反対に、そういったところで困らない人はどのように対処しているのでしょうか。それを考えれば解決方法が見えてきます。

 

 仮に読書好きで感想文を書くのが得意な人でも「読んだ全ての本で感想を書く」というのは難しいものです。それはもちろん「読むたびに書いていたら時間がかかる」という時間的な制約の話ではありません。「書くほどの感想が浮かばない」「感想は浮かんでも、読み手に伝わるように言語化するのは難しい」こともたくさんあるという意味です。また、これまで何度となく出てきた「自分の体験と絡めて書く方が良い」という点でも、他人が読むような文章に書きたくない体験もありますよね。自分の体験と重ね合わせて「なるほど、良い本だ」と思っても、自分の心の中にとどめておきたいこともあるでしょう。

 ですから、読書や感想文に慣れていたとしても、「題材は選ばせて欲しい」と考えます。もちろん題材がはっきり指定されている場合は、その題材にあわせてそれなりの文を書くでしょう。でも、そちらの方がずっと難しいのです。

 

 まして「書くのが苦手」という人であれば、「書きやすい題材を選ぶ」ことはとても重要です。そして「書きやすいかどうか」というのは、ある程度本の内容が分からない限り判断ができません。

 とりあえず興味のありそうな本を選び「この本で感想文を書く」と決めてしまったうえで「でも何も浮かばない」という子が少なくありませんが、それは「その本で書くべきではない」ということがほとんどです。

 もともと読書に慣れていない子ほど「この本なら」と決めて読み始めると、「読みづらい」「感想が浮かばない」という困難に見舞われても、一度決めた本から離れる決断が難しい傾向があります。「せっかく途中まで読んだのに」「せっかく読み終えたのに」という気持ちから、引き返すことができなくなってしまうのでしょう。

 

 ですから、読まないうちから「この本で書く」と決めてしまわずに、「読んでみて感想が書けそうだと感じた」ものを題材に選ぶというふうに、予め発想を転換しておきましょう。「何も浮かばないけど書かなくちゃ」ではなく、「何か感想が浮かぶ本を選ぶ」ことができるよう、複数の候補から検討することが肝要です。

 

 

 つまり、感想文を書くための本選びの最大のコツは「複数の本から選ぶ」ことだといえます。

「何の本を読めば良いのかわからない」と悩むのではなく、たくさんの本の内容を把握したうえで、その中から「何を書けば良いのか」なんとなくつかめたものを感想文の題材として選んだ方が良いでしょう。

 

 

◎たくさん読まなくても「複数から選ぶ」ことはできる

 

 そうはいっても

「1冊読むのさえ大変なのに、何冊も読むなんて無理」

という子もいるでしょう。

 

「本を選んだけれど、読むのが大変」という問題は、日ごろからたくさんの本を読む読書好きの子にはない悩みです。

 でも、読書好きの子が「なんでもかんでも手あたり次第に喜んで読む」かというと、そうでもありません。

 本が好きだという子は、「紹介文を見て、面白そうなものを選ぶ」「ちょっと読んでみたけど、自分には合わなそうだからやめた」と素早く判断することが習慣づいていて、自分の好きな本を選ぶことに長けている子が多いのです。また、斜め読みにも慣れていて「どうしても読まなくてはならないけれど、あまり興味がわかない本は必要最低限の内容さえ把握すれば良い」というスタンスで読むこともできます。読みたくない時に「読まない」または「力を抜く」ことが得意だからこそ、読書好きになれるといえるでしょう。

 

「複数の本から選ぶ」といっても、「複数の興味のない本を読破する」必要はないのです。

 以下に、あまり本が好きでなかったり読書が得意でなかったりする子のための、「複数から選ぶコツ」を3つ紹介します

 

 

①「絵や図が主体の本」から選ぶ

 

  

 

 書店や図書館へ行くと、たくさんの本が並んでいます。そこでパラパラと内容をチェックして、その時点である程度感想が浮かんだ本を選ぶという方法です。

「どんな本か」を文字情報から把握するのは時間がかかりますし大変ですが、絵や図など直感的に情報が入って来る本であれば「おもしろそう」「自分には合わない」という判断も簡単にできるでしょう。

 

 もちろん絵本でも構わないのですが「〇年生なのに絵本なんて」と考えてしまう子もいます。

 その場合は、児童書コーナーではなく「大人向け」として売られている本のコーナーを見てまわるのがお勧めです。

 

 児童書でなくても、文字が主体でない本はたくさんあります。

 

自動車や電車などの乗り物

スポーツ選手や映画監督など有名人の本

インテリアや家などの住まいの技術

服やヘアスタイルなどのファッション

お菓子やパンなどの料理

プラモデルやハンドメイドなどの手仕事

カメラやイラストなどのアート技法

観光地や世界遺産などの地理

植物や動物などの図鑑

 

 

 棚を一通りぐるぐるとまわって「これ」というのを探してみると良いでしょう。

 ただし、「好き」=「感想文が書きやすい」とは限りません。子どもがもともと関心が高いジャンルの本だと、感想文は書ける気がしなくても欲しくなって「これにする」ということはあります。普段買わないジャンルから興味を持ったものを選んだり、日頃から関心の高いジャンルでも普段は買わないような本を買ったりするなど、大人の側で配慮が必要です。

 もちろん、感想文にこだわりすぎず「せっかく興味を持って欲しがっているなら買ってみようか」というくらいのつもりで、とりあえず買ってみるも一つの方法です。特に書店ではなく図書館であれば、その本は迷わず借りたうえで他の候補も探しておけば良いのですね。

 

 また、感想文の応募要項で「雑誌は不可」となっていますので、その点は注意が必要です。

 

 

②短編集から選ぶ

 

 

 もともと本を読み慣れていない子が物語で感想文を書くなら、短編集はいかがでしょうか。

 仮に長編の小説の場合、頑張って一冊読み終えて感想が浮かばないからといって、次の長編小説に移るのは大変です。

 一冊にたくさんの物語が入っている短編集であれば「このお話は感想が書きづらい」と感じても、次の短編に移れば良いだけの話なので負担が少なくてすみます。また、途中で「これなら書きやすい」というものを見つけることができれば、一冊全て読む必要もありません。

 

 特に挿絵など文字以外の情報でも内容が想像できる要素がある本なら、自分が読みやすそうな短編を選んで読むことができるので、お勧めです。

 

 

③読解ドリルから選ぶ

 

 

 いくつかの出版社が、学年ごとに「長文読解ドリル」を出版していますよね。

 そうしたドリルで題材として使われている文章の多くは、出版された本からの抜粋です。 

 以前「今日から始める読書感想文」の記事でも書きましたが、「感想文が書けない」原因の一つとして読解力の不足が考えられます。何についての本かわかっていないために、どんな感想を書けば良いのかわからなくなってしまうのです。

 

 読解ドリルでは、その文章の読み取るポイントを問題として出題していますから、答えていくうちに自然と「どんな趣旨の話か」ということをつかみやすくなります。また、「この手の話の読み取りは苦手」と判断する指標にもできるでしょう。

 

 読解力に不安のある子どもの場合は、その子があまり苦痛に感じずに取り組めそうな学年の読解ドリルを選んで一緒に解いてみましょう。同じ題材で4ページくらい出題されていることもありますが、ドリル1冊の中で何種類もの本にふれることができます。流し読みといいますか、少し解いてみて、どうしても苦手そうなものや興味のないものはとばして次の題材に移るということも可能です。その中で比較的適切に読み取れていそうなものや興味を持ったものを選び、そのもとの本を探して全編読んで感想を書くというわけです。

 

 

 ◎まとめると

 

・最初から1冊の本に決めて、その本の感想文を書くのはとても大変です。複数の本の中から、感想の浮かんだものを選んで書くようにしましょう。

 

・本を何冊も読むのが苦手な場合は、

  書店や図書館へ行き、絵や図が主体になっている本をたくさん流し見して選ぶ

  短編集の中から感想の書けそうな1編を選ぶ

  読解ドリルを解いて、適切に読み取れたものや興味を持った文の出典元の本を選ぶ

といった方法で、「複数から選ぶ」ことが可能になります。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。