ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

骨組みを考える(三段構成編)~今日から始める読書感想文㉝~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。

 

 

 前回の「今日から始める読書感想文」は、これまでの内容をまとめて振り返る内容でした。

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 ここまでの回で、「本を読む」⇒「自分の感想を持つ」⇒「文にまとめる」と細かい手順ごとに練習方法等を考えていき、苦手意識のある子どもでも比較的とっつきやすい文の骨組みをいくつか紹介していきました。「とりあえず一本仕上げる」という点では、一区切りついたところです。

 

 今回からも引き続き「文章の骨組み」について考えていきます。

 これまで紹介したものよりも書くのは少し難しいけれど、感想をもう少し深く掘り下げやすい骨組みになります。

 

 今回利用する骨組みは「三段構成」です。

 

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◎「三段構成」とは

 

「三段構成」とは、文章を「序論」「本論」「結論」の三つに分けて書く構成です。

 

 まず「序論」では、テーマの提示をします。「今から何について書くのか」を明確にする書き出し部分です。

 

 そして提示されたテーマについて詳しく書いていくのが「本論」の部分です。字数としては、この部分が一番多くなると考えられます。

 

 最後の「結論」はまとめにあたります。「本論」で述べた内容から導き出した結論を書いて文章を締めくくります。

 

 読む側の立場で考えると、まず「何について語られるのか」というテーマを明確に示された状態で本論を読むことができ、最後に「結論」が明記されるわけですから、とても読みやすい文だと言えるでしょう。 

 論理的な文を書きやすい形式だともいわれています。

 

 

◎感想文での三段構成

 

 このように、読み手側にも書き手側にもメリットのある形式なのですが、文を書くことに慣れていない子どもだと、この構成を示されたところで「それで、何を書けば良いの?」という状況になってしまうこともあるでしょう。

 

「三段構成」だけを提示されてノーヒントで書くとなると、

 

「テーマ→『この本の感想』?」

「本論→実際の感想?」

「結論→『面白かったです』とか?」

 

という発想に陥りやすく、「原稿用紙数枚分書くなんて難しい」ということになりかねません。

 

 大人の側で、もう少し詳しくヒントを提示する必要があるということですね。

 

 

◎テーマの設定が重要

 

 この骨組みで上手く文を書くためのポイントは「テーマを絞り込む」ということです。

 

「〇〇の感想」というようなざっくりしたものだと、序論は書けたとしても本論を書くのが難しくなってしまうでしょう。

 

 例えば、「主人公の最後の選択に賛成か反対か」というように、2択のどちらかの選択肢を結論にするようなテーマにすると、非常に書きやすくなります。

 子どもが自分でテーマを設定するのが難しいようであれば、ヒントとして大人の側で選択肢を提示してみるのがお勧めです。

 

 

◎2択をテーマにした構成例

 

 では仮に「自分だったらAとBどちらの行動をとるか」というテーマで書く場合の骨組みについて考えてみましょう。

 

(序論)

・「自分だったらAとBどちらの行動をとるか」というテーマの提示

・Aはどんな行動か

・Bはどんな行動か

 

(本論)

・自分が考えるAのメリットとデメリット

・自分が想像する「主人公がAを選んだ理由」

・その理由について、自分はどう思うか

・もし自分がAを選んだら、どうなるかの予想

・自分が考えるBのメリットとデメリット

・自分が想像する「主人公がBを選ばなかった理由」

・その理由について、自分はどう思うか

・もし自分がBを選んだらどうなるかの予想

 

(結論)

・自分が一番大事にしたい観点

・「その観点で考えると、〇〇の方の行動をとると思う」

 

 

 このような項目を書いていくことを意識していけば、自然と文章として仕上がって来ると思います。

 

 もちろん、上の例で紹介した項目を必ず全て書かなくてはいけないということではないですし、他に書き足せる項目もあるでしょう。

「AとBどちらを選ぶか」というのが最初に設定したテーマではありますが、「Aのメリットとデメリット」「Bのメリットとデメリット」について論じた後に、「それぞれを良いとこ取りできる折衷案」を模索してみるのも悪いことではありません。

 

 実際に、完全な2択で考えるとなると、ひとつの選択肢についてかなり字数を割いて掘り下げて考える必要が出てきます。

 選択肢を増やすと、比較して論じることは難しくなりますが、選択肢ごとに考える分量は少なくなりますので、場合によっては5択くらいの方が書きやすい場合もあるのです。

  

「より詳しく掘り下げて考える」という点では2択(+折衷案)がまとめやすいのですが、子ども状況や本の内容によっては書きやすさを優先して5つくらいの選択肢を示してみるのも良いでしょう。

 以下で5択での例についても紹介します。

 

 

◎5択をテーマにした構成例

 

(序論)

・テーマの提示

(「本の中で紹介された5つの職業の中で、どの仕事をやってみたいか」「作中に出てきた5つの魔法の中の1つだけ自分が使えるようになるとしたら、どの魔法が良いか」といったテーマになります)

 

(本論)

・Aについて魅力を感じるところ、嫌だと思うところ

・Bについて魅力を感じるところ、嫌だと思うところ

・Cについて魅力を感じるところ、嫌だと思うところ 

・Dについて魅力を感じるところ、嫌だと思うところ

・Eについて魅力を感じるところ、嫌だと思うところ

・選択肢を絞り込む(ここでは仮に「C・D・Eは絶対選ばない、A・Bで迷っている」とします)

・C・D・Eを選ばない理由

・AとBで迷っている理由

 

(結論)

・自分はAを選ぶ

・最終的にAを選んだ理由

 

 以前に紹介した「箇条書き」と似た部分がある構成ですね。

 このように、並列関係にある段落を本論で並べていくという観点で考えると字数の調整もしやすくなります。 

 

 

◎まとめると

 

・「三段構成」は論理的な文が書きやすく、読み手も読みやすい構成です。

 

・「本論」にあたる部分の字数が多くなるため、作文を書くのに慣れていない子どもがやみくもに書こうとすると「書くことが浮かばない」状況に陥ってしまう可能性もあります。

 

・「AとBどちらに賛成か」など、選択肢を絞り込んだテーマを設定すると、書きやすくなるでしょう。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。