ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

PC利用のメリットデメリット~書いてみよう読書感想文⑮~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」研究員のベル子です。

 

「書いてみよう読書感想文」シリーズでは、第12回から「感想文を書くのに行きづまった時のアイディア」を紹介しています。

 

 前回と前々回では「自分がこの本を評価するなら?」というように商品レビューを書くような気分で考えてみるという視点を紹介しました。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 

 普段とは異なる観点で考えることで、ただ「感想文」を書く時には浮かばないような

自分の中の感想に気づく時もあるという話でした。

 

 今回のテーマは「パソコンの利用」ですが、こちらも「気分を変える」ことを1つの目的にしています。

「インターネット上の情報を集めたり書き方を学んだりする」という話ではなく、「手書きでの作文に行きづまっているのなら、文書作成ソフトを利用してみるのはいかがでしょうか」という話です。

 

 もっとも、大学のレポート等とは異なり「原稿用紙に手書きで清書して提出」と指定している学校は少なくないでしょう。

 ここでは「最終的には手書きで提出する」ことを前提として、清書直前までパソコンで作業することのメリットを紹介します。また、文書作成ソフトで感想文を書いていくことには、やはりデメリットもあります。そうしたデメリットと対策についても考えていきましょう。

 

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◎キーボード入力のメリット・デメリット

 

 最近では音声入力に対応している機器もあるようですが、私自身がそうした技術に明るくないため、今回はあくまでも口ではなく手を動かすことを前提に、そのメリットとデメリットを考えます。

 

 まず、純粋に文字を書くこと・鉛筆を持って考えることに苦手意識がある子なら、キーボードの利用によってそうした障壁を取り除くことができます。

 もちろん「パソコンの方がやる気が出ない」ということであれば別ですが、子どもたちはどちらかというと「手書きの作文」の方を日常的に体験しているでしょう。「ちょっとパソコンで書いてみよう」と目先を変えることで、作文に前向きになれる子は以外と多いものです。

 

 また「いきなり原稿用紙に書き出そうとしないで、まずは思いついたことをメモとして書き出したいった方が良い」という話はこのブログでも何度となく書いてきましたが、感想文に苦手意識のある子ほど「一回で終わらせたい」と考えて直接書こうとしてしまいがちです。既に8月も終わりに近づいている現在、まだ終わっていないと焦っていれば尚更でしょう。

「とりあえず、パソコンに思いついたことを入力していこう。文書作成ソフトは、後から内容の並び替えも簡単にできるから」と促すことで「下書きしたくない問題」が解決することもあります。

 

 最大のデメリットは、「キーボード入力に慣れていないと、なかなか作業が進まない」という点でしょう。

 

 パソコンをのんびり使っても問題ない環境であれば、本人のペースでゆっくり取り組むのでも問題はありません。でも、「内容を思い浮かべるスピード」と「思いついた内容を入力する技術」の間に大きな差があると、やはりもどかしく感じることになります。

 パソコンで文章を打つことに慣れていない子ほど、パソコンを利用して感想文を書くことに興味を持ちやすい傾向がありますが、その場合は「前向きにパソコンに向かったけれど、入力作業が難しすぎてなかなか進まない」というのも事実です。

「まだ入力が難しい」「入力を面倒に感じる」ということであれば、入力作業は大人が担うのも1つの方法です。特に低学年くらいの子どもだと、「自分が伝えた内容が画面に出てくる」ということ自体に興味を持って、「〇〇って打って」「次は〇〇ね」と伝える内容を一生懸命考える動機付けになる場合もあります。

 

 

◎文章作成と推敲に関するメリット・デメリット

 

 文書作成ソフトが手書きに比べて特に便利だと感じるのは、「すぐに手直しできる」という点ではないでしょうか。

 

 例えばメモの内容を利用する際、手書きの場合はもう一度文の流れにあった形に改めて書く必要がありますが、パソコンに思いついたことを打ち出していたなら、その体裁を整えてそのまま使うことができます。もう一度同じことを入力しなおす手間を省くことができるのですね。「メモを無駄にせず、そのまま使える」という可能性が、前述のような「いきなり清書しないで、まずはとにかく思いついたことを書き出す」ということに抵抗感を感じる子どもにメモを促す助けになるでしょう。

 

 また「第2段落と第3段落の順序を入れかえよう」といった変更も簡単にできます。手書きでも「やっぱり、こっちを先にしよう」といった情報を書き込むことは可能ですが、何度も手書きで変更をしているとスムーズに読み返すことが難しくなるでしょう。

 更に、手書きで推敲を重ねると、完成形の文字数の把握が非常に困難になります。宿題の読書感想文では大抵の場合「原稿用紙〇枚分」と指定されていますが、実際にその分量になったかどうかを確認するのが難しいのです。それに対し、文書作成ソフトには字数をカウントする機能があります。改行等の関係から「原稿用紙にピッタリ収まるかどうか」を字数だけで判断することはできませんが、だいたい必要な分量に達しているのかどうかを常にチェックできるというメリットがあるといえるでしょう。

 

 

 このようにメリットがたくさんある一方で、やはりデメリットもあります。

「手直しが簡単にできる」のは非常に大きなメリットですが、その一方で「一度書きかえてしまうと、前の状態に戻したくなっても修正ができなくなる」というリスクは見逃せません。

「この部分いらないな」と削除してしまい、しばらくたってから「やっぱりあの部分を使いたい」となっても、消してしまった部分は戻りません。作業の巻き戻しはある程度できますが、それではその間に作成した部分を消すことになってしまいます。手書きの推敲であれば該当部分に線を書いているだけですから読み返すことも可能ですが、パソコンではそれが難しいのです。

 

  パソコンでの文書作成に慣れている人ならば、常にそういったリスクを理解したうえで作業をしていると思いますが、不慣れな子どもであれば「やっぱり前のが良かったのに!あれはどこに行っちゃったの?」ということにもなりかねません。せっかく一生懸命作業をしていたのに、そうした事態でやる気が下がるのは避けたいですね。

 作業の全てを残しておくのは難しいですが、対策としてはこまめに保存をしておくしかないでしょう。上書きではなく「名前を付けて保存」ということですね。その都度ファイル名に「〇時〇分」と保存した時刻を書くように心がけることで、上書きを防ぐことができます。

 

 

◎まとめると

 

「もう8月も終わるし、そろそろ書かなければいけないのに、鉛筆を持つ手が全く動かないよ」という場合は、いっそのこと鉛筆を置いてパソコンに向かってみるというのも1つの方法です。

 便利な道具ではありますがデメリットもありますので、その点はしっかり対策をしておきましょう。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。