ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

他人の感想文を読むメリット~書いてみよう読書感想文⑰~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」研究員のベル子です。

 

 先週夏休みが終わった小中学校もあると思いますが、そうでなかった子どもたちも、きっと今週には学校生活が始まっていることでしょう。

 この「書いてみよう読書感想文」シリーズも、あと数回で一区切りとする予定です。

 

 先週・先々週と「感想文を書くのに行きづまった時のアイディア」を紹介してきました。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 今回のテーマも「行きづまった時のヒント」ではありますが、既に夏休みも終わっている時期なので、今週は「他人の書いた感想文を読んで参考にする」ということについて考えていきます。

 

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◎他の子はどんなことを書いているの?

 

 大人の場合、何か文章を書くように言われて「何を書けば良いの?」という疑問が浮かんだ時に、まず最初に考えるのは「例文を探す」ということではないでしょうか。

 

「例えばどんな内容を、どんな表現で書けば良いんだろう」「他の人はどんな文を書いているんだろう」と。

 

 大人と同じような発想をするかどうかは子どもにもよりますが「読書感想文って、どんなこと書けば良いの?」という疑問に対して「例文を見せる」というのは、有効な方法ではあるはずです。

 でも、このシリーズでは、あまりそういったことを推奨してきませんでした。

 それは「他人の文を参考にして読書感想文を書こうとすると、かえって難しい場合もある」からです。

 

 他人の文を読むということには、もちろんその文章を参考にできるというメリットがありますが、一方でデメリットもあります。

 でも確実にメリットはありますから、今回はそれについて考えていきましょう。

 デメリットについては次回扱います。

 

 

◎例文を読むためには

 

「参考にする作文を探す」こと自体は、それほど難しいことではありません。

 

 現在既に9月に入っていますから、「もう書き終わった」という子どもの方が多数派だと思います。宿題を提出済みであれば完成した原稿はもう手元に無いということになりますが、下書きは残っているかもしれません。そもそも1年生を除けば昨年も書いているはずですから、それを手元に残している子もいるでしょう。

「どんな感想文を書いたの?」と聞けば、参考にさせてくれる可能性はあります。でも、「恥ずかしい」といった理由などで断られる可能性も高く、身近な子の文章を読めるかどうかは学年や環境によりますね。

 

 また、友達の文章を読む機会に恵まれなくても作品例を見ることはできます。

 まず、コンクールの主催団体が開設しているウェブサイトには、過去の入賞作品が紹介されています。それに書店で販売されている「読書感想文の書き方」といった本には、大抵の場合「作品例」が掲載されているものです。実際に子どもが書いた物をのせている場合もあれば、著者が見本として書きおろしたものの場合もありますが。

 

 ただ、そもそも「文を読む」こと自体に苦手意識がある場合「例文を読むのも面倒で嫌だ」ということも考えられます。

 でも、そういった子どもも「友達が書いた文」「お父さんやお母さんが子どもの頃に書いた文」などは積極的に読みたがることが少なくありません。本やサイトに掲載されているような、「いかにもお手本らしい」「活字の」文章を読むことに抵抗を感じる場合も、身近な人が書いた文を見せると意外とすんなり読むことがあるのです。

  本やサイトから例文を見つけ出すのに比べて用意しづらいものですが、もしも負担をかけずに上記のような「身近な人の文」が見つかりそうなら、知らない人の書いた感想文よりも興味を持って読めることでしょう。

 

 

◎例文を読むメリット

 

 そういった文章を参考にする大きなメリットは2つ考えられます。「感想を書くための切り口を見つけられる」ことと「文章表現を参考にできる」ことです。

 

「感想を書くための切り口」というのは、このブログでもいろいろと紹介してきた

「登場人物の中で、共感できるのは誰か」

「この物語の続きを予想する」

「もし、自分が〇〇だったら?」

というようなものです。

 

 読書感想文の例を読むことで、「なるほど、登場人物の中で誰が好きかを書けば良いかも」「話の続きを考えれば良いのか」といった「切り口の例」を知ることができます。たくさんの例文を読めばそれだけたくさんの切り口の例にふれることができますから、その中で「この切り口でなら書けそう」というものを見つけられれば、感想文を書き出すきっかけにできますね。

 

 

 もう一つの「文章表現」という点では、特に「書き出し」と「文章のしめくくり」が非常に参考になります。

 感想の内容自体は自力でまとめられても「書き出しをどうしたら良いだろう」「最後はどうやって終わりにしたら良いの?」という問題に関して、一人で答えを出すのは難しいものです。

 手紙やビジネス文書などを考えてみると、最初の挨拶などは自分で考えずに、文例集からほとんどそのまま使うという人もたくさんいますね。季節の表現をその時期のものに入れ替えたり、相手にあった言葉におきかえたりすることは必要ですが、骨組みは文例そのままという人も少なくないでしょう。

 感想文に関しても「テンプレート」に近いような、よく使われる「書き出し」「しめくくり」の考え方は存在します。もちろん丸写しでは問題がありますが、例文を読んで自分が活用できそうな「話の運び方」を探し、参考にすることは悪いことではありません。お礼状などの例文と同様に、あくまでも題材や自分自身に合った表現に変えることが前提ですが、参考にするものがあれば、書き出しやしめくくりに関する悩みをある程度解消できます。

 

 

◎次回はデメリットについて考えます

  

 このように、他人の感想文を読めば参考にできることはたくさんあるのですが、デメリットもないわけではありません。

 次回は、デメリットとその対策について考えていきます。

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。