ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「あと〇〇文字足りない」時には~書いてみよう読書感想文⑯~

 

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」研究員のベル子です。

 

 8月もあとわずか。既に夏休みが終わっている学校もたくさんあるようですが、宿題は無事に終わっているでしょうか。「ラストスパート中」という子もいるかもしれませんね。

 

「書いてみよう読書感想文」シリーズでは、第12回から「感想文を書くのに行きづまった時のアイディア」を紹介しています。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 前回は「なかなか鉛筆が動かないなら、気分をかえてPCで文章を作ってみては」という話でした。

 

 今回は「どうにか書いたけれど、字数が足らない」という場合の対応について考えてみましょう。

 読書感想文の宿題は大抵の場合、「原稿用紙〇枚」というように指定をされていますから「一通り書いてみたもののその字数に至っていない」というケースは少なくありません。「字数が多すぎたので削る」という場合は仮に困難さを感じたとしても先が見えやすいのですが、「思ったことを全部書いたのに200字くらい足らない」という場合は途方にくれてしまいやすいものです。

 そんな時は、どうすれば良いのでしょうか。

 

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◎感想を付け足すのは難しい

 

 最初のメモ書きの段階で「分量が足らない」という状況であれば、もう一度本を読み返してメモする内容を増やすことをまず考えるでしょう。

 でも、ある程度作文がまとめ終わった状態で「書き足す内容を探す」というのは、あまり良い結果につながらないかもしれません。

 

 もちろん「メモに書き出す作業が足らなかった」と感じているのなら、やり直すのも効果的です。でも、既に熟考を重ねて文章をまとめている場合、そこに新しい内容を無理やり付け加えると、どうしても蛇足になり全体の印象もぼんやりしてしまいやすくなります。

 

 ある程度文章をまとめたうえで「字数が足らない」という場合は、書く項目を増やすよりも今ある内容に肉付けしてボリュームを増やす方が良いと考えられます。

 

 

◎「体験談」の利用

 

 では、いかに肉付けするかということですが、「自分はこう思う」という感想に対し「どうしてそう思うのか」という根拠をより詳しく書くことで説得力を強めることを考えるのが現実的です。そこで有効なのが「例え話」です。

「自分はこうしたほうが良いと思った」という感想に「だって、〇〇の時に〇〇だったから」というように、そう考える根拠となった自分の体験を書き加えることで、自分の考えが相手に伝わりやすくなります。また、「自分はこうした方が良いと思う」という意見に「例えば〇〇の時は〇〇するということです」というように具体例を示すことで、より読みやすい文にできるでしょう。

 

 ここで真っ先に候補に出てくるのは「自分の体験」です。

 感想文の中に書いた方が良いと、よく言われているものですね。

 

 例えば「重い病気にかかった患者さんに、その事実を正確に伝えるべきか」というテーマに関して

「私は普段から嫌なことがあると落ち込んでしまう。レストランで服を汚してしまった時に、すぐに拭くように言われていたのに、とても悲しくて何もできずに泣いていた。結局その食事自体が楽しくなくなってしまったし、後で服を洗っても汚れが落ちなかった。自分が患者の側だったら、ショックをうけて治療どころではなくなってしまいそうだし、伝えてほしくない。」

「テストで上手くいかなかった時ショックだったけれど、どんなところができていないのかが良くわかった。その部分をよく復習したら次のテストでは良い成績をとれた。病状と向き合って、より適切な治療を受けるためには、正確な事実を知った方が良いと思う。」

「花粉症の症状が初めて出た時、どうしてこんなに辛いのか理由がわからなくて不安になった。後で花粉症だと理由がわかり、今も症状が画期的に良くなったわけではないけれど、気持ちのうえではスッキリできた。もし病気で何らかの症状が出ていたら、なぜ自分の身体がこんな状況なのか、その理由が知りたくなると思う。」

といった内容を書いていくわけです。

 

 また、「自分の身近な人はこうだった」といった例も体験談に近いものです。それは実際に書いてみると、その「身近な人」本人の体験というよりも、その人を身近に見てきた書き手の主観によるところが大きいといえるでしょう。

 ただ、他者のことを書く際には、書かれた人が嫌な気持ちにならないかなどの配慮が必要になります。その点は注意が必要です。

 

 

◎その他の引用など

 

 自分の体験と絡められなくても、具体例を出すことはできます。

 まず、現在感想文の題材としている本の中から引用する方法がありますね。

 場合によっては「以前読んだ本に、こんなことが書いてあった」というように、別の本の内容を例示に使っても良いでしょう。「他の本の感想文」になってしまってはいけませんが、「現在題材としている本の感想」を強調する例示として利用することはできます。ただ、いくら例示でも分量が多くなると「何の感想文なんだろう」という疑問を読み手に与えてしまうので気を付けないといけません。

 

 その他の方法としては、身近なところに素材がなくても

「以前こんな話をニュースで聞いたことがある」

というように、一般的な例を示すこともできます。

 

 また、今までの経験の中から探す必要は、必ずしもありません。「もし〇〇だったら」「仮に〇〇だったとして」というような書き出しで、これまでにないことを仮定の話として書いても良いのですから、どんな話であれ

「具体例が見つからない」

ということはないはずです。

 

 

◎まとめると

 

・一通り内容を書き終わった段階で「あと〇〇字足りない」という場合には、新しく書き加える内容を探すよりも、今ある内容に肉付けする方が現実的です。

 

・「自分がなぜそう思ったのか」の根拠として具体的な例を書き足すことで、文章の説得力や読みやすさを向上させることができます。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。