ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

2%の違いを計算する(小5の百分率)~立ち読み計算ドリル⑭~

 こんにちは

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

   紙や鉛筆をなるべく使わずに答えを判断する工夫について考える「立ち読み計算ドリル」。

 

 前回に引き続き、今回も「百分率」がテーマです。

 

kikyouken.hatenablog.com

 

 10月から消費税の税率等が変わったため、その関連の記事になります。算数の授業としては、小学校5年生で習う内容です。

 

 今回は「軽減税率が適用されると、適用されない時に比べてどのくらい出費が変わるのか」を考えてみましょう。

 

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◎まずは問題です

 

<問題>

 

 10%の税込み価格で1万円の商品があります。仮にこの商品に軽減税率が適用された場合、税込み価格はどのくらい下がりますか。A~Dの中から選んでください。

 

A 約160円

B 約180円

C 約200円

D 約220円

 

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<答え>

 

正解はBです。詳細は後ほど。

 

 

◎割合計算の注意点

 

 割合を考える際に間違えやすい点として頻繁に話題に上がるのが、

「1割増しの1割引きは、もとの数にならない」というものです。

 ついつい、もとの数に戻ると思ってしまいがちだけれど、実際にはそうならないという話ですね。

 

 歩合でなく百分率でもこれは同じで、たとえば100円(税抜き)の商品に関して考えると

「100円の商品が10%値上がりした時、10%引きで買っても100円にならない」

ということになります。

 

 問題の1万円の商品で考えてみましょう。

 

 

◎「税込み1万円」と「税抜き1万円」の違い

 

 今回の問題は「税込み1万円」ですが、まずは「税抜き1万円」の場合を考えてみます。

 

商品そのものの価格 → 10000円(100%)

 

(参考)価格の1% →   100円(  1%) ※10000÷100

10%の消費税   →  1000円( 10%)

10%の税込み価格 → 11000円(110%)

 

 8%の消費税   →   800円(  8%)

 8%の税込み価格 → 10800円(108%)

 軽減された税額  →   200円(  2%)

 

「税抜き1万円」の場合、2%は200円です。税率が10%から8%になると200円安くなるということで、計算しやすいですね。

 関連する数字を全てピックアップしましたが、答えとして必要なのは「軽減された税額」の2%の金額のみです。全てを計算する必要はありません。

 

 

 では「税込み1万円」の場合はどうでしょうか。この問題では、商品そのものの価格が書かれていないので、計算しないとわかりません。先ほどと同じように書き出してみると、以下のような状態です。

 

商品そのものの価格 → ?????円(100%)

 

(参考)価格の1% →   ???円(  1%) 

10%の消費税   →  ????円( 10%)

10%の税込み価格 → 10000円(110%)

 

 8%の消費税   →   ???円(  8%)

 8%の税込み価格 → ?????円(108%)

 軽減された税額  →   ???円(  2%)

 

 

 わかっているのは、110%が10000円ということだけです。

 この表を仕上げれば軽減された税額もわかりますが、前述の通り、全ての数値を求める必要はありません。答えとして必要なのは青字の部分で、「軽減された税額」となる2%の金額のみですから、それを求めるために必要な計算だけすれば済みます。

 

 まずはどこから計算するのが良いでしょうか。

 

 わかりやすいのは、1%ですね。110%がわかっていますから、それを110で割れば1%が求められます。ただ「110で割る」というのも少し細かい数字が出てきそうなので、いったん計算は保留にしましょう。

 

10%の税込み価格 → 10000円(110%)

(参考)価格の1% →   ???円(  1%)※10000÷110

 

 求めたいのは「2%」ですから、この「1%」を2倍すれば答えが出てきます。

 

10%の税込み価格 → 10000円(110%)

(参考)価格の1% →   ???円(  1%)※10000÷110

 軽減された税額  →   ???円(  2%)※10000÷110×2

 

 これで「軽減された税額」が求められますが、実際いくらなのでしょうか。

 右側に赤字で書きましたが、税率10%での税込み価格を110で割れば価格の1%が求められ、それを2倍すれば軽減税率との違い(2%)がわかります。

 

 ですから、軽減税率を適用することによって実際に軽減される金額は

 

=(10%の税込み価格)÷110×2

=(10%の税込み価格)×2÷110

=(10%の税込み価格)×2/110

 

 2/110は約分すると1/55ですから、

 

=(10%の税込み価格)×1/55

 

 つまり税率10%の税込み価格を55で割れば、軽減される2%分が求められるということになります。

 

 

 今回の問題では10000÷55の答えに最も近いものが正解ということですね。

 

  実際に計算すると181.81818…となりますが、最初の2桁まで求めればこたえはBとわかります。

 

 

◎まとめると

 

・「1割増しの1割引き」は、もとの価格にはなりません。

 

・「消費税10%での税込み価格」から「軽減税率が適用された場合はいくら安くなるのか」を計算したい場合は、税込み価格を55で割れば一回で求められます。

 

 とはいえ、「55で割る」というのも、慣れていないと少し厄介ですね。

 水曜日に番外編として、55で割る場合のポイントを紹介します。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。