スッキリポイントを探す(中学の図形)~立ち読み計算ドリル⑰~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。
今回の「立ち読み計算ドリル」では「扇形の面積」を求めます。
中学校で扱われる扇形の面積の求め方は大きく分類すると
①半径と角度を利用する求め方
②半径と孤を利用する求め方
の2種類がありますが、今回は①の「半径と角度を利用する求め方」の話です。
小学校の算数でも扱われる内容ですが、円周率を3.14で計算せずに文字の「π(パイ)」で表すのが、数学ならではの要素ですね。
◎まずは問題です
<問題>
半径10㎝、中心角が72°の扇形の面積は何㎠ですか。
<答え>
正解は 20π ㎠です。詳細は後ほど。
◎扇形の面積
半径と中心角(と円周率)を利用して扇形の面積を求める場合、
公式は
(半径)×(半径)×(円周率)×(中心角)÷360°
となります。
前半の(半径)×(半径)×(円周率)は、円の面積の公式ですね。
なぜこの式で円の面積が求められるのか、ということについては今回は省きます。
後半の ×(中心角)÷360° が扇形の面積を求める際に追加される部分です。
72°だと少しイメージしづらいので、まずはわかりやすい扇形から考えてみましょう。
例えば半円であれば、円全体の半分になることはイメージしやすいですね。円の面積を求めて2で割れば半円の面積が求められます。
では、半円の半分、つまり1/4(4分の1)の扇形だったらどうでしょうか。
やはり面積は1/4になるのですから、円の面積を4で割れば扇形の面積になります。
では、他の中心角の場合はどうするか。
ここで使いやすい基準を作ることになります。
円の角度は一回り360°ですね。そこで、まずは円の面積を360で割って、「1°の扇形の面積」を求めることを考えるのです。
※下の画像はイメージです。いろいろな点で正確さを欠く図であることをご了承ください。
円を360個に分けた1個分というと、上の図で赤い線くらいになるイメージで、
この扇形の面積は
(円の面積)÷360=(半径)×(半径)×(円周率)÷360
ということになります。
中心核が72°の扇形は、この面積72個分ということになりますから、
(半径)×(半径)×(円周率)÷360×72
並べ替えて
(半径)×(半径)×(円周率)×72÷360
というわけです。
中心角が50°だったら、式の「72」の部分を50に置き換え、
中心角が270°だったら、式の「72」の部分を270に置き換えれば良いということになります。
◎約分でスッキリ
つまり、今回の問題を公式にあてはめると
(扇形の面積)=10×10×π×72÷360
となり、これを計算すれば答えを出すことができます。
でも、72をかけたり360で割ったり計算は、ちょっと面倒ですね。
以前別の記事でも紹介しましたが、全てかけたり割ったりする前に、約分を利用すると楽になります。
「×中心角÷360」というのは、分数で書き直すと「×中心角/360」と同じです。
特に、問題として出題される扇形の中心角は、大抵は約分によりかなりスッキリした分数になるような数値が設定されています。
先にシンプルな分数にしてしまえば、「72をかける」とか「360で割る」などの計算をする必要がなくなるのです。
ですから、式を立てたらまず「×中心角/360」が約分できないかを考えるようにしましょう。
今回の中心角は「72°」です、この72について少し考えてみて「5倍すると360になる数」だと気づければ式はとてもシンプルになります。
72/360=1/5
ですから
(扇形の面積)=10×10×π×72/360
=10×10×π×1/5
となり、10×10×π×を5で割れば良いということが分かります。
10×10=100、100÷5=20といった計算だけなら暗算でも可能でしょう。
計算結果は20πとなります。
◎頻出の中心角
そこで、扇形の中心角のうちよく使われる数字について、「(中心角)/360」を約分した数を覚えておくと良いでしょう。
今回は特に「〇分の1」になるものを紹介しておきます。赤字の部分が中心角です。
30/360=1/12
45/360=1/8
60/360=1/6
72/360=1/5
90/360=1/4
120/360=1/3
180/360=1/2
とてもスッキリした分数になります。
良く出題されるものとしては、この他に
135/360=3/8
150/360=5/12
等がありますが、まずは「〇分の1」を覚えて、使いやすさを実感できるようにすることをお勧めします。
◎まとめると
・扇形の面積の公式の一つは
(円の面積)×(中心角)/360°
つまり
(半径)×(半径)×π×(中心角)/360° です。
・先に「(中心角)/360°」を約分してしまうと、計算が楽になります。
多くの問題では、約分しやすい数字が中心角として設定されているので、その数と約分結果を覚えてしまえば判断が早くできるようになるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。