速く正確に数えるコツ(前編・小1の数)~立ち読み計算ドリル⑲~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。
今回は「計算しながら数える」がテーマです。
前回は、これまでの内容を一通りまとめた記事でした。
※前回の記事はこちら↓
今回は気持ちを新たに、基本の基本に戻って「数を数える」話にしました。
タイトルに「前編」と書きましたが、これから何回かにわけて、このテーマを扱っていく予定です。
◎まずは問題です
<問題>
さまざまな色の「●」が一列に並んでます。全部で何個並んでいますか。
●●●●●●●●●●●●●●●
<答え>
正解は15個です。
1つずつ丁寧に数えていけばわかる問題ではありますが、人によって答えに行く着くまでの道筋は異なると思います。皆さんはどのような方法を使ったでしょうか。
◎目で見て数える限界
非常にシンプルな問題ですが、見た瞬間「うわっ」と戸惑った人もいるのではないでしょうか。
この記事を読んでいる人の大部分は、パソコンか、タブレットか、携帯電話のいずれかの画面で見ているはずです。どのような環境で見ているかによりますが、「●」がかなり小さく表示されている場合、「目がチカチカする」という場合もあるでしょう。
数えるとなったら、画面を拡大するとか、カーソルを合わせて数えたところまで反転させていくとか、何らかの機能を使った人もいるかもしれません。
「きれいに1列に並んでいる」というのは、ある意味で数えやすいはずなのですが、場合によってはかえって数えづらいこともあります。
例えば、下のAとBの「●」を見てください。
<A>
●●●●●●●●●●●●
<B>
●●●
●●●
●●●
●●●
どちらも12個なのですが、Bの方が数えやすいのではないでしょうか。
かけ算を使いこなせるなら3×4で簡単に計算できます。
さらに、かけ算を使えないような並び方(Cとします)でも考えてみましょう。
<C>
●●●
●●
●●●●
●●●
横一列のAとどちらが数えやすいでしょうか。おそらく、Cの方が「どこまで数えたかわかりやすく、数えやすい」という方が多いのではないかと思います。
また、Cの場合は一列にいくつ並んでいるかがわかりやすいのに対し、Aの場合はいくつ並んでいるかを目で見て判断するのが難しいですよね。
人間がパッと見ただけで判断できる数には限界があります。
●●
↑これなら、「●が2個」とすぐに数えられますが、
●●●●●●
↑これくらいになると、瞬時に数を判断するのが難しくなってくるでしょう。
この点に関しては非常に個人差が大きいようで、子どもによっては10個以上の数でも一瞬で答えられる子もいます。
でも一般的には4つくらいまでが把握しやすい数ではないでしょうか。
数字の羅列で考えても、桁数の大きな数になれば3桁か4桁ごとに区切ります。電話番号やクレジットカード番号番号なども4桁で区切っているものが多いですよね。
◎わかりやすい単位に分割する
「5個」くらいだとまだ判断しやすいのですが、このくらいになると「直感」とは少し異なってくることが多いのではないでしょうか。
頭の中で無意識に「2」と「3」に分割することで「5」だと確信を得られている場合はありませんか。
また先ほどの<B>と同様に、「8」くらいの数でも「4が2列」というように並んでいれば、比較的に見づらさを感じずに数をとらえることができます。
これらのことから考えると、直感的に判断できる以上の数に遭遇した場合、直感で捉えられる数までのまとまりに分解したうえで組み合わせるという技能が重要になるといえるでしょう。
これは単純な「数える」作業だけではなく、頭の中で数をイメージする力にも影響します。
そしてそれは、学年が上がっていく中で学習する様々な内容をどれだけ深く理解できるかということにも、大きく左右する能力です。
計算問題もそうですが、方眼を利用したグラフや図形、数直線などのジャンルでも同じことがいえます。状況に応じて自分で捉えやすいように数を分解できるかどうかが、答えを導き出すまでの速さや正確さに大きく関わるのです。
小学1年生の授業では「10のまとまり」については常に強調されています。たくさんあるものを数える時には「10で束ねる」作業もします。もちろんこれが非常に重要な観点であることは間違いありません。
ただ、「10」という数は、実際にパッと見ただけで「確かに10ある」という確信を持つのが難しい大きさになってしまっています。ですから、数を素早く正確に使いこなすためには、もう少し小さい数の組み合わせを上手にできるようになっておくことが必要なのです。
そのためにはまず、地道に「1~4を足す足し算」を練習して、素早く答えられるようにしておくことをお勧めします。
そのうえで、先ほどのCのような●を数える課題を出された時に単純に指で数えるのではなく、上手くとらえやすい数を利用して「3+2+4+3」と考える経験を重ねておくと良いでしょう。
そうした考え方に慣れてくると、今回の問題を見たときの反応もまた、違ってくると思います。
(↓この●の数を数えるという問題です。)
●●●●●●●●●●●●●●●
考え方はいろいろありますが、今回は青い●を目印にして区切りながら、左から数えてみましょう。
↓このようなまとまりでとらえるということですね。
●● ●●● ●●●● ●●● ●●●
最初の青い●までで2個、
そこから次の青い●までが3個(ここまでの合計は5個)、
その次が4個(合計9個)、
その後ろに3個(合計12個)、
最後の青い●の後ろに3個の●がありますから、合計は15個です。
ただ「1,2,3…」と数えていくよりも、どこまで数えたかがわかりやすく、目がチカチカしにくかったのではないでしょうか。
◎まとめると
・目視やイメージで直感的に把握できる数は、一般的に「4」くらいまでではないでしょうか。それ以上の数は4以下の数を組み合わせることで正確にとらえやすくなると考えられます。
・数をイメージするとき、自分でとらえやすいパーツに分解して全体像を把握する技能を身につけることは、その後の学習内容を深く理解するために重要です。
・まずは4までの数を足す計算を繰り返し練習し、しっかりマスターすることをお勧めします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。