24時間で考える(小3の時刻と時間)~立ち読み計算ドリル㉔~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。
紙や鉛筆をなるべく使わずに答えを判断する工夫について考える「立ち読み計算ドリル」、
今回は「時間の計算」がテーマです。
前回、前々回は「平均」を題材とする問題でした。
※前回の記事はこちら↓
今回の「時間の計算」は平均の計算に比べると非常にシンプルな話ですので、お気軽にお付き合いください。
◎まずは問題です
<問題>
太郎さんは年末に、テレビのスペシャル番組を録画したいと思っています。番組は2部構成となっていて、途中でニュース番組を挟んで放送されるそうなので、ニュース部分以外を録画予約するつもりです。
テレビ番組表によると、
スペシャル番組 午前8時32分~午後2時54分
(ニュース番組 午前11時18分~午前11時28分)
という放送予定になっています。
ですから、太郎さんは午前8時32分~午前11時18分、午前11時28分~午後2時54分の2件の録画予約をしました。
この時、録画時間は合計で何時間何分になるでしょうか。
<答え>
正解は6時間12分です。詳細は後ほど。
◎「時刻と時間」独特の繰り下がり
一般に繰り下がりといえば「43-16=27」のような引き算を連想するでしょう。「56-24=32」のように、一の位は一の位同士、十の位は十の位同士で引けば良い計算に比べると、少しややこしいイメージがあります。
時刻と時間でも同様の計算が必要になることがありますが、それとは別の繰り下がり方が何種類かあります。
まず、60進法による繰り下がりです。普通の引き算では、繰り下がりが必要な時に「隣から10借りてくる」というような表現を使うことがあります。一つ大きい位の「1」は左隣の位の「10」に相当するのです。でも時刻と時間の分野では、そうとも限りません。1時間が60分で1分が60秒だからですね。
また、正午をまたいて午前から午後に変わったり、日付が変わったりする場合には、60進法とも異なる考え方が必要になります。
今回は、正午をまたぐ時刻間の時間を計算する問題です。
最初に、上記の問題よりもずっと単純な計算として「午前11時から午後4時までの時間」を考えてみましょう。
多くの参考書で紹介される考え方は「正午で区切る」方法です。
午前11時から正午までで1時間、
正午から午後4時までで4時間、
合わせて5時間。
という考え方で答えを求めることができます。
また、アナログ時計の数字を数えるという方法もありますね。
時計に書かれた11の数字の部分をスタート(0時間)として、右隣りの12に進むと1時間、隣の1へ進んで2時間…と数えていくと、4に到着した時点で5時間だということがわかります。
実生活の中では目の前に時計がない場合もありますから、代わりに「12、1、2…」と唱えながら指を使って数えることもあるでしょう。
◎指で数える限界
シンプルな問題であれば、そのような考え方の方が手っ取り早くわかりやすいかもしれません。
でも、その方法だけに頼っていると、問題が少しややこしくなったとたんに考えるのが面倒に感じてしまう場合があります。
今回の問題では、ニュースの時間があることで、単純に午前と午後には分けづらくなっています。
さらに、「午前8時から午後2時まで」を指折り数えるのも少し厄介です。
普通の数字で考えるなら「8,9、10、11、12、13、14…」と進んでいくはずですが、ここでは「12の次が1」と切り替えなくてはいけません。もちろん知識があれば落ち着いて考えることで適切に数えることができます。でも普段とは違うところで切り替えがあるため「10時の次が1時だっけ?」「1時の前に0時もあったような?」と混乱しやすいのです。時刻や時間の扱いに不慣れな子どもなら、なおさらでしょう。
◎24時間で考える
こうした時に便利なのが「午後2時」を「14時」と表記する考え方です。これを利用して問題を整理すると、
スペシャル番組は8時32分~14時54分、
午前11時18分~午前11時28分(つまり10分間)ニュース番組が入る
と考えられます。
「8時32分~14時54分」の時間の計算は、繰り下がりがないため単純な引き算で求められます。
14-8=6、
54-32=22ですから
「8時32分~14時54分」は6時間22分です。
そこからニュース番組の10分間を引くので、答えは6時間12分となります。
◎12を足した数
日常生活の中で時刻のみを説明する場合は、「14時」よりも「昼の2時」、「22時」よりも「夜の10時」という表現の方がわかりやすいかもしれません。でも、時間を計算するとなると「14時」「22時」表記の方が計算しやすい場合があるのです。
でも、こうした考え方を便利だと思えるようになるには、日ごろからこの表記に慣れ親しんでおく必要があります。
「あれ?8時って20時だっけ?21時だっけ?」と考えている状況では、ミスも頻発するでしょうし、「午後8時ではなく、20時と考えれば良いんだ」とはとても思えないでしょう。
「『午後〇時』なら、〇に入る数に12を足した数を使って表すことができる」ということを理解したうえで、それぞれの数に12を足した計算結果を覚えてしまうことをお勧めします。
◎まとめると
・正午をまたぐ時刻間の長さが何時間何分かを計算する場合は、午後の時刻を「14時」や「16時」のような表現に置き換えて考えると楽になることがあります。
・必要に応じて使いこなせるように、12を足す計算の答えを覚えておくと便利です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
※年末年始の予定について
来週12月30日は、立ち読み計算ドリルの更新をお休みします。
次回は1月6日の予定です。
来年もよろしくお願いいたします。