ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

最大値と最小値を意識する(小5の平均)~立ち読み計算ドリル㉒~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 今回の立ち読み計算ドリルは「平均の基本」がテーマです。

 

 前回まで3回にわたって「速く正確に数えるコツ」について扱いました。

 

※前回の記事はこちら↓ 

kikyouken.hatenablog.com

 

 必要に応じて足し算とかけ算を組み合わせて考える内容でしたが、今回扱う「平均」では、足し算と割り算の組み合わせる分野になりますね。

 

 

◎まずは問題です

 

 国語・算数・理科・社会の4教科のテストがありました。

 Aさん、Bさん、Cさん、Dさんのそれぞれの点数は、以下の通りです。

 

Aさん……国73点 算77点 社72点 理74点

Bさん……国86点 算78点 社78点 理78点

Cさん……国62点 算80点 社56点 理70点

Dさん……国95点 算50点 社98点 理69点

 

 この4人のうち1人の平均点を計算したところ78点でした。

 それは誰でしょうか。 

 

f:id:kikyouken:20190715165652p:plain

 

<答え>

 

 正解はDさんです。詳細は後ほど。

 

 

◎平均の基本

 f:id:kikyouken:20191210150109p:plain

 

 そもそも平均とは何なのか。日本語の意味としては、一言でいうと「不揃いの無いこと」だそうです。他に「つり合いのとれていること」を意味する場合もありますが、それは算数での「平均」とは少し意味が異なります。

 算数・数学での「平均値」は不揃いな数値を、不揃いでない数として扱えるように特定の方法で処理した値ということになります。

 ではその「特定の方法」とはどんなものなのでしょうか。漢字の通り、「均等になるように平らにならす」ことをイメージすると良いでしょう。 

 

 例えば、4人の兄弟がそれぞれアメ玉を持っているとしましょう。長男は7個、次男は9個、三男は3個、四男は5個持っています。この時、数を視覚的に表すと以下のようにも表せますね。

 

長男 ●●●●●●●

次男 ●●●●●●●●●

三男 ●●●

四男 ●●●●●

 

 見ての通り「不揃い」です。凸凹しています。

 

 そこで、一番たくさん持っている次男が、一番少ない三男にアメをあげてみましょう。三男は現在3つ持っているので、次男から2つもらえば、四男と同じ5つになります。

 

長男 ●●●●●●●

次男 ●●●●●●●

三男 ●●●●●

四男 ●●●●●

 

 次男は2つ減ったことで、長男と同じ7つになりました。少し凸凹が解消されましたが、まだ長男・次男と三男・四男との間に差があります。そこで、長男から三男へ、次男から四男へ、それぞれ一つずつアメ玉を渡してみましょう。

 

長男 ●●●●●●

次男 ●●●●●●

三男 ●●●●●

四男 ●●●●●

 

 これで全員同じ数になりました。それぞれが6個ずつ持っているので、アメ玉の平均数は6個だったということです。

 

 このように、「(それぞれの数値が)均等になるように、平らにならす」のが平均の考え方ですが、題材となる数値は兄弟の持っているアメ玉の数のような単純なものばかりとは限りません。一つずつ慣らしていくのは大変な時もあるでしょう。

 

 そこで「まず全ての数を1つにまとめて、それを均等に分ける」という方法をとることになります。

 

 先ほどのアメ玉の例で考えてみましょう。

 

長男 ●●●●●●●

次男 ●●●●●●●●●

三男 ●●●

四男 ●●●●●

 

 この4つの数値について、誰が多いとか誰が少ないとかいったことを一切考えず、1つにまとめてしまいます。

 

4人合計 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 

 式としては

 

7+9+3+5=24

 

となり、4人で持っているアメ玉は全部で24個ということがわかりました。

 この24個を4人で均等にわければ、平均の数を求められます。つまり、割り算ですね。

 

4等分して ●●●●●● ●●●●●● ●●●●●● ●●●●●●

 

式としては

 

24÷4=6

 

となり、4人が持っているアメ玉の平均数は6個だということがわかりました。先ほどと同じ答えになっていますね。

 

 つまり、平均を求めたい時は、

 

データの値を全て合計した数÷データの件数

 

の式を考えれば良いわけです。

 

 例として、問題のAさんの平均点を求めてみましょう。

 

Aさん……国73点 算77点 社72点 理74点

 

4教科の点数の平均を求めるのですから、合計点を4で割ります。

 

(73+77+72+74)÷4=74

 

で、Aさんの平均点は74点です。

 

 今回は全て割り切れる数にしましたが、問題によっては割り切れない場合もあります。 平均値を求める割り算の場合、原則として余りを出すことはありません。割り切れるまで計算するか、問題文に応じた特定の位で四捨五入をしておよその数を答えるかのどちらかになります。

 

 

◎見直しのコツの重要性

 

 Aさんと同様にBさん、Cさん、Dさんの平均点も計算してみれば正解はわかります。でも1つの式にたくさんの数字が出てきますし、全て暗算するのは大変です。計算の順序にも気を付ければいけないため、計算ミスをしやすい問題です。

 

 正確に計算することが理想ですが、仮にミスをして間違った計算結果を出してしまった時に、それに気づけるようにしておくことも重要だといえるでしょう。

 平均の理屈を理解していれば計算結果と元のデータを見比べただけで「この平均値はおかしい、ありえない」と判断できるものも少なくありません。もちろん「ミスをしているけれども、パッと見たところ不自然ではなさそうな計算結果」という場合もあります。ただ平均の計算では、ミスをすると明らかに元のデータと合わない「ありえない」数字が出てくることがとても多いのです。ですから、「ありえそうかどうか」判断しようとする視点と、判断基準を身につけておくことで素早く正確に問題をこなせるようになります。

 

 その判断基準として、イメージしやすいものを考えてみましょう。

 

 

◎最大値と最小値を意識する

 

 まずは先ほどのアメ玉で考えてみます。 

 

長男 ●●●●●●●

次男 ●●●●●●●●●

三男 ●●●

四男 ●●●●●

 

 一番多いのは次男の9個で、一番少ないのは三男の3個です。これらの数を「平らにする」のですから、どんなに動かしても平均の個数が最大値の9個より大きくなることはありえません。同様に、最小値の3個よりも小さくなることはないでしょう。

 

長男 ●●●●●●●○○

次男 ●●●●●●●●●

三男 ●●●○○○○○○

四男 ●●●●●○○○○

 

↑この図で考えると、実際のアメ玉の数(○以外、●全部)は、平均3個(黒い部分)より明らかにオーバーしているし、平均9個(○も含む)と比べると○の分だけ足りないことがわかります。

 

つまり、平均値は必ず最小値と最大値の間(ここでは3~9)におさまるはずなのです。

 計算結果がその範囲におさまっていないなら、計算ミスをしているということがわかります。

 

 また、範囲におさまってはいても、最大値や最小値に極端に近い値(ここでは8や4)も平均値としてはおかしいというのは、図からイメージできるでしょう。

 

 

 以上のポイントをふまえて、今回の問題で出てきた計算結果の「78点」を、4人のそれぞれのデータ(点数)と見比べてみます。

 

 まずはAさんです。

 

Aさん……国73点 算77点 社72点 理74点

 

4教科の得点が全て70点台なので、数字としては近そうです。でもAさんの得点の中で一番高い算数が77点で、78点より低くなっています。そのため平均78点ということはありえないと判断できるでしょう。

 

 次にBさんの点を見てみます。

 

Bさん……国86点 算78点 社78点 理78点

 

4教科中3教科で「78点」となっていて、78点に近そうな感じがします。でも、この74点がBさんの最低点です。最後の1教科の86点が78点を超えています。この超えている分がBさんの平均点を78点よりも高くしてしまうため、Bさんの平均点も78点ということはありえません。

 

 AさんBさんよりも少し判断しづらいのですが、Cさんについても考えてみましょう。

 

Cさん……国62点 算80点 社56点 理70点

 

 最低点が56点で最高点が80点ですから、平均点は56点より高く80点よりは低いとわかりますが、かなりばらつきがありますね。でも、これだけばらつきがあるなら、最低点56点にかなり近い点(57点や58点など)や最高点80点とほとんど変わらない点(79点や78点など)が平均点になるとは考えられません。ですから、Cさんの平均点も78点ではないだろうと判断できます。

 

 AさんからCさんまでが「平均点が78点ということは考えられない」とわかったので、答えは消去法でDさんだと判断できますが、一応少し詳しくみておきましょう。

 

Dさん……国95点 算50点 社98点 理69点

 

 こちらもかなりばらつきがありますね。最高点が社会98点、最低点が算数50点ですから、平均点は50点よりも高く95点よりは低いと考えられます。また残りの国語と理科もばらつきが大きいため、実際の平均点は、最高点と最低点どちらかに大きく偏った点(ここでは90点台や50点台など)にはならないだろうと予想もつくでしょう。

 ここまで見た限り、「平均点が78点」でも不自然ではなさそうです。

 

 仮に正確な平均点を出すなら、やはり計算が必要です。

 

 先ほど紹介した式を利用するなら

 

(95+50+98+69)÷4

=312÷4

=78

 

となります。

 

 

◎まとめると

 

・平均値は「データの値を全て合計した数÷データの件数」で求めます。

例えば4教科のテストの平均点を求めるなら「4教科の合計点÷4(教科数)」です。

 

・ミスをしやすい式ですが、見直せば間違いに気づきやすいため、見直しのコツを覚えておくと良いでしょう。

 

・最大値と最小値を意識することが一番のポイントです。平均点が最大値を上回ったり、最小値を下回ったりすることは、ありえません。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。