ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「いくつずれるか」中級編(小3の時刻と時間)~立ち読み計算ドリル⑱~

 こんにちは

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

   紙や鉛筆をなるべく使わずに答えを判断する工夫について考える「立ち読み計算ドリル」、

今回は「時刻と時間」がテーマです。

 

 前回は中学校の図形の範囲を扱いましたが、今回の内容は前々回の「『いくつずれるか』で考える」の続きにあたる内容になります。

 

※前々回の記事はこちら↓ 

kikyouken.hatenablog.com

 

◎まずは問題です

 

<問題>

 

 太郎さんは、今日の夜に放送されるテレビ番組を録画したいと思っています。

 今家で使っている機械は、録画できる時間の長さが限られています。あと2時間28分だけ録画できるそうです。

 

 番組は午後8時58分から午後11時17分まで放送されます。

 この番組を最初から最後まで録画することができるでしょうか。

 

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<答え>

 

 録画できます。詳細は後ほど。

 

 

◎「時刻」と「時間」

 

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 計算とは直接関係ありませんが、前提の知識として「時刻」と「時間」の違いについて簡単にふれておきます。

 

 日常生活の中では「時刻」よりも「時間」の方が頻繁に使われる言葉ではないでしょうか。実際のところ、算数や数学の授業中には「時刻」として扱われているものでも、日常生活では「時間」と呼ばれていることが少なくないようです。

 

 例えば「今何時なの?時間を教えて。」とか、

「バス停に行って、バスがくる時間を見てきて」とか。

 

 算数や数学の学習の中は、これらを「時間」ではなく「時刻」と呼びます。

 

 

 「時刻」は、ある瞬間が「何時何分(何秒)か」を表現しているもので、1枚の時計の図から読み取れるのも「時刻」です。

 ですから「今何時?」「何時出発?」といった質問で問われているのは「時間」ではなく「時刻」なのですね。

 

「時間」はその「時刻」と「時刻」の「間」にどのくらいの長さがあるかを表すものです。「〇時『間』」「〇分『間』」「〇秒『間』」などを考える時に必要な概念になります。また、少しややこしくなりますが「〇分『後』の時刻」「〇秒『前』時刻」を考える際の「〇分」「〇秒」も「時間」であって「時刻」ではありません。

 

 例えば

5時10分30分後は5時40分

といった表現の場合、

青字の部分は時刻、赤字の部分は時間と考えることができるでしょう。 

 

 問題文の中では

番組の始まる午後8時58分

番組の終わる午後11時17分が「時刻」、

録画可能だとされる2時間28分が「時間」です。

 

 番組の開始時刻から終了時刻までの「時間」を求めて、それが録画可能時間よりも短ければ「録画できる」、長ければ「録画できない」ということになります。

 

 

◎「何分ずれるか」で考える

 

 では、この番組の放送「時間」はどのくらいの長さなのでしょうか。

 

 2つの時刻が示されたうえで、その時刻間の「時間」がどのくらいの長さかを問われた場合、基本的には「引き算」の考え方で答えを求めることができます。

 

 例えば

1時から3時までの時間なら、3-1=2で2時間、

2時40分から2時10分までの時間なら、40-10=30で30分間

というように。

 

 ただ今回の問題では、引き算でいうところの「繰り下がり」が含まれるため少し厄介です。

 慣れないうちは、暗算で計算しようとするとわけが分からなくなることもあるでしょう。また、直感的に「これくらいの時間」と感じた長さと、実際に計算して求めた時間の長さにかなり違いがでてきてしまうこともあります。

 

「午後8時58分」と「午後11時17分」をパッと見比べると、「11時」と「8時」ですから「11-8=3」で「3時間ぐらい」というイメージが浮かんでしまうかもしれません。録画可能時間は2時間28分ですから「録画は無理そう」だと感じられます。

 実際はどうでしょうか。

 引き算のように筆算のような形式で考えることができますが、それでは暗算が難しいので、まずは考えやすい「きりの良い時刻」を見つけます。

 

「午後8時58分」はほとんど「午後9時」と変わりません。また「午後11時17分」については、きりの良いところで「午後11時」として考えてみましょう。

 

 11-9=2ですから、午後9時から午後11時までの時間は2時間です。

 

 この「きりの良い時刻」から求めた「きりの良い時間」から「いくつずれるか」で考えます。

 

 まずテレビ番組が実際に始まる時刻は「午後8時58分」ですから、「午後9時」よりも2分早く始まるということになります。早く始まればその分全体の放送時間は長くなりますから、「午後8時58分~午後11時」までの時間は2時間2分です。

 さらに実際の終了時刻は「午後11時17分」ですから「午後11時」よりも17分遅くなります。終わるのが遅れればやはり放送時間が長くなりますから、実際の放送時間は「2時間2分」よりも17分長くなった「2時間19分」です。

 

 

 考える手順をまとめると

 

午後9時00分~午後23時00分 → 2時間

午後8時58分~午後23時00分 → 2時間2分

午後8時58分~午後23時17分 → 2時間19分

 

という計算で、放送時間が2時間19分だと求めることができるというわけです。

 

 録画可能時間の2時間28分におさまる時間なので、テレビ番組を最初から最後まで「録画できる」ということがわかります。

 

 

◎まとめると

 

・「始めの時刻」から「終わりの時刻」までの「時間」を求める際には、引き算の考え方が役に立ちます。

 

・繰り下がりを含む計算は暗算では難しいため「きりの良い時刻」を元に時間を計算し、その時刻から「どのくらいずれているか」で端数を計算すると良いでしょう。

 

・問題文から立式すること自体がおぼつかない場合は、「時刻」と「時間」の違いについて復習する必要があるかもしれません。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。