ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

例外を考えるのも面白い(後編)~3行で振り返る読書(13)~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 今回の3行で振り返る読書は、ロン・クラーク著「みんなのためのルールブック ―あたりまえだけど、とても大切なこと」を振り返る記事の後編です。

 

 

 

※前編はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 まずは前回振り返った3行を思い出してから、後編に入ります。

 

(シリーズ全体を通して、あくまでも私の個人的な感想や解釈に基づくものなので、筆者の意図から外れていることもあるかもしれません。その点はご理解くださいますようお願いします。)  

 

◎3行で振り返る

 

内容は→子どもが日常生活の中で心がけるべき50のルールとポイントを紹介

ポイントは→「日本の小中学校生活」に限らず社会活動全般に活用できる内容が多い

感じたこと→簡潔さ故に例外の説明はないが自分でそれを考えると良い勉強になりそう

 

 

◎全部でも1つでも

 

 この本1冊の中に50のルールが書かれていますから、まさに「ルールブック」としてこの本を傍らにおいて「自分はどのくらい達成できているだろう」と振り返る材料にするという活用方法もあります。

 

 でも、全てを読み切らずに、1つのルールのみをクローズアップして考えるという活用方法もあるでしょう。

 ちょうど見開き1ページで1つのルール(とその解説)を扱うように構成されていますから、1つのルールのみに着目し「自分は守れているかな」「このルールが活用できるのはどんな場面だろう」と一人で考えたり、話し合ったりするのもお勧めです。

 

 あらたまった雰囲気で「ルールについて話し合おう」というときの資料にも使えますし、情報番組で見たちょっとした小ネタを話題にするような雰囲気で「〇〇のときは〇〇すると良いって、ルールブックにあったね」と話のタネにすることもできます。

 

 

◎例外を考えるのも面白い

 

以下はルールの6番の引用です。

 

「だれかに質問されたら、お返しの質問をしよう」

 

だれかに「夏休みは楽しかった?」と聞かれたら、

その質問に答えてから、

「〇〇さんはどうでしたか?楽しい夏休みでしたか?」

と質問を返そう。

 

 誰かがきみに関心をもってくれたときは、きみも相手に関心をもっていることを示すのが礼儀だ。きみが相手に関心をもっていることを示せば、相手は君にもっと関心をくれる。

 

(以上、ルール6からの引用でした。)

 

 なるほど、これは会話術として、とてもわかりやすく参考になります。

「聞かれたことを聞き返すと良いよ」というのは、会話が苦手で、何を話せば良いかわからない子にとって、とても有効なヒントになるでしょう。

 

 ただ、このルールは子どもが親戚の大人と交流するときには苦笑いのもとになりそうです。

 

親戚の女性「あら、〇〇君、大きくなったわね。何歳になったの?」

子ども「はい、10才です。おばさんは何歳になりましたか?」

 

 そんな場面を想像してしまいました。

 

 相手が自分に対して好意的な態度を保っていることを前提に考えた時、自分が相手に聞かれたことを聞き返しても、本来何も問題ないはずです。ところが、大人は子どもに対して、大人同士ではしないような質問をすることが少なくありません。そのことの是非についてはここでは論じませんが、現状としては上記のような「聞き返してはいけないことを聞き返してしまう」ということが起こりかねないわけです。

 

 だから、このルールブックがあてにならないのかと考えると、もちろんそうではないと思います。

 前編でも書いた通り、この本では極めてわかりやすい「するべきこと(してはいけないこと)」が紹介されていますが、著者が重要視しているのは表面上の形ではなく、「なぜ、そうするべきなのか(してはいけないのか)」という理由の部分です。具体的な行動のルールは、ある意味ではその理由の説明のための具体例としてあげられたものと考えても良いでしょう。

 

 ただ本に書いてあることを覚えてそのまま実行するというよりも、「確かに一般的には正しい、でも、こんな時は例外だよね」とむしろ例外を話しあったりすると、また理解が深まると思います。実際このルールの「例外」を考えるうえでのヒントとなるルールも、この本の中から見つけられるのではないでしょうか

 前編でルールの文のみ紹介した「しかられている人のほうを見ない」というものも、まさにそうだと思います。

 

「他人に関心を持って、それを態度に表すことは、素晴らしいことです。」

「でも、相手にも関心を持たれたくないこと、詮索されたくないことがあるのです。」

 

というふうに考えられるでしょう。

 

 ですから、この本は全ての漢字にルビがふられていて低学年の子どもでも読みやすい形式になってはいますが、私個人の考えとしては、どちらかという中学年くらいの子どもから特にお勧めしたい本です。

 

 

◎最後に3行で振り返る

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内容は→子どもが日常生活の中で心がけるべき50のルールとポイントを紹介

ポイントは→「日本の小中学校生活」に限らず社会活動全般に活用できる内容が多い

感じたこと→簡潔さ故に例外の説明はないが自分でそれを考えると良い勉強になりそう

 

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

※年末年始の予定について

 来週1月3日は、3行で振り返る読書の更新をお休みします。

 次回は1月10日の予定です。

 来年もよろしくお願いいたします。