ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

例外を考えるのも面白い(前編)~3行で振り返る読書(12)~

 こんにちは

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

  今回の「3行で振り返る読書」は「みんなのためのルールブック ―あたりまえだけど、とても大切なこと」を振り返る記事の前編です。

 

 

 

 

 ここ数回、当シリーズでは一般向けの本を振り返ってきましたが、今回は久しぶりに児童書が題材です。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

「みんなのためのルールブック」はタイトルの通り、子ども達が日常生活をよりよく過ごすために覚えておく注意事項やコツをまとめた本です。

 

 とりあえず、まず3行で振り返ってから、本の詳細を紹介したいと思います。

 

 

◎3行で振り返る

 

内容は→子どもが日常生活の中で心がけるべき50のルールとポイントを紹介

ポイントは→「日本の小中学校生活」に限らず社会活動全般に活用できる内容が多い

感じたこと→簡潔さ故に例外の説明はないが自分でそれを考えると良い勉強になりそう

 

 

◎本の概要

 

 この本は、ロン・クラークさんというアメリカの教師が書いた「あたりまえだけど、とても大切なこと―子どものためのルールブック」という本の内容を、より簡潔に読みやすくまとめなおした普及版です。

 

※元の本はこちら↓

  

 

 この、「あたりまえだけど、とても大切なこと―子どものためのルールブック」は2003年に出版され、世界的ベストセラーとなった本です。

 

 こちらの本に関しては、Amazonの商品ページでとても詳しく紹介されているので、そちらを読んでいただいたほうがわかりやすいかと思いますが、ここでも一部だけ引用させていただきます。

 

(以下、Amazonの「内容紹介」より引用)

 

教育困難学級をうけもった小学校教師が、祖母から教わった礼儀作法をルールにして生徒たちに教えたところ、教室が劇的に変わり、学業成績も州のトップクラスになりました。 「大人の質問には礼儀正しく答えよう」「相手の目を見て話そう」「誰かがすばらしいことをしたら拍手しよう」「勝っても自慢しない、負けても怒ったりしない」「誰かとぶつかったらあやまろう」「口をふさいで咳をしよう」… 一見あたりまえのことばかりですが、いま、子どもたちの多くが誰からも教わっていません。他者を尊重する心、自分を大切にする心を育てる、大人にも通じる基本ルール集です。著者は2001年に「全米最優秀教師賞」を受賞。

 

(以上、Amazonの商品ページより引用しました。)

 

 今回紹介する本はその「普及版」として、元の本よりも「ハンドブックらしくなった」感じでしょうか。扱っているルールは50個と変わりませんが、見開き1ページで1つのルール(右ページにルールの文、左ページに短い解説)を紹介するという見やすく簡潔な形式になっています。

 漢字には全てルビがふられていて低学年の子どもでも読めるようになっていますが、個人的には中学年以上の子どもにお勧めしたい本です。(その理由は後編で少し詳しく書かせていただきます)

 

 

◎普遍的なルール

 

 学校などは特にそうですが、日本の子どもを取り巻く環境には、独特のルールがあります。その中には、外部の人から見ると驚くようなルールもあるでしょう。実際のその環境に身をおいている以上、そこでのルールを良く理解し守ることができた方が楽しく充実した生活がおくれるのではないかと思います。ただ、そのルールは環境が変わると役に立たないことも少なくありません。

 この本はもともと日本で書かれた本ではありませんから、日本独特のルールとは全く関係のないものです。そして世界的にベストセラーになったわけですから、多くの国の人から「確かにその通りだ、これらのルールは大切だ」と共感を得られたということでしょう。

 国によって常識・非常識に対する考え方は変わりますが、基本的に多くの国で「間違いではない」と認識できるルールばかりということですね。

 

 

◎形と精神

 

 この本が「ルールブック」として多くの人から受け入れられやすかった理由はいろいろあると思いますが、私はここで2つの特徴についてふれておきたいと思います。

 

 1つは「するべきこと(してはいけないこと)が非常に明確に書かれている」ということです。

 例えば、「子どもの友達づきあいのルール」というと「やさしく」「いじわるしない」といった精神などが思い浮かびますが、「やさしさとは何か」「いじわるとは何か」という部分の解釈が難しく、言われたからといってすぐに実行できるかはわかりません。でも、この本では「しかられている人のほうを見ない」「だれかとぶつかったらあやまろう」など、どんな場面でどんな行動をとるべきか(とってはいけないか)具体的に書かれているものが多いのです。また、ルールとしては抽象的なものでも、解説で具体的にどうするべきか書かれている場合もあります。

 本を読んで「ルールを守ろう」と思った子どもが、実際に行動を起こしやすいようになっているのです。

 

 もう1つが「ルールを語るうえで、その理由に非常に重きをおいている」という点です。

 クラークさんは子ども達にルールを教える時、どうしてそれが大切なのか、何のためにあるのかを、時間をかけて説明するそうです。

 このルールブックを読んでいると、ひとつひとつのルールを覚えるということの良さ以上に、その根底にある精神を学ぶことの大切さを感じられます。具体的なルールはあげていくときりがありませんが、その根本にある考えを学ぶことで、多くのことに応用できるでしょう。

 世界的に評価されたというのも、その部分が大きいのではないかと思います。個々のルールはやはり土地や文化によって変わることがありますが、そのもととなる万国共通の精神に重点をおいている本だったからこそ、多くの人に受け入れられたのではないでしょうか。

 

◎後編では具体例などを紹介します

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 今回はロン・クラークさんの「みんなのためのルールブック ―あたりまえだけど、とても大切なこと」の概要を振り返りました。次回の後編では、この本にのっているルール(とそれが必要な理由)の一例や、この本の活用例などについて、もう少し具体的に紹介します。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。