ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

1時間は3600秒(小6の速さ)~立ち読み計算ドリル㉕~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 紙と鉛筆をなるべく使わずに計算する方法を考える「立ち読み計算ドリル」、今回のテーマは「速さの計算における単位の変換」です。

 

 前回は時刻と時間関連の記事でしたが、そこで登場した60進法と関連する内容になります。

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 ややこしい計算が含まれる問題ですが、ややこしいからこそ問題としてはシンプルになるということがあります。今回はそんな話です。

 

◎まずは問題です

 f:id:kikyouken:20200106194649p:plain

<問題>

 

 ある列車は2時間で216km進むことができます。

 この列車は秒速何mですか。

 

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<答え>

 

 正解は「秒速30m」です。詳細は後ほど。

 

 

◎速さの基本

 

 小学校の算数で「速さ」と言えば、主に「単位時間あたりどのくらいの距離を進むか」を表したものを指します。この他に「単位時間あたり、どのくらい仕事を進められるか」を表す場合もありますが、いずれにせよ、1時間あたりの進み方で表す「時速」、1分あたりの進み方で表す「分速」、1秒あたりの進み方で表す「秒速」のいずれかで表すことが多くなります。

 

 今回の問題の場合、2時間で216km進むと説明されていますから、この時点で既に使われている「時間」と「km」の単位を利用して「時速何kmか」で考えるのが一番手っ取り早いと言えるでしょう。

 

 2時間で216kmですから、1時間で進める距離はその2分の1だと考えられます。式で書くなら

 

216÷2=108

 

で、この列車の速さは「時速108km」です。

 

公式では

 

速さ=道のり÷時間

 

と表せます。

 

 

◎単位の変換

 

 単純に「速さを求めなさい」という問題であれば、「時速108kmです」で良いのですが、今回の問題の「秒速何mですか」というように単位を指定されている場合は、その単位に変換して答える必要があります。

 

 ここでは「時速」を「秒速」に、「km」を「m」に変えなくてはいけません。

 

 このうち「km→m」の変換は、比較的簡単です。

 

単位で使う「k(キロ)」は「1000倍」を表しています。ですから、「1km」は「1000m」ということです。

 数字の部分を1000倍すれば良いのですね。

 

 1kmなら 1000m、

 2kmなら 2000m、

10kmなら10000m、

20kmなら20000m、

 

今回の「時速108km」であれば「時速108000m」と書きかえられます。

 

 1000倍の計算について「小数点を右に3つ動かす」という表現を使うこともありますが、整数であれば「0を3つ増やす」と考えれば良いでしょう。

 

 

 これよりも厄介なのは「時速を秒速に変える」計算です。

 順をおって考えてみましょう。

 

 例えば「時速3600m」は、「秒速」何mになるでしょうか。

 

 まずは「分速」何mかを考えます。

「分速」は「1分でどのくらい進めるか」ということですね。

「時速3600m」は「1時間で3600m進める」ということですから、言いかえれば「60分で3600m進める」と考えられます。1分で進める距離はこれよりもずっと少なく、60分の1になります。

 

 つまり、3600を60で割れば良いのですね。

 

3600÷60=60ですから、

 

「時速3600m」は「分速60m」と書きかえられます。

 

 これをさらに秒速に変えるにはどうしたら良いでしょうか。

 

1分は60秒ですから、「1分で60m進む」ということは「60秒で60m進む」ということと同じです。ですから、1秒あたりに進む距離は60mを60で割れば良いのですね。

 

60÷60=1ですから

 

「分速60m」は「秒速1m」になります。

 

 つまり、「1秒あたりに進む距離」は「1時間あたりに進む距離」の3600分の1なのです。時速として出てきた数を3600で割れば秒速を求めることができるということですね。

 

「3600で割る」というのは、なかなか大変そうな話です。実際に計算する場合は、電卓を利用したくなるような数でしょう。

 

 ただ「問題を解く」という場合は、意外とそうでもありません。というのも、多くの問題では、ちょうどきりの良い計算になるような数で出題されているのです。「3600という数で割る」となると「きりの良い数値」は限られてきます。要は36の倍数ばかりが利用されるのです。

 

 特に

 

36×1=36

36×2=72

36×3=108

36×5=180

 

あたりが良く使われます。

 

「3600で割る」となると電卓なり筆算なりが必要そうですが、この倍数を覚えておくことで、時速から秒速の変換が容易になるでしょう。

 

 今回の問題の「時速108000m」でもその考え方が利用できます。

 

108000÷3600 を計算することになりますが、3600を36と100に分けて

 

108000÷100÷36

 

と考えます。

 

まずは108000÷100=1080です。

 

そして、108÷36=3を覚えておけば、それを利用して

 

1080÷36=30

 

と暗算が可能です。

 

この計算により

 

「時速108000m」は「秒速30m」と変換ができます。

 

 

◎まとめると

 

・kmからmに単位を変換するときは、数字を1000倍します。

 

・時速から秒速に単位を変換する時は、数字を3600で割ります。

 

・3600で割る計算は複雑ですが、多くの問題では「3600で割り切れる」きりの良い数字が設定されています。そうした問題は36の倍数を覚えておくことで対応することができるでしょう。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。