「ごと」「あたり」の単位にご注意を(後編)~数式と日本語⑩~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。
今回は「『ごと』『あたり』の単位にご注意を」の後編です。
※前編はこちら↓
前編でも書いた通り、今回の後編は、前編の続きというより補足になります。
「50円のアイスを3本買ったら、代金はいくらになりますか」という文章題に関する式について、単位をつけて書く場合
つい
50円×3本=150円
のように書いてしまいがちですが、これは厳密には正しくない計算式になってしまいます。
数字の計算は50×3=150で問題ありませんが、
単位に着目すると、「円×本=円」というのは文字式の計算ルールに合っていません。
日常生活の中ではあまり意識しませんが、「50円のアイス」は「1本あたり50円」という意味なので、本来単位をつけるなら「50円/本」と書くべきだというところまで前編で書きました。
一般的に、文章題の答えには単位を書くように求められますが、式に単位を書くことはあまりありません。でも、単位を意識すると立式をしやすい場合があるので、この「1本あたり」等の例について頭に入れておくと役に立ちます。今回はこの具体的な例について、もう少し紹介していきます。
◎3問の例題から
<例題>
次の文章を数式で表しましょう。
※単位には( )をつけておきます。
①1問正解するごとに30点もらえる問題を2問正解すると60点とれます。
↓
30(点/問)×2(問)=60点
「ごと」は「あたり」と同様に、分数の形で単位を表すことができます。
②毎日100円ずつ貯金をすると、7日で700円貯まります。
↓
100(円/日)×7(日)=700(円)
「毎」は訓読みで「ごと」と読みますね。そのため「毎年3枚」なら「3枚/年」、「毎月5000円」なら「5000円/月」というように考えることができます。
③1周200mのトラックを4周走ると800mです。
↓
200(m/周)×4(周)=800(m)
この「1周200m」のように、「1(単位)○○(別の単位)」という表現は、「1(単位)ごと」や「1(単位)あたり」の数を表していますから①や②と同様に「(別の単位)/(単位)」という分数の形の単位で表すことができます。
◎速さの単位も
上記のような文章題で分数の単位を意識する機会は少ないかもしれませんが、速さの単位でなら馴染みがあるのではないでしょうか。考え方は一緒です。
例えば「分速80m」というのは「1分で80m進む」ということですから
1分あたり80m→80m/分
という表現をするわけです。
また、この「m/分」を「メートルまいふん」と読むように教えられることもあります。先ほど扱った「毎」ですね。
ですから
「秒速250mで飛ぶ飛行機は2秒で500m進みます」
という表現を式で表す場合は、
250(m/秒)×2(秒)=500(m)
となります。「250」につく単位は、後ろの「m」だけではなく、手前の「秒速」の部分も反映させないといけないというわけです。
ただ、時速に関しては少しだけ変則的な表現になります。
「1時間で40km進む」速さを表す場合に
「40km/時間」とは書かずに「40km/時」と書くのです。でも、この「時」は「時間」を表しているので、
40(km/時)×3(時間)=120(km)
のように「時」と「時間」で約分することができ、「km」だけが残ります。
◎最後に
前編でも書いた通り、今回の内容は、この後書く予定の記事に対する発展編ともいえる内容です。そのため「なんだかピンとこない」という場合はとりあえず読み流し、後日読み返していただければ幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。