割り算のいろいろ(後編)~数式と日本語⑧~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。
今回は「割り算のいろいろ」の後編ですが、前編の補足的な内容になります。
※前編はこちら↓
前編では、同じ「10÷4」と立式する文章題でも問題の内容によって答えが異なるという、他の計算(足す・引く・かける)にはない割り算の特徴について話しました。そして4種類の問題例を紹介しましたが、問題と式・答えを紹介するのみでそれぞれの問題がどのように異なるのかについては説明していません。
今回は前編で紹介した4問の文章題の違いについて簡単に紹介します。
◎「いくつぶん」と「1つあたり」
まずは、①と②の問題について考えてみましょう。
①10個のアメを4つずつ子ども達に配ります。何人に配れて何個余るでしょうか。
↓
10÷4=2…2 答え…2人に配れて2個余る
②10mのリボンを同じ長さになるように4等分に切り分けます。1本は何mになりますか。
↓
10÷4=2.5 答え…2.5m
①は一言でいえば「いくつぶんか」を聞く問題です。
指定された数(ここでは4つ)をひとまとまりとして、そのまとまりをいくつ作れるかを聞いています。
それに加えて、まとまりをできるだけ作った後の端数となる「余り」についても答える必要がありますね。
「〇つ分で、余りは▢つ」というような答え方になります。
それに対し、②は一言でいえば「1つあたりどのくらいか」を聞く問題です。
指定された数(ここでは4つ)に等分したとき、1つあたりの大きさはどのくらいになるかを聞いています。
等分するので、原則として余りは出ません。整数の範囲で割り切れないのなら、小数や分数を利用して等分します。
ちなみに、①のように「いくつ分か」を求める割り算を「包含除(ほうがんじょ)」といい、②のように「1つあたりどのくらいか」を求める割り算を「等分除(とうぶんじょ)」といいます。
整数で割り切れない割り算の方が違いが分かりやすいと考え、今回「10÷4」を例にしましたが、「10÷2」や「10÷5」のように整数の範囲で割り切れる計算でもこの区別はあります。
「1つあたりの量」に「〇つ分」を表す数をかけて「全体の量」を求めるのがかけ算、
「全体の量」を「1つあたりの量」で割って「いくつぶんか」を求めるのが包含除、
「全体の量」を「〇つ分」を表す数で割って「1つあたりの量」を求めるのが等分徐というわけです。
◎端数の処理による違い
③と④の問題についても考えてみます。
③お団子を串に刺して串団子をつくります。4個のお団子で串団子が1本つくれます。お団子10個では何本の串団子を作れますか。
↓
10÷4=2…2 答え…2本
④タクシーを利用して10人で運動場に行くことになりました。タクシーは1台に4人までの乗客しか乗せてくれません。タクシーは何台必要ですか。
↓
10÷4=2…2 答え…3台
どちらも①と同じ「いくつ分か」を求める計算です。
指定された数(ここでは4つ)をひとまとまりとして、そのまとまりをいくつ作れるかを問う問題ということですね。
ただ、今回の「10÷4」は割り切れないため余りがでます。まとまりをつくっていくと、最後にまとまりになりきれない「不完全なまとまり」ができるのです。
この「不完全なまとまり」を「〇つ分」の数に含めるかどうかで答えの数が変わります。
③の場合、余りの2個だけで串団子を作っても売り物になりませんから、個数には入れられません。しっかり団子4個を使用した2本のみが答えの数として扱われます。
④の場合、最後に残った2人もタクシーに乗らなくてはなりません。人数が半端でも、タクシーは1台必要ですから、この1だいも答えの数に含みます。
◎まとめると
・割り算の文章題には、大きく分けて「いくつ分か」を求める問題と「1つあたりの大きさ」を求める問題があります。
・文章題の内容によって、同じ割り算の式を使っていても答えの数が変わります。
・「いくつ分か」を求める問題では、端数を「〇つ分」に含めるかどうかによっても答えの数が変わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。