割り算のいろいろ(前編)~数式と日本語⑦~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。
気が付けばシリーズのようになってきてしまった「数式と日本語」、今回のテーマは割り算です。
これまで、「足し算・引き算の式で表そう」「かけ算の式で表そう」というタイトルで、3つの計算についてそれぞれの式で表すことのできる代表的な日本語表現を紹介しました。
※それぞれの前編の記事はこちら↓
その流れでいくと今度は割り算なのですが、今回のタイトルは「割り算の式で表そう」ではありません。
それもいずれ書きたいとは思うのですが、割り算の文章題にはこれまでの3つの計算方法にはない難しい特徴があるのです。割り算に関わる日本語表現について掘り下げる前に、それを確認しておいた方が良いと思いました。
では、その割り算の文章題に見られる難しい特徴とは何なのか。
それは、「同じ式を立てる問題でも、文章の内容によって答えの数が変わる」ということです。
◎10+4は14、では10÷4は?
例えば、「10+4=14」という計算が必要となる文章題と答えを考えてみましょう。
①10より4大きい数はいくつですか
↓
10+4=14 答え…14
②公園に10人の子どもがいました。あとから4人増えました。子どもは全部で何人になりましたか。
↓
10+4=14 答え…14人
③10円のチョコレートと4円のアメを買うと、いくらになりますか。
↓
10+4=14 答え14円
このように、答えの単位は「人」「円」などと変わっていきますが、数字が「14」なのは原則として変わりません。足し算と関連の深い引き算も同様です。
かけ算でも考えてみましょう。
④10円玉4枚でいくらですか。
↓
10×4=40 答え…40円
⑤子ども達がドッジボールのチーム分けをしたところ、10人のチームが4つできました。子どもは何人いますか。
↓
10×4=40 答え…40人
⑥10と4の積はいくつですか。
↓
10×4=40 答え…40
こちらも、問題によって数字以外の部分は変化しますが、答えの数字が40なのは変わりません。
では、問題の割り算はどうなのか。
割り算でも、1つの式から出せる答えの数は一通りのみという問題もあります。問題というよりも、式というべきかもしれません。
割り算を最初にならったとき「かけ算の逆」のようなイメージを持っていた方は少なくないでしょう。実際に、単純にかけ算のみを利用すれば解けるような問題であれば、割り算でも1つの式から考えられる答えの数字は1種類のみになります。
例えば40÷4という式を立てる文章題であれば、答えは「10個」「10分」「10人」のように数字の部分は必ず「10」になるでしょう。
ところが、「10÷4」のように余りのある割り算の立式が必要になる文章題だと、答えは1種類に限定されません。文章題の内容によって余りの処理の仕方が変わり、その結果答えの数が変わってしまうのです。
◎割り算のいろいろ
以下に、10÷4の式を立てる4つの問題と式・答えを紹介します。
それぞれの詳細については次回に紹介するとして、「今回は同じ式なのに、少なくとも4種類の答えが出てくる」ということを確認してみてください。
①10個のアメを4つずつ子ども達に配ります。何人に配れて何個余るでしょうか。
↓
10÷4=2…2 答え…2人に配れて2個余る
②10mのリボンを同じ長さになるように4等分に切り分けます。1本は何mになりますか。
↓
10÷4=2.5 答え…2.5m
③お団子を串に刺して串団子をつくります。4個のお団子で串団子が1本つくれます。お団子10個では何本の串団子を作れますか。
↓
10÷4=2…2 答え…2本
④タクシーを利用して10人で運動場に行くことになりました。タクシーは1台に4人までの乗客しか乗せてくれません。タクシーは何台必要ですか。
↓
10÷4=2…2 答え…3台
◎次回へ続きます
上の例のように、問題によっては答えが小数や分数になる場合もあります。小数で表計算するとなると、「小数第〇位で四捨五入」等の指示によってまた別の種類の数が現れる例も考えられますが、今回は代表的な4種類を紹介しました。
次回それぞれの特徴などについて、少し詳しく考えていきます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
※次回は3月26日(木)に更新予定です。