ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

興味と予備知識にも着目を~休校中の自習(理科・後編)~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 今回は「休校中に家庭で理科の学習をするなら、どんなことをしたら良いか?」について考える記事の後編です。

 

 

※前編はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 主に自力で理科を学ぶとなると、ある程度の読解力(文章読解力の他、図やグラフを読み取る力)があるかどうかが重要になります。そして、ある程度自力で進められそうな場合にお勧めの教材の紹介までを前編で書きました。

 

 後編では、そうした教材を自力で進めるのが難しい場合はどうするかということについて考えていきたいと思います。

 

※この記事は「家庭で学習させようと思っているんだけど、何をするべきかわからない」という疑問に対して、個人的な考えを書いたものです。家庭学習自体を強く勧める意図はありません。また、学校からきっちりと課題が出ているなら、まずはとりあえずそれをこなすことを考えるでしょうし、今何をしておくべきかというのは子どもや家庭の状況によって異なりますから、あくまでも考え方の一つとして読んでいただければ幸いです。

 

◎読解力があるのに自習が厳しい場合

 

 それほど極端には多くありませんが、子どもの中には「国語や算数・数学は特に苦手ではないけれど、理科は難しい」という子もいます。文章読解力や図やグラフを読み取る力はあっても、理科の学習が進められないというタイプです。

 この場合、「日常生活の中での理科的な現象に興味が薄い」可能性が考えられます。

 私たちは生活の中で、常に科学的な現象を体験しています。そして「熱々の料理も食卓に置きっぱなしにすれば、そのうち冷める(でも凍ったりはしない)」とか「暑い時の方が洗濯物が乾きやすい」とか、「秋になると木の葉がたくさん落ちる」とか、「表面がツルツルしていると簡単に滑るけれど、ザラザラしているとなかなか滑らない(でも置き場所の傾斜が大きくなると滑り落ちる)」といったことを、何となく「そういうもの」と覚えているものです。ですが、こういった現象をどのくらい「当たり前のこと」として認識しているかというのは、個人差があります。子どもによっては「濡れたおしぼりで手を拭くと、ひんやりとするでしょ?」とか「冬になると早く日が暮れるでしょ?」とか言われても「そんなこと意識したことない」という子もいるわけです。

 理科の参考書や教科書では、日常生活の中での科学的な現象が、何かと例として出されます。大抵はその場で「冬より夏のほうが、明るい時間が長くなります」というように説明はされるのですが、やはりこれまでの日常生活の中でそれを実感した経験があると前提として書かれていることが少なくありません。理科の教科書等を読み取る際には、実体験から得た予備知識がないと厳しい部分があるのです。

 

 ですから、こうしたタイプの子どもの場合は「教科書を読んで学習を進める」というよりも、「身近な科学的事象に興味を持つ」ことや「理科に関する予備知識を蓄える」ことを目標にした方が良いでしょう。

 

 

◎興味を育てる

 

 まず、身近な科学的事象に興味を持つようにするためにどんなことができるか、ということですが、漠然と「興味を持ちましょう」と子どもに声をかけたところで、言われた側はどう興味を持てば良いのかわからないでしょう。日ごろから具体的に「どっちの方が軽く感じるかな、持ちやすそうかな」とか「ラップでふたをしないでいたら乾いちゃったね」というように周囲の大人が声をかけるというのは有効ではありますが、今回のテーマはあくまでも「自習」です。大人の声掛け以外の方法を考えてみましょう。

 教材としては理科ではなく国語のくくりで販売されていますが、科学を題材にした読解問題のドリルがあるので、そういったものから取り組んでみると「科学的な視点」への気づきにつながります。

 

例えば学研の「おはなしドリル」シリーズの「科学のおはなし」。

 

こちらは、小学2年生向けとなっていますが、1年生と3年生のものもあります。

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 高学年向けに「科学事件ファイル」というシリーズもありますが、これまで科学自体への関心が薄かったのなら、読解自体は自分の学年よりも簡単なものから始めるのがお勧めです。これらのシリーズも「元から科学的な事象に関心を持っている」ことが前提となっている内容が多いのですが、「国語の読解問題」として明確に答えがありますから、読解問題として無理のない難易度のものであれば「そういう視点があるのか」と感じながら学習できるでしょう。

 

 

◎予備知識を蓄える

 

 こうした読解問題でも「いまいちピンとこない」場合については、まずは「予備知識を蓄える」ことを考えてみましょう。理科の教科書にしろ科学を題材にした文章にしろ、知識があることで読み取りやすくなりますし、科学的な知識を学ぶ過程で科学的な視点を身につけることも期待できます。

 ただ、残念ながら小中学生向けの学習ドリルでこうした題材をメインに扱ったものはなかなかありません。(理科的知識を扱った本なら多数あるのですが、自習となるとドリル形式のものが良いでしょう。)ドリルを探すとなると考えられるのは、「大人の常識クイズ」のようなジャンルの問題集から該当する問題を解いていくか、「小学校入試用のお受験ドリル」を利用するかということになってくるのではないでしょうか。

 学年や本人の性格にもよりますが、個人的な感覚としては、理科が極端に苦手な場合は、一度お受験ドリルをやってみる方をお勧めしたいと思っています。

 お受験ドリルは学習の分野が細かく分類されていて「理科(的)常識」や「季節(感)」などのピンポイントなタイトルのドリルも多数販売されています。これにより理科の予備知識を学習できますし、その「理科常識」の中でも特にどの部分の関心が薄かったかなどに気づくこともできるでしょう。

 ドリルの学年を意識すると抵抗のある子もいるかと思いますが、問題によっては大人も即答はできないような問題もありますから「ちょっとクイズをやってみよう」「脳トレをやってみよう」くらいの感覚で気軽に取り組んでみるのはいかがでしょうか。

 

 

◎読解力に不安を感じる場合

 

 さて、ここまでは「読解力はある程度あるけれど、理科が苦手な場合」の学習について書いてきました。では読解力に不安がある場合には何がお勧めかということなのですが、学習内容についてはあまり変わりません。目的は変わってくる部分もありますが。

 

 今回「理科の自習をするなら読解力が重要」と書きましたが、仮に今後学校が再開したとしても、理科の学習において読解力はやはり重要です。ですから、読解力に不安があるのならば、「理科の教科書の内容」を無理に進めるよりも「とにかく読解力をつける」学習をする方が「理科の学習」の為にも有意義だと考えられます。この場合は「科学関連を扱った読解ドリル」にこだわる必要はありません。テーマはどんなものでも、ちょうど良い難易度の読解ドリルを選ぶのが良いでしょう。

 また、知識があれば読み取る力を補うこともできますから、理科的な予備知識を身につけることに重点をおくのも1つの方法です。先ほど話題に出た「理科(的)常識」や「季節(感)」のドリルは、読解が苦手な子でも比較的取り組みやすい問題が多くなっています。

 

 

◎まとめると

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・理科の学習を自力で進めるには、ある程度の読解力が必要です。読解力に応じて参考書やドリルを選ぶと良いでしょう。

 

・読解力はあるはずなのに理科の学習がなかなか進まないという場合は、まずは理科に関する興味を育てたり予備知識を蓄えたりすることを考えてみましょう。

 

・自習に限らず、学校再開後の学習でも読解力や予備知識は重要です。仮に読解力に不安があるのであれば、理科の教科書通りの学習にこだわらず、読解力の教科や理科常識等を身につけることを目標にするのもお勧めです。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。