ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「丸写し」でも人それぞれ~休校中の自習(全科編②)~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 今回も前回に引き続き「学んだことをノートにまとめる技術」をテーマに考えていきます。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 そろそろ休校期間の終わる学校が増えてきそうな様子ですが、前回も触れた通り「自力で学べる力」は「休校中の自習」に限らず一生重要になるものですので、このまま全科編を続けていく予定です。

 

◎ノートのとり方に「絶対」はないけれど

 

 この全科編では次回以降に「ノートの取り方」の具体例をいくつか紹介するつもりですが、「この取り方をすれば勉強ができるようになる」という絶対的な「ノートのとり方」はありません。

 書籍でもインターネット上でも、場合によってはテレビ番組などでも「勉強のできる子のノートの取り方はこれ!」とか、「こんな取り方はNG!」といった情報が見かけられます。確かに「この書き方は99%の学習場面においてお勧めできない」という書き方はありますが、「こういう書き方をすれば99%成績が上がる」という方法は存在しないといって良いでしょう。

 

 子ども自身の年齢や性格、実際に学習する科目やその内容、学習形態などによって、ノートの取り方には向き不向きがあります。「どんな状況でもこのノートの書き方が最強!」ということはないわけです。

 

 今回のシリーズで注目したいのは、「どういう意図でその書き方をしているか」ということです。

「向き不向きがある」ということは、「それぞれのノートの使い方にメリット・デメリットがある」ということですし、「それぞれのやり方と相性の良い子どもの状況(学習しようとしている内容や、その関連内容に関する理解の度合い、性格、行動パターンや学習形式など)がある」ということになります。だとすると、それらの要素についてしっかり理解できている子は、適切なノートの使い方を選択できるといえますね。その理解こそが「自力で学べる力」のもとになるでしょう。

 反対に、「現在子どもがどのくらい適切にノートが使えているか」を振り返ることで、その子の現時点での「自分で学ぶ力」を推測でき、必要なフォローをしやすくなるということです。また、特定のノートの使用法を意識して実践することが、その使用法をいかすために必要な能力を身につけることにつながる場合もあります。

 ですから「ノートを使う技能」を題材にしながら「学ぶ力をどう身につけていくか」を考えていこうというのが、今回の「全科編」というわけです。

 

 まず今回はシンプルな例として「板書や参考書の内容をノートに丸写しする」というケースを考えてみましょう。

 

 

◎「丸写し」の様子で見えること

 

 仕事の関係で、子どもが黒板等を写したノートを見る機会があるのですが、そのノートをみるとその子がその内容についてどのくらい理解しているか、その科目が得意かどうかといったことが、だいたいわかります。

 

 一般的に使われているノートと黒板では、形が少し違いますよね。そのため「内容を丸写し」するものの、レイアウトは自分で変えていかなくてはならなくなります。黒板では図の横にその図の説明が書かれていたけれど、ノートでは図の下に説明を書くとか、その説明文の改行箇所を変えるとか。参考書にしろレイアウトまでそのまま丸写しということはありませんから、やはり自分で変えていかなくてはなりません。

 

 内容を理解していれば、多少の表現形式が変わっても中身の情報は忠実に写すことができているはずです。ですが、理解しないまま「とにかく丸写し」をしていると、図中の矢印まで改行して別のところを指し示してしまっていたり、文章の内容がおかしくなってしまったりします。本人はなるべく忠実に写しているつもりでも、自分が書いたものを読み返して間違いに気づけないので、いろいろな写し間違いをしてしまうのですね。内容を理解できていても写し間違いはありますが、やはり間違え方に違いが生じます。

 

 また、その日の丸写しした内容があまり良く理解できていなくても、勉強自体やその教科が得意な場合、前後の文脈といいますか、話の流れをつかむことはできていることが多いのです。そのため、「内容は理解しきれなかったけれど、今回の要点はここなんだろう」というポイントが見やすいように写していたりします。

 

 黒板等を子どもが「丸写し」したノートを見るだけでも「子どもがどのくらいその内容を理解しているか」「その内容を理解するための素養がどのくらいあるか」などを把握することができます。昨年子どもが書いたノート等を見返してみてください。今その子に必要なフォローが何かを発見できるかもしれません。

 

 ところで、そもそも「見たものを書き写す」 という行為自体が極端に苦手な子どもがいます。独特のものの見え方をしている子であったり、手先を器用に使うことが難しく字を書くこと自体が苦痛な子であったり。その場合「練習して書き写すこと自体の技能を身につける」ということも重要な課題になりますが、その練習がそうしたタイプ子どもにとっては大きな苦痛を伴う場合が多いというのも確かです。書き写すことに手一杯で、学習内容がなかなか頭に入っていかないでしょう。書き写す練習をしていくにしても、日常の学習活動自体はワークシート形式の課題を選ぶなどして、「書き写す」という作業をあまりしなくても学べるようにすることをお勧めします。

  

 

◎全科編③に続きます。 

 

 ③に続きます。(※来週火曜日に更新予定です。)

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

f:id:kikyouken:20200423193619p:plain