ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

学習内容を噛み砕く~休校中の自習(全科編④)~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 今回は、前回書いた「ノートの使い方一例」の記事の続きです。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 紹介したノートの使用例は、一言でまとめると

 

「標準は黒、加筆が赤、要点に青、緑で保留」

 

というものでした。

 

 前回記事内で書いている通り、この使い方が「とにかくお勧めの良い使い方」ということではなく、この使い方を試してみることで、その子の現状が見えてきたり「自力で学ぶ」練習につながったりするので、「一度試してみることをお勧めしたい方法」です。

 

 今回はその「見えてくるもの」や「練習できること」について考えていきます。

 

◎「学習内容」の文脈

 

 この使用法を説明して子どもに実践させた場合、どのようなノートが出来上がるでしょうか。どの程度、この使用法の利点をいかせるでしょうか。

 

 それぞれの子どもがこの使用法を有効に使いこなせるかどうかの一番大きなポイントは、「青の使い時を判断できるか」という点だと思います。

 

 青は学習内容の「要点」となる部分に使う色でした。数学であれば公式や定理など、英語なら基本の構文等が考えられます。

 つまり、青を使いこなすには、まず学習内容のどこが要点なのか、どこが話の流れの一番根幹となる部分なのかを判断する力が必要だということなのです。学年が低いうちは特にそうですが、この「要点の部分に青を使う」という説明を聞いても使い時が判断できない子どもは実は少なくありません。

 

 これは、個々の授業内容が理解できていないというよりも、話の文脈をつかむ力が不足していると考えられます。

 例えば、数学の公式を習った時「なんだかよくわからない」と感じても、文脈がつかめていれば「ここが要点だろう」という判断はつけられます。後で復習をするときに「まずここを理解するところから始めないと」と考えることもできるわけです。反対に、授業中には先生に倣って計算問題が解けたとしても、「今日はどんな計算方法を学んだか」という部分を理解していないで漠然と問題演習しているだけだと、次の日別の計算方法を学習した時点でその情報と混同して使いこなせなくなってしまうこともあります。

 

 この「ノート使用法」を試してみることで、子どもが授業等の学習の中で「今何をやっているのか」という文脈をどのくらい判断できているか、また判断しようと意識できているかということが見えてきます。

 仮にその要点を把握する力がまだ不十分だと感じた場合は、「今日は〇〇について勉強する(した)んだね」「この部分を青で囲んでおくと良いね」とこまめに声をかけるなどして、要点をおさえられるようにすると良いでしょう。それを繰り返しつつ本人にも青色の使いどころを考えてもらうことで、自分で文脈をつかむ練習になります。

 

 

◎「学習活動」の文脈

 

 では、赤色や緑色の使いどころはどうなのでしょうか。

 

 赤色に関しては「先生が板書で赤や黄色で書いたところに使う」「参考書の赤字の部分を写す時に使う」「練習問題を解いたときに、間違えた部分を直すのに使う」と考えると「使いどころが全くわからない」ということはそうそうないでしょう。

 ただ、そこからプラスアルファで自分なりに使いこなせるかどうかには個人差があります。先生の板書や参考書の中の赤い部分は「一般的に強調しておくべきと思われる部分」だといえます。それに対して、個々で「ここは赤にしておこう」とか「赤でこれを書き足しておこう」と判断するというのは「他人のことはさておき、自分にとってはここが重要」とか「自分はここで間違えやすそう」「ここは忘れそうだから、あとで思い出せるように書いておこう」といった思考をしているということです。つまり「授業内容に対して、自分が今後どういう点を忘れそうか」「後で何を見返したくなるか」ということを考えているのですね。単純に「授業の内容」の大筋をつかむということではなく、「今ノートを書いている時間が、自分の学習活動全体の中でどういう位置づけなのか」ということを意識できているということです。「授業を聞いたら聞きっぱなし」とならないためにも、この意識は重要です。

 

 赤色の使いどころに関して、単純に先生の板書や参考書の赤色に倣っているだけの子どもの場合、そうして「学習の流れ」を考える意識が不足していることが考えられます。

 その場合はまず「このパターンの問題でよく間違えるから、後で練習できるよう赤で印をつけておいたら?」「この言葉は忘れそうだから、赤で書いておこう」といったように、何のために赤で書くのかの理由を添えながら小まめに「これを赤で書いておこう」と提案してみると良いでしょう。最初は「〇〇と赤で書いておこう」といった声かけから、次第に「さっき書いたノートに、何か赤で書き足すとしたら何だろう」というように子ども自身に考えることを促す声かけに変えていくのがお勧めです。

 とはいえ、「ミスしそうなところ」「忘れそうなところ」等を自分で予想するとなると、それはなかなか難しいですよね、その場合はまず「緑で何か書く」練習をしてみましょう。緑は疑問点等ですから、内容は何でも構いません。ただ「後で見返す」ということを意識する練習になります。まずは「今この瞬間やっている学習活動が、今後とどう結びつくのか」という流れを意識することから始めようというわけです。

 

 

◎全科編⑤に続きます

 

 今回は「色の使いどころを判断できるか」「判断できるようになるための練習は」という視点から、前回紹介したノート使用例について考えました。

 次回は同じノート使用例で、筆記用具の種類について考えます。前回「4本」ではなく「4色」の筆記用具を使うと書きました。同じ色でも、鉛筆やボールペン、マーカーペンなどいろいろありますね。それぞれに特徴やメリットデメリットがありますから、子どもとの相性も様々です。どういう筆記用具がどういう場面に向いているのかが主なテーマです。

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 全科編⑤は来週火曜日更新予定です。

 

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