ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「ノートの落とし穴」もいろいろ~休校中の自習(全科編⑦)

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 当ブログでは、ここ最近「休校中の自習」をテーマに複数の記事を書いてきました。

 緊急事態宣言も解除され、学校も段階的に再開しているところですが、以前にも書いた通り「自力で学べる力」は休校中に限らず必要なスキルなので、このままきりの良いところまで記事を続けようと思います。

 

※前回の関連記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 全科編では、「自力で学ぶ」スキルについて考える材料の一つとして、ノートの使い方について考えています。前回・前々回ではノートに何か書き込む際によく使われる筆記用具6種類について、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。では、どの筆記用具がノート記入に向いているのか、それはそれぞれの子どもによって異なります。子どもの性格や考え方・生活スタイルや行動パターンもそれぞれですから。

 子どもひとりひとりについて考えることはここではできませんから、いくつかのタイプにわけて考えていきましょう。

「ノートを使う」ことを上手く実践しようと意識した時、陥りやすい落とし穴がいくつかあります。これはノートに限らず学習全般にもいえることですが、「自分でやり方を決めて学習する」ということにまだ慣れていない子ども達によくみられるものです。

 

 今回と次回の2回に分けて、その「落とし穴」を紹介します。

 

①「効率」の落とし穴

 

 子ども達が学習活動に割く時間は、年間かなりのものになります。「勉強を頑張ろう」と意欲に燃えている時であれば、なおさら「これから大量の時間を勉強に割くことになる」と考えているでしょう。そうなるとやはり「効率良く学習したい」と思うのは自然ですし、大切なことです。

 でも、何かをする時に、最初から「全く無駄なく効率良くできる」人間などいないですよね。あれこれ試行錯誤する中で、自分なりの効率の良い方法を確立していくはずです。もちろん他者のやり方を参考にすることもあると思いますが、最終的には自分に合ったやり方を考えないことには、本当に良い方法にはならないでしょう。

 ところが、子どもはなかなかそれを実感できず「今すぐ最高の効率でやりたい」と考えてしまいがちです。そうすると何が起こるでしょうか。他の人のやり方を真似するのは悪いことではありませんが、真似するために道具を揃えたり環境を整えたりという「準備作業」にエネルギーや時間を注いでしまうということが少なくありません。「効率の良い方法」を紹介しているひとは既にいろいろな学習活動の経験を積んでいる場合がほとんどですから、そうした人が使いこなせる方法が学習に不慣れな子に合っていることは稀だといえます。ですから、たいていの場合結局「この方法は自分に合っていない」という結論に至り、別の方法の「準備」を始めることになるのです。これでは「準備」ばかりで本来の学習がなかなか進みませんね。

 また、反対のケースもあります。人からアドバイス等を聞いたり、周囲の子が学習しているのを見たりしても、効率にこだわり過ぎている場合「もっと良い方法がありそう」と考えて行動を起こさないのです。もし多少効率が悪くても少しずつ進めていれば何かを達成できるかもしれませんが、何もしなければ何も進みません。それに、そもそも先ほど書いたように、まずやってみて試行錯誤しないと「効率の良い方法」を確立することは難しいので、「最初から最高の効率でやりたい、効率の良い方法に出会うまでは何もしない」というスタンスでいる限り、いつまでも学習に取りかかれない可能性もあります。

 

 

②「もったいない」の落とし穴

 

 ①もある意味「時間がもったいない」という考えによる落とし穴ですが、こちらは「物がもったいない」という考えから陥る落とし穴です。

 物を大切にすることは、もちろん大切なことです。でもノートのような道具に関しては「無駄を出さないように」ということにこだわるあまり、その道具の良さをいかせなくなる場合もあります。その結果、その道具を役立てる機会を失ってしまったら、そちらの方が勿体ないですね。

 少し抽象的な話になってしまったので、ノートでの具体的な例について考えてみましょう。

 例えば、「空白をつくるともったいない」と考えて、ギュウギュウに書き込もうとしてしまうケースです。後で非常に見づらくなって見返すことがなくなり「書きっぱなし」で終わってしまえば、そのノート自体も書くのに使った時間や筆記用具も無駄になってしまいます。さらに「ノートのスペースを最大限に使う」というこだわりが強い子の場合、狭いスペースに上手く収めるためだけに、一度書いた文字を消して書き直す手間をかけてしまう場合もあります。こうなると消しゴムや鉛筆がもったいないのですが、何かの無駄遣いを抑えるために他のものを消費してしまうという失敗は意外と少なくありません。

 また、「このペンは使いづらい(書きづらい・見づらい)」と感じても、一度使いだしたペンはインクが無くなるまで使い切ることにこだわって使い続けてしまう場合もあります。最後まで無駄なく使い切ることは素晴らしいことですが、そうやって無理に使うことにエネルギーを注いでしまうと学習の質としては下がってしまい、結果的に「もったいない使い方をした」ことになってしまうのです。

 

 ノートにしろ筆記用具にしろ学習するために使っていはずなのに、「無駄なく使う」ことにこだわり過ぎて、本来の目的である学習自体が上手く進まなくなってしまうという落とし穴にはまっている子どもを時々見かけます。

 

 

 ◎全科編⑧に続きます

 

 今回はノートを使ううえで陥りやすい「落とし穴」を2つあげましたが、この他にも頻繁に見られるものがいくつかあります。次回は残りの落とし穴を紹介します。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

f:id:kikyouken:20200423193619p:plain