ひらがな学習のための小ネタ集⑪~ピカピカの一年生の教養67~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。
現在当ブログでは毎週金曜日に、ひらがなを書く練習をする時に覚えておくと役に立つ、ちょっとしたコツの紹介をしています。今回はその11回目です。
※前回の記事はこちら↓
前回はひらがなを書く作業の中でも少し難しい部分として「自分が一度書いた線をなぞる」というポイントについて話ました。「え」や「ん」などの折り返しの部分といえばイメージしやすいでしょうか。
ひらがなを書くことにすっかり慣れている大人にとってはなんということもないのですが、まだ文字を書きなれていない子どもにとっては難しく感じることのある部分です。そのようなポイントは前回扱った部分の他にもいろいろとあります。
今回は前回に引き続き、その中の1つを紹介します。
◎「交差」よりも難しい?
ところで、「ひらがなの中で難しそうな字」といえば何を思い浮かべますか。
「あ」や「ぬ」「れ」「る」あたりを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「自分が苦戦した記憶がある」とか「最近子どもが苦戦していた」というように、実際の経験に基づいて「あの字は難しい」と認識している字もあるかもしれません。私自身のひらがな覚えたての頃の経験としては「そ」や「や」を覚えづらいと感じていた記憶があるのですが、子どもに説明する立場として教えづらさを感じたのは「れ」「わ」「ね」でした。
覚えるのが難しい「複雑な字形のひらがな」として一般的によくあげられる要素は「交差」です。「や」の1画目と3画目のように2本の線が交差している場合もあれば、「よ」の2画目のように1本の線が輪を作って交差する場合もありますね。「あ」や「ぬ」はその要素をたくさん含んでいる字です。
「交差のある字」の他に、「何度も折れ曲がる字」が難しいという話もよく聞きます。画数は1画であるものの、「る」に苦戦する子は少なくありません。「そ」が覚えづらかったという私自身の記憶もその例に入るでしょう。(私の個人的な経験として「や」や「そ」が苦手だったのには他の原因もあったと感じていますが、今回はその点は省きます。)
そして「れ」「わ」「ね」などの字は「交差」と「折れ曲がり」の両方の要素を含んでいるといえます。
「交差」と「折れ曲がり」の2点が、複雑なひらがなの要素となっていることは間違いありません。それに比べるとあまり語られないのですが、意外と難しい要素として「接する」というものがあります。文字の線が「接する」位置関係には大きく分けて2つのパターンがあり、一方はそれほど難しくないため忘れられがちなのかもしれません。でももう一方のパターンは「交差」以上に苦戦する子も少なくないため、その要素を含む字を練習する際には注意が必要なのです。
◎「接する」パターン2種
2種類のパターン分けについては漢字の「人」と「入」の例がわかりやすいかと思いますので、少しひらがなから離れて漢字の例で考えてみましょう。
「人」と「入」はどちらも1画目と2画目が接している字ですが、「人」に比べると「入」の字は書きづらい形になっています。
私たちは「人」の字を書く際、まずカタカナの「ノ」のような形を書きますね。
そしてその線の真ん中あたり、
↑の図の赤い点のあたりに筆(鉛筆)をおき、右下へとはらいます。
↑の赤い2点が始点と終点になりますね。
2画目の始点が1画目の線の上にあるのが大きなポイントです。
それに対して「入る」の字はどうでしょうか。
まずはマスの左下あたりに「ノ」のような形を書きます。
そして2画目の始点は1画目の線と離れたところになりますね。左上から書き始めて
1画目の始点を通って右下に払います。始点と終点の他に、途中で必ず通らなければならないポイントができるわけです。意識しなければならない要素が増えました。見た目の複雑さではさほど変わらない「人」の字と比べて、「入」の字の方が書きづらくなっています。
「交差」の場合は、多少ずれても交わっていることに変わりないため問題ないのですが、「接する」場合はピンポイントに通過しなければいけない場所ができてしまうのですね。
◎簡単そうに見えて難しい字
ひらがなでこの要素を含むのは「と」や「よ」などです。
特に、見た目の印象よりも書きづらいひらがなの代表的なものは「と」になるでしょう。2画目のことを考えずに1画目を書いてしまうと、2画目で1画目の終点を通ることが困難になるのです。「よ」は先ほど紹介した「交差」の要素を含みますが、「と」は見た目にはかなりシンプルな形です。その割にいざ書くとなると難しいことがあるので「と」の練習の際にはその点に留意しながら子どもの様子を見ておくことが必要だと言えるでしょう。
◎まとめると
・難しいひらがなのポイントとして「交差」「折れ曲がり」以外に「接する」というものがあります。
・「接する」場合、見た目の形のシンプルさの割に書きづらい場合があるため、練習の際には子どもが苦戦していないか様子を見てみると良いでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。