ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

日常会話のタイプ別「感想の膨らませ方」(中編)~今日から始める読書感想文⑤~

 こんにちは、ベル子です。
 
 今回は「今日から始める読書感想文」シリーズの第5回目です。

 

 前回から、読書感想文の3つの要素「読書をする」「自分の感想を持つ」「文にまとめる」のうちの2つ目、「自分の感想を持つ」の話題に入りました。

「日常生活で見聞きしたものについて、どうやって感想を広げていくか」子どものタイプ別に対策を書いています。

 

(※前回の記事はこちら↓)

kikyouken.hatenablog.com


 前編の「タイプ1」に続き、今回は「タイプ2」「タイプ3」として、2つのタイプについてご紹介します。

 

 ただ、今回とりあげる2種類のタイプは、いずれも「読解」「作文」など別の対策の方が重要だと考えられます。

 それでも今回の記事では、その点については簡単に触れるだけにして、あくまでも「感想の膨らませ方」に重点をおいて考えていきたいと思います。

 

◎タイプ2「あまり親しくない相手だと、口数が減る子」

 好きな漫画やドラマなどについて、家族や親しい友達とならば自分からたくさん話せるけれど、あまり親しくない人から「どうだった?」と聞かれると「はあ、うーん…」と答えられなくなってしまう子を、時々見かけます。

 

 質問してきた相手がどんな性格で、どんなことを知っていて、どんなことを言われると喜ぶのか、そういった情報が自分の中にある程度蓄積されていると、何かと答えやすいですよね。

 

 逆に「何のために感想を聞きたいのか」「どんなことを言われたら不快に感じる人なのか」などがわからないと、話しづらくなります。その話しづらさを他の子より強く感じている子が、このタイプに多いと言えるのではないでしょうか。

 

 普段の授業の作文であれば、「先生が読む」ことを想定して書くこともできますが、「読書感想文」は読み手の顔を思い浮かべにくい課題です。そのため、このタイプの子にとって読書感想文を書くというのはかなり難しいことだと思います。
 
 でも、それは「文」として書き起こしづらいということで、感想を膨らませることができないということではないでしょう。

 

「どんな相手を想定して文を書くか」というのは作文の段階で考えれば大丈夫なので、とりあえず「自分の感想を持つ」段階ではその子が話し易い相手といろいろ話すことで、自由に膨らましていけば問題ありません。

 

 ただ、もし可能であれば、親しい相手にメールで感想を送るなど「顔の見えない相手に文字媒体で伝える」という経験を積んでおくと「作文」の段階でも文を書きやすくなるでしょう。

 子どもの様子を見て、できそうならばそうした経験を積む機会をつくっておくのもお勧めです。

 

◎タイプ3「作品の本質から離れた感想が多い子」

 映画を見た後の感想が、「○○君格好良かった」とか「後ろに座った観客がうるさくて、セリフが聞き取りづらかった」など、作品自体との関係が薄い表面的なものになってしまうタイプです。

 

 読書感想文で考えると「表紙のネコがかわいかった」とか「破れているページがあって嫌だった」といった感想しか浮かんでこないわけですから「書くことがない」と感じるかもしれません。

 

 もちろん、映画というジャンルにおいて俳優の見た目というのは作品の重要な要素ですし、本の装丁にも大きな役割があると言えます。

 「格好良い○○君」や「表紙のネコ」については、話の本筋と絡めてしっかり掘り下げれば立派な感想文になるでしょう。

 

 ただ、それはむしろ他の感想の書き方より難しいのではないかと思います。

 

 感想が表面的になってしまう一番の原因は、やはり作品の本質が読み取れていないということでしょう。

 柱となるストーリーが読み取れるようになれば、自然とその柱に応じた感想を話すことができるようになると思います。必要なのは読解力を身につけることなのですね。

 

 ただ別の見方をすると、このタイプの子は、作品の世界に入り込んであれこれ思いを巡らせるよりも、自分自身が経験したことに対して何かを考える方がはるかに語り易いのだろうと考えられます。

 

 感想文の書き方としては、その点を上手く利用するのも一つの方法だと思います。

 

 読書感想文では、よく「自分の経験と絡めて書いた方が良い」と言われます。

 実際、読んだ本の感想と言うよりも、テーマに関わる自分の経験が文の大半をしめているような感想文を見かける時もあります。

「自分語り」と「感想文」の境界線については、いろいろな意見があると思いますが、ここではその点については触れないでおきます。

 

 いずれにせよ、日ごろから印象に残った体験を書きためておいて、それに関連する本を探して読めば、感想も書きやすいのではないでしょうか。

 

 書きため方はもちろんいろいろありますが、家族や親しい友達との間で「良いニュース」と「悪いニュース」を一つずつ発表するという機会を、定期的に設けるというのも方法の一つです。

 

 毎日でも、週に一回でも、グループのメンバーでローテーションを決めて順番に発表するのでもかまいません。

 

「賞をとった」「けがをした」などの大きいものだけでなく、「面白いテレビ番組をみつけた」「こんなことを言われて腹が立った」といった、ささやかなものでも良いと思います。

 

 慣れてきたら、出来事をあげるだけではなく、「その出来事についてどう思ったのか」「その出来事のどういうところが自分にとって良い(悪い)ニュースなのか」も書くようにしましょう。

 

 今回は中編として、2種類のタイプについて対策を紹介させていただきました。

 後半ではまた、別のタイプについて考えていきたいと思います。

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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★シリーズ次回記事はこちら↓★

kikyouken.hatenablog.com