ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「こっちを見て」が話を聞くスイッチ~ピカピカの一年生の教養⑰~

 

 こんにちは、ベル子です。


 この「ピカピカの一年生の教養」では、小学一年生の生活にどんな知識や技能が必要なのかをあれこれ考えてきましたが、今回は少し趣向を変えて「子どもへの声のかけ方」について覚えておくと便利なコツを紹介します。

 

 コツと言っても、もったいぶるような大したものではないので先に結論からお話ししてしまうと、「大事なことは、『子どもと面と向かった状態』をつくってから話す」というだけです。

 

 以下で、もう少し詳しく話します。

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◎「何かあってから話す」は避けられない


 このシリーズの最初にも書きましたが、一年生になる前にいろいろ身につけておくことは良いことですが、「絶対これができないといけない」というものはそうそうありません。

 

 逆に、事前にしっかり準備をしていても、思わぬところで困りごとが発生することもあります。

 

 そのため、身の安全にかかわるようなことでない限り、困りごとを起こさないようにすることを考えるより早期に発見して対応する方が現実的なのです。

 

 小学校に入ってから、子どもたちは困りごとを通して学んでいけば良いし、大人たちはその様子を見て気になった時に対応すれば良いということですね。

 

◎いざ話す時に聞いてくれない

 

 いろいろな回で書いてきた通り、大人が想定した通りに子どもが動かないことはたくさんあります。

 子どもに何か指示しても、その通りに動かない時もあります。

 

 大人からすると「意味はわかっているはず」という考えで話しているので「大人の言った通りに子どもが動かない」=「大人の言うことを軽んじている」と思ってしまいがちです。

 

 でも実際には、「大人の言っていることの意味が分かっていないからできないだけで悪気はない」ということが意外と多いのだなと感じます。反抗しているわけでも、なめているわけでもないと。

 

 そういうときは叱責する必要はなく、必要な知識や技術を子どもに教えれば良いわけですね。その「必要な知識や技術」が具体的に何なのかを、シリーズを通して色々考えてきました。

 

 

 でも、すでに困りごとが発生している時の子どもは、何か教えようとしても話が頭に入っていかないことが多いんですよね。

 

 たとえば、粘土で何か作ろうとしているけれど、うまく作れない子がいたとしましょう。

 

 それを見ていた大人が「ああ、粘土ベラの使い方がわからないのか」と気づきます。

 

 そこで大人が「それは、こう使うんだよ」と口をはさんでも、使い方はなかなか改善されません。

 

 その時の子どもは、目の前の粘土と格闘することに手一杯で、人の話を聞くのは二の次だったりします。

 

 また、兄弟やクラスメートなど、他の子どもの声がBGMのように聞こえている環境だと、大人が必要だと思ってかけた言葉も周囲の声と混ざってBGMのように聞き流してしまいがちです。

 

◎「こっちを見て」でスイッチオン

 

 そういった時は、以下の手順で話をすると、話が入りやすくなります。

 (細かい言葉遣いは、その子との関係性で変えてください。)

 

  ①「いったん、作るのをやめて、道具を置きましょう」

  ②「私(ママ、パパ、先生など)の方を見てください」

  ③「手はおろしましょう(手はおひざ)」

  ④「粘土ベラの使い方を説明します。そのままの姿勢で聞いてください」

  ⑤「(話がわかったかを確認できたら)じゃあ、やってみましょう」

  

  ※わかったつもりでもわかっていないことも結構あるので、やらせてみて

  理解が不十分なら①に戻って補足の話をします。


 この方法は、いったん作業を止めさせることで他の話を聞きやすくなるというだけではなく、「こっちを見て」ということで子どもに「何を話すんだろう」と意識を向けさせることができ、子どもは話に集中しやすくなります。

 

「他のことを何もしないで、面と向かった状態になる」ということで、子どもの頭の中が「作品を作る」モードから「この人の話を聞く」モードにスイッチが切り替わるのです。
 
 忙しいとお互いにどうしても「ながら」で話をしてしまいがちですが、結局頭に入らず何度も話をするくらいなら、一回しっかり時間をとって話してしまった方が早くすむのではないでしょうか。
 

 

◎聞き流せないよう、考えさせる


 これは、いわゆる「お説教」をする時にも効果があります。

 

 例えば、子どもがハイテンションで騒いでいる時に、横や背後から「うるさい!」と怒鳴っても、これもまたBGMのように聞き流されてしまうことがあります。

 

 そのような時は、まず子どもの視界に入って「ちょっと話がある」旨を伝えます。

「静かにしろ」と注意するのではなく、静かにしてから注意するわけです。

 

 

 ただし、子どもがハイテンションで遊んでいるときには、呼び止めただけだと「話を聞く」モードにスイッチしないこともあります。

 

 騒ぐことに夢中で「早く話を終わらせて、早く遊びに戻りたい!」という様子の子を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

 

 そんな時は、「話がある」と呼び止めた後に「なんの話だと思う?」と子どもに聞くのがお勧めです。

 

 こちらから一方的に「お説教」してしまうと「ハイハイと聞いておけば、すぐ解放される」と子ども心に考えて、話の中身が入っていきません。

 

 でも、「何を注意されるのか」を自分で考えることで、「聞き流して終わり」というわけにはいかなくなるのです。

 

 また、この質問を投げかけてみると、適切な答えをすぐに言える(本当はいけないことをしているとわかっている)場合と、的外れなことを言い出す(自分の状況が全くわかっていない)場合があり、子どもの理解の度合いが分かるというメリットもあります。


◎まとめると

  ・「話があるからこっちを見て」と声をかけることで、

 子どもも話を聞く準備ができます。

 

 ・それでも準備ができていないようだったら、大人から一方的に話さずに、

 「何の話だと思う?」と子どもに答えさせるのも効果があります。

 


 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 

 

 

★シリーズ次回記事はこちら↓★

kikyouken.hatenablog.com