ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「赤いリンゴ」も大部分は白い~ピカピカの一年生の教養⑤~

    こんにちは、ベル子です。


 今日の記事は、小学一年生の生活にどんな知識や技能が必要なのかを考える、「ピカピカの一年生の教養」シリーズの第5回目です。


 前回の記事では、基本的な色の名前と、その色の呼び方には曖昧なところがあるということを覚えておくと、小学校生活で役に立つということをお話しました。

 (※前回の記事はこちら↓)

kikyouken.hatenablog.com

 

 今回は前回の記事の補足として、もう少し色の話を書きたいと思います。

 

◎何色の〇に見えますか?

 下の画像のマル、あなただったら何色のマルだと言いますか?

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 お使いの画面によって色の出方は少し異なりますが、おそらく「水色」に見えるかと思います。

 見たままの色で呼ぶなら「水色のマル」ですが、前回の記事でお話した通り、青系統の色ということで「青いマル」と呼ぶ人もいるでしょう。

 

 でも、この画像を見て「白いマル」だという子どももいます。

 

 その子にとって「水色のマル」というのは、下の画像のような図です。

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 真ん中の部分が何色で塗りつぶされているかで、色を判断しているのですね。

 

 一枚目の「水色のマル」のような図を見た時、たいていの人はマルを輪っか状のものとして考えます。しかし、お盆やお皿のような形をマルだと呼ぶこともあります。

 

 私たちは日頃、状況に応じて輪っか型とお皿型の二種類のマルを使い分けているのですが、小学一年生くらいの子どもの場合、その切り替えがまだうまくいかない時があるのです。

 

「お皿型」のマルしか想定していない子が一枚目の図を見た場合、外側の輪っかの水色部分はただの縁取りでしかなく、内側の白こそがマルの色だと判断します。

 

 そのような状態の子どもに「水色のマルが書かれているところを読んでね」と言っても、「どこにも水色のマルなんてないよ」と戸惑うことになります。

 

 その場合は、直接指でさし示したり別のものを目印にして説明をすることで、大人の意図することを伝えることができます。「外側が水色だから『水色のマル』なんだよ」と教えることも大切ですが、その場で根本的な見方を修正するのは難しいので「この子はそういうふうに見えるんだ」と覚えたうえで、気長に見守っていくことをお勧めします。
 
 子どもが大人の指示に従わない時に「どうして聞いてないの!」「どうしてやらないの!」と怒らず、「もしかして意図が伝わってないのかも」と考えることで大人の余計なイライラを軽減することができるでしょう。


◎「リンゴは赤い」と言うけれど

 似たようなことは、果物などの色でも起こります。

 

 例えばリンゴは赤い果物として知られていますが、実際に食べる箇所は白かまたは薄い黄色といった色合いです。バナナも黄色い果物だと言われていますが、実際に食べる部分で考えれば白っぽい果物だと言えるでしょう。

 

 スーパーで果物が売られている風景や、絵本に書かれているイラストの果物などを日常的に見ていれば「リンゴは赤いしバナナは黄色い」と認識するでしょう。でも、お弁当に入っている果物のイメージが強い子だったら「どちらも白っぽい果物」と認識しているかもしれません。

 

 本来はどちらの色も間違いではないと思うのですが、「リンゴは赤い」「バナナは黄色い」というのが小学校では常識になっています。そしてそれを前提にして、ひらがなを学習する頃に「次の言葉の中で赤いものはどれですか」というような問題が出題されることもあります。「リンゴは白い」と思っていると、答えられなくなるということです。

 

 また、ニンジンの絵はオレンジ色が使われることが多いのですが、こうした問題では「赤い野菜」として登場します。

 

 ここから言えることは、実際にリンゴやニンジンを見たという体験以外に、「一般的に何色だと言われているか」を知識として覚えておく必要があるということです。

 

 保育園や幼稚園に通っているといつのまにか身についていることが多いのですが、その機会がないまま一年生になる可能性もゼロではないので、身についているかどうか一度確かめておくと安心です。

 

◎色探しゲームをしてみましょう

 様々なものが描かれている絵本を用意して、「このページの中に赤いものがいくつあるかな」と声をかけて、子どもと一緒に探してみましょう。何度か繰り返すうちに、その子がどのように色をとらえているかが少しずつわかってくると思います。

 

 また、絵に頼らずに「赤いものを何個言えるかな」と考えさせる機会も作ってみましょう。

 

 もしもリンゴやニンジンのよううな「赤いものとしてよく使われる語句」があがらないようであれば、「リンゴやニンジンもあるね」と声をかけると良いと思います。何度か繰り返すうちに、子どものほうから「リンゴもそうだよね」と言うようになります。

 

◎まとめると

 ・ものの色を見るとき、子どもは思わぬ部分の色に着目していることがある

 

 ・そのため、子どもが大人の指示に従わない時は、「大人の意図が伝わっていないの

 かもしれない」と一度考えてみる必要がある 

 

 ・野菜や果物の色については、「一般的に何色だと言われているか」を

 知識として覚えておいた方が良い

 

 ・色探しゲームをすることで、子どもは色の知識を深めることができるし、

 大人もその子が色をどう見ているのか知ることができる


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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 シリーズ次回記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com