ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

『12/24』は「50%」~斜め・横書きの分数のすすめ~

 こんにちは。キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。


 突然ですが、下の「  」の中を見て、何を連想しますか?

 


 「12/24」

 

 12月24日といえば、世間的には「クリスマスイブ」ですね。または「冬休みに入る頃」でしょうか。


 でも、読み方によっては「24分の12」とも読めますよね。

 

 スラッシュ(/)の左側の数を分子、右側の数を分母とする表記の方法です。約分すると、ちょうど2分の1になりますから、50%ですね。

 

 日本の小中学校で勉強しているとあまりなじみのない表記の方法ですが、今日は、このスラッシュを使った分数表記にも慣れておくことのメリットを紹介したいと思います。

 

 

◎日本では縦書きのイメージがありますが

 

 大人になると生活環境によってとらえ方が変わるかもしれませんが、小・中学校で生活している子どもたちが、特に何の前置きもなく「12/24」という表記を見たら、たいていの場合日付ととらえるでしょう。分数をこのような表記で表すことはほとんど無いので。


 日本の算数・数学の教科書では、たいていの場合24分の12を


12
24


 と書きます。まっすぐな横線の上を分子、下を分母とする書き方です。


 でも、レシピや横書きの文などを見ていると、「/」を使って分母と分子を横または斜めに並べて書く表現も時々見かけます。

 
 

 縦書き表記の仕方にももちろんメリットはあるのですが、この表記だけを学習していると、「1/2」が分数を表していることに気づいても、「1分の2」なのか「2分の1なのかわからず正しい数を読み取れません。分母と分子の数が逆にしたら、全く別の数になってしまいますよね。


 自分で書く時は、それぞれが使いやすい方法で良いのかもしれませんが、少なくとも斜めや横書きの分数も読めるようになっていた方が良いというのが、まず一つ言えることです。

 


◎分数の基礎知識をおさらい

 

 「1/6」を例に考えます。

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 右にある数が分母で、「6分の1」と読みますが「1÷6」という意味で使う場合もあります。この場合は、素直に左から読めば良いのですね。

 

 この式の通り、1を6で割った数、1を6つに分けたうちの1つ分を数を表しています。ホールケーキを6人でわけた、1人分のイメージでしょうか。

 2人分の量なら「2/6」と表します。1(ホールケーキ)を6つに分けてカットケーキにしているのですから、「1/6」も「2/6」も1より小さい数ということになりますね。

 

 でもそうやって切り分けたカットケーキ「1/6」も、6つ集める(「6/6」になります)とホールケーキ1つ分の量になり、12個集めれば(「12/6」になります)ホールケーキ2つ分になります。

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 分数を習う時「1より小さい数」として習いますが、このように1以上の数を表すこともあるのですね。

 


 分数は、確率を表す時も使われます。

 

 「1/6」は「6枚のうち1枚が当たり」という場合もありますが、「サイコロを投げて1が出るかどうか」という場合のように6回やれば必ず当たるわけではない場合もあります。

 あくまでも「1回あたり(1回ごと)の平均値」を指すことも多いのです。

 

 

 ここまでは単体の分数についての読み方や意味を確認しました。

 

 小中学校ではさらに、分数と整数の計算であったり分数同士の計算方法などを習いますが、まずはシンプルに分数の読み書きのみを身につけることを目安に考えてみましょう。

 

 

◎単位を分数で考える

 

 さて、横や斜めタイプの分数を覚えるとどんなメリットがあるかということなのですが、算数・数学や理科の文章題を考える際にヒントにすることができるのです。

 

 まず、速さの公式について考えてみます。

 

 道のり=速さ×時間
 速さ=道のり÷時間
 時間=道のり÷速さ

 

 と覚えます。

 

 「み」「は」「じ」と略して覚える方法を教わった人も多いでしょう。

 

 

 でも、それを覚えなくも単位を分数で考えれば解けることがあるのです。

 

 例えば文章題で「12㎞離れた公園まで3時間かけて歩きました。この時の速さは 何 ㎞/時 ですか」という問題を解く時を考えます。

 

 この「㎞/時」を分数として考えると

 

「『時(間)』ぶんの『㎞』」=『㎞』÷『時(間)』

 

ととらえることができます。

 

 

 答えは 

12(㎞)÷3(時間)=4(㎞/時) 


 ですね。

 


 仮に問われているのが速さではなく時間だったとしても。

 

『㎞/時』=『㎞』÷『時(間)』

 

と考えることができれば、▢や文字「X」を利用して、

 

12(㎞)÷▢(時間)=4(㎞/時)

 

という式を立てることができます。

 

ここから、▢に当てはまる数を考えれば良いわけです。

 

 

 飛行機なのか人が歩いているのかなど、扱う題材によって「㎞」が「m」になったり「時」が「分」や「秒」になったりしますが、同じように当てはめて考えることができます。

 

 また、問われている速さの単位が「㎞/時」なのに文中に使われている単位が「m」だったら、それを「km」になおさないと式に当てはめられないなという判断ができます。

 

 

「時速〇km」とか「毎時〇km」なんて書き方もありますが、言っていることは同じです。
 この「毎」というのは訓読みでは「ごと」と読みますね。つまり「時間ごと(1時間あたり)」ということですから、先ほどの確率の話と同じように「km/時」と書きかえることができるのです。

 

 この「○○ごとに△」「○○あたり△」という表現を「△/○○」「△÷○○」という表現に置きかえることに慣れた上で、分数同士の計算と文字式を覚えると、小中学校での文章題を解く際にかなり楽になるのですが、これはいずれまた機会があった時に紹介させていただきたいと思います。

 

 以前「分数ができない大学生」という本が話題になったことがありましたが、分数の計算については、覚えるだけでなく使いこなすとなるとなかなか難しいようです。

 使いこなせれば文章題を解くのが楽になるといっても、そこに至るまでの道のりも子どもにとってかなり険しいので、


今回は単体の分数のみについて、

 

「△/○○」=「○○分の△」=「△÷○○」

 

を覚えるだけでも、かなりのメリットがあるということを紹介させていただきました。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。