差から公約数を考える(後編・小5の約分)~立ち読み計算ドリル㉘~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。
今回の「立ち読み計算ドリル」は「差から公約数を考える」の後編です。
※前編はこちら↓
前編でも書いた通り、今回の後編は「続き」というよりは「補足」的な内容です。
◎まずは、問題です。
<問題>
下の4つの分数のうち3つは、これ以上簡単な分数に約分できません。でも1つだけ約分できるものがあります。それはどれでしょうか。
①12/77
②13/77
③63/77
④67/77
<答え>
正解は③です。詳細は後ほど。
◎考えやすい方を選ぶ
前回「差から公約数を考える」という話をしましたが、これは基本的に分母と分子の数双方が大きい時に有効です。すだれ算や素因数分解をするにしても、もとの数が大きければ大きいほど、どうしても考える時間は長くなっていきます。分母と分子の差が小さい場合、その差に注目して約数を考えれば短時間で考えることができるというわけです。ですから、元々の分子が小さく分母と分子の差の方が大きい場合は、素直に分子の数の約数を考えた方が早いということになりますね。
例えば今回の問題の場合①12/77と②13/77はもともとの分子が小さいですから、差を取らずにこのまま考えた方が簡単です。
差を利用して考えるのは便利ですが、状況に応じて利用するかどうか判断するのをお勧めします。
◎差を求めた後
今回の問題では③63/77と④67/77について、差を利用すると良さそうです。
まずは③63/77から考えてみましょう。
分母と分子の差は14ですね。ですから14で割れれば話は早いのですが、分母の77も分子の63も14では割れません。
その場合は、差の14を素因数分解する必要があります。
※素因数分解についてはこちらの記事に書きました↓
14=2×7ですね。
分母や分子の数に比べて小さいですから、分解も簡単です。
この2か7で分母と分子の数が割り切れるかどうかを考えれば、この分数が約分できるかどうかを判断できます。
③63/77の分母と分子はいずれも2では割り切れませんが、7で割り切ることはできます。したがって、③の分数は7で約分することが可能です。実際に計算してみると9/11となりますね。
これで正解は③だと判断できますが、今回は他の分数についても考えてみましょう。
④67/77の分母と分子の差は10です。67も77も10では割り切れませんね。ただ、それだけでは「約分できない」とは言い切れません。10を素因数分解した数についても考えてみます。
10=2×5ですから、2や5で約分できないかどうか調べる必要があるのです。
今回の場合、67や77は2や5で割り切れません。この時点で「約分できない」と判断できます。
◎分子が小さい場合
分子が小さかった①12/77と②13/77は、先ほど書いた通りこの分子の数で考えます。
まずは①12/77について調べてみましょう。
77が12で割れるなら12で約分すれば良いのですが、それは無理ですね。その場合は12を素因数分解します。
12=2×2×3ですから、77が2か3で割り切れるかどうか計算してみることが必要です。今回はどちらも割り切れないので、この時点で①は約分できないということがわかります。
②の場合、分子の13は素数です。これ以上分解のしようがありませんから、13で約分できるかどうか確かめるだけで結論が出せますね。実際のところ77は13で割り切ることができませんから、②も約分することは不可能です。
◎まとめると
・分母と分子の数が大きい時は、その差を求めて利用するのがお勧めです。
・差を求めたら、まずはその差の数で約分が可能かどうか検討します。それで約分ができなかった場合は、差を素因数分解して、その素数で約分できないかどうか試してみましょう。それでも約分ができない場合は「約分できない」と判断できます。
・分母と分子の差よりも分子の数そのものの数が小さい場合は、そちらを利用したほうが効率的なので、差にこだわらず計算しやすい方を判断できるようになると良いでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
※「立ち読み計算ドリル」は今回で一区切りとします。来月以降は毎週月曜更新ではなく不定期に更新していく予定です。これからもよろしくお願いいたします。